第二章 第六十話 商人達の野営地
旅の道というものは、一人で進むより、誰かと並んだ方が安全なこともあります。
特に物流路では、それが自然な形になっていました。
翌朝。
ミレーヌ達は川辺宿を出発した。
橋を渡る。
ギシ、と木が鳴る。
以前補強した橋は、今日も荷車を支えていた。
「前より通る荷車増えたにゃ」
ルナが橋の上から周囲を見回す。
実際、橋の向こう側はかなり賑わっていた。
荷車。
行商人。
徒歩の旅人。
川辺宿を利用したらしい商隊とも何度もすれ違う。
「橋向こうで泊まれる場所できたの助かるよ」
そんな声も聞こえてきた。
「ちゃんと流れ出来てるねぇ」
ミレーヌが少し嬉しそうに笑う。
紅陽まで道が繋がったことで、人の流れが変わり始めている。
カイは相変わらず地面を見ていた。
轍。
沈み。
水の流れ。
「この辺、雨降るとぬかるみますね」
「お前ほんと道見てるな」
リディアが呆れる。
「荷車止まるので」
完全に修理屋だった。
昼頃。
ルナが森へ飛び込む。
「魚取ってくるにゃ!」
「勝手に行くな!」
リディアが止める頃には、もう遅い。
だが慣れたものだった。
夕方前には魚を抱えて戻ってくる。
「あと小型の魔物もいたにゃ」
「狩ってきたのかい……」
ミレーヌが苦笑する。
そのまま進み続け、日が傾き始めた頃。
開けた場所へ出た。
既にいくつもの商隊が荷車を停めている。
焚き火。
馬。
見張り。
かなり使われ慣れた野営地だった。
「今日はここだな」
近くの商人が言う。
ミレーヌは荷車を止めながら声をかけた。
「ここで野営していいかい?」
「ああ、構わねぇよ」
男は気軽に頷く。
「夜は共同で見張り回してる」
「助かるねぇ」
荷車は自然と外周へ並べられていく。
即席の防壁。
カイがその配置を見て小さく頷いた。
「……理にかなってます」
「また始まったにゃ」
ルナが笑う。
「荷車を壁代わりにしてるので」
完全に現場目線だった。
やがて。
焚き火に火が入り始める。
夜の野営地は、ゆっくり賑やかになっていった。
今回は“共同野営地到着”回でした。
橋の向こう側には、既に商人達の流れと生活が出来始めています。




