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第198話 開墾の日

守るだけじゃ足りない。

育ててこそ、続いていく。

朝。


紅陽の外れに、人が集まっていた。


「よし、ここからだな」


ロークが腕を組んで言う。


目の前には――まだ手つかずの土地。


草が生い茂り、石も多い。


「……広げますか」


ルミアが静かに呟く。


「広げるしかないね」


ミレーヌが答える。


「人も増えた。食い扶持も増えた」


一拍。


「やるよ」


その一言で決まった。


「開墾だにゃー!」


ルナが元気よく叫ぶ。


「畑増えるとご飯増えるしね!」


「踏まないでくださいね?」


アリアが釘を刺す。


「まだ畑じゃないよ?」


「これから畑にするんです!」


セラも加わる。


少しずつ、賑やかになる。


「手順を確認します」


ルミアが全体を見る。


「まず、石の除去と地ならし」


「次に水路の確保」


「最後に土壌の調整」


的確だった。


ロークが笑う。


「頼りになるねぇ」


ダリウスが一歩前に出る。


「石は俺がやる」


「運び出せばいいんだろ」


「はい、お願いします」


ルミアが頷く。


「にゃはは、じゃあ私は草むしり!」


ルナがしゃがみ込む。


勢いよく引き抜く。


「おっと」


勢い余って転びかける。


「危ないですよ!」


セラが慌てて支える。


「ありがとー」


軽い調子。


その横で。


カイは地面を見ていた。


「……ここ、少し硬いですね」


レンファが近づく。


「水を含ませた方がいいかもしれません」


「そうですね」


カイは頷く。


「少し柔らかくしてからの方が作業しやすいです」


二人で水を撒き始める。


その様子をダリウスが見ていた。


「……戦場とは違うな」


ぽつりと呟く。


ロークが笑う。


「だろ?」


「でもな」


一拍。


「これも“戦い”だ」


ダリウスは少し考える。


「……守るための、か」


「ああ」


短く答える。


ダリウスは石を持ち上げる。


一つ、二つ。


軽々と運ぶ。


「助かります」


セラが言う。


「気にするな」


淡々と返す。


だがその動きは確実に役に立っていた。


昼が近づく。


少しずつ形になっていく。


「見てください!」


アリアが声を上げる。


「ここ、整いました!」


地面が均され、畝の形が見え始めている。


「いいですね」


ルミアが頷く。


「このまま進めましょう」


ルナが汗を拭く。


「疲れたー!」


「まだ半分ですよ?」


「えー……」


だが笑っている。


その時。


「昼飯にしようか」


ミレーヌの声。


全員がほっとする。


「やったー!」


ルナが即反応。


蒼月亭に戻る。


席に着く。


「いただきます」


自然に声が揃う。


ダリウスはその様子を見ていた。


「……」


少しだけ、目を細める。


「どうしました?」


カイが聞く。


「……いや」


一拍。


「悪くねぇ」


それだけ言う。


食事が始まる。


笑い声。


何気ない会話。


それが、確かにそこにある。


午後。


再び作業へ。


畑はさらに広がる。


夕方。


一日の成果が形になる。


「……これで第一段階ですね」


ルミアが言う。


ロークが頷く。


「ああ、上出来だ」


ダリウスが周囲を見る。


「……守るだけじゃ、足りねぇな」


ぽつりと呟く。


カイが笑う。


「だから作るんです」


ダリウスは小さく頷く。


「……そうだな」


紅陽は広がる。


少しずつ。


確実に。

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