第189話「交わらぬ命令」
再会が、必ずしも喜びになるとは限らない。
背負うものが違えば――同じ場所にも立てない。
蒼月亭、昼。
いつもの賑わい。
「パン追加ー!」
「今行くにゃ!」
慌ただしい空気の中――
扉が開く。
「……」
一人の男が立っていた。
重い気配。
見慣れた顔。
「……ダリウスさん?」
レンが目を丸くする。
レオンも続く。
「久しぶりですね。」
だが。
「……ああ」
返答は短い。
どこか、ぶっきらぼう。
空気が微妙にズレる。
ルナが小さく呟く。
「……機嫌悪いね」
リディア
「……違う」
「背負っている」
■ 再会
カイが前に出る。
「お久しぶりです」
「元気そうでよかった」
ダリウスは一瞬だけ視線を逸らす。
「……ああ」
それ以上は続かない。
明らかに様子が違う。
■ 王命
「本題に入る」
ダリウスが言う。
「フェルディア王の勅命だ」
空気が変わる。
ミレーヌが腕を組む。
「……やっぱり来たかい」
ダリウスは続ける。
「紅陽の管理下入り」
「及び」
「技術の提供」
一拍。
「拒否した場合は――」
言葉を選ぶ。
「実力行使も許可されている」
■ 違和感
レン
「おい……」
レオン
「本気かよ」
ルナが笑う。
「にゃはは」
「嫌そうだね」
ダリウスは何も言わない。
だが。
拳がわずかに握られている。
■ ルミアの介入
「その交渉、私が受けます」
静かな声。
ルミア。
ダリウスの視線が向く。
「……おまえが、か」
「はい」
一歩前に出る。
「第三者として」
■ 外交
ルミア
「まず確認します」
「この命令は」
「“制圧”を前提としたものですか?」
ダリウス
「……違う」
「だが」
「結果としてそうなる可能性はある」
ルミア
「では、提案します」
一拍。
「紅陽は独立拠点として機能しています」
「管理ではなく」
「協力関係を結ぶべきです」
ロークが小さく笑う。
「いいね」
ダリウスは目を閉じる。
「……理解はできる」
一瞬の間。
「だが」
「命令だ」
■ 決裂
ルミア
「……そうですか」
「では」
「交渉は成立しません」
ダリウス
「……ああ」
■ 選択
ダリウスが言う。
「全体戦は避けたい」
「無駄な被害が出る」
一拍。
「リディア」
「一騎打ちで決める」
■ 緊張
カイ
「やめてください」
ダリウス
「……これしかない」
リディアが前に出る。
「……いいだろう」
■ 決闘前
外。
風が吹く。
二人が向かい合う。
「……久しいな」
「……ああ」
短い会話。




