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第182話「帰還と影」

原因を断っても、意図は残る。

戻った先で問われるのは――“次にどうするか”だ。

黒影洞・帰路。


「……軽くなった」


セラが小さく呟く。


「さっきまでと空気が違う」


フィオも頷く。


「核が消えた影響だね」


「動きも減ってる」


ルナが前を歩く。


「でも、油断はしないで」


珍しく、少し低い声。


「まだ終わってないから」


三人はそのまま出口へ向かう。


途中、魔物はほとんど現れなかった。


「……露骨だね」


フィオが言う。


「さっきまであれだけいたのに」


「“作られてた”ってことだね」


ルナが軽く肩を回す。


「やっぱり誰かいる」


セラ

「……奥に」


「うん」


「でも、今回はここまでにしとく」


少し間。


「十分見た」


■ 紅陽へ帰還


蒼月亭の前。


「戻ったにゃ」


ルナが軽く言う。


ミレーヌが振り向く。


「おかえり」


「どうだった?」


フィオが先に答える。


「異常あり」


「ダンジョン内部、構造変化」


「魔素の核を確認、破壊済み」


「……ほう」


ロークが腕を組む。


「やっぱりか」


セラが続ける。


「……自然じゃない」


「誰かが……作ってる」


空気が少し重くなる。


カイが静かに聞く。


「怪我は?」


「ない」


フィオが答える。


「……これも」


小瓶を取り出す。


レンファのエリクサー。


「使ってない」


セラも見せる。


「……ハイポーションも」


レンファが少し安心したように笑う。


「よかった」


「使わないのが一番だから」


ルナが軽く言う。


「必要なかったね」


「まぁ、次はわかんないけど」


リディアが一歩前に出る。


「報告を整理する」


「詳細を話せ」


三人が簡潔に説明する。


構造変化

魔物の統率

核の存在

人為的操作の可能性


静寂。


「……やはりな」


リディアが小さく呟く。


「外と繋がっている」


ロークが笑う。


「だろうな」


「タイミングが良すぎる」


ミレーヌがため息をつく。


「面倒な話になってきたね」


「面白くなってきたとも言うにゃ」


ルナが笑う。


「誰かが仕掛けてきてるなら――」


「叩けばいいだけでしょ」


リディアが横目で見る。


「単純だな」


「シンプルでしょ?」


「……否定はしない」


■ 酒場


壁の上段。


リディアの旧剣。


そこに視線が集まる。


フィオが静かに言う。


「……意味、変わったね」


「何がだい?」


ミレーヌが聞く。


「ただの飾りじゃない」


「“残したもの”」


セラも小さく頷く。


「……うん」


ルナが笑う。


「次も増えるかもね」


「やめろ」


レンが即答する。


■ 外(不穏)


紅陽の外れ。


森の奥。


「……核は破壊された」


影が呟く。


「確認した」


別の影。


「予想より早いな」


「だが――」


一瞬の間。


「これで確定した」


「……ああ」


「紅陽は“使える”」


静かな声。


「なら、次の段階に進む」


風が流れる。


「今度は――」


「試しでは済まない」


■ 蒼月亭(締め)


カイが窓の外を見る。


「……」


ミレーヌが横に来る。


「どう思う?」


少し考える。


「流れが、変わったね」


「良くない方にかい?」


「ううん」


小さく笑う。


「動き出しただけ」


「……そうかい」


外には、人の気配。


中には、仲間。


そして上には――一本の剣。


紅陽は、確実に“何か”になり始めていた。

戻ってきた。

だが――物語は、ここから動く。

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