↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
174/288

第174話「流すということ」

力は増やすものではない。

流れを知った者だけが――それを扱える。

鍛冶場の熱がまだ残る中。


完成したばかりの剣が、台の上に並べられていた。


「まだ全部じゃないけどね」


カイが穏やかに言う。


「形にはなったかな」


それぞれが手に取る。


レン

「見た目は普通だな」


レオン

「だが……軽い」


フィオは小太刀を手に取る。


「……これ」


少しだけ振る。


「反応、早い」


「うん」


カイが頷く。


「フィオには合うと思う」


「弓と一緒に使ってみて」


フィオが軽く笑う。


「楽しみだね」


セラは短剣を両手で持つ。


「……あったかい」


「そう?」


「うん……嫌じゃない」


カイは少し安心したように笑う。


「よかった」


ルナは剣を軽く回す。


「これはわかりやすいね」


「流れる」


「うん」


「ルナはすぐ慣れそうだね」


「にゃはは」


「でしょ」


その時。


リディアが、自分用に仕上げられた剣の前に立つ。


「……」


静かに手に取る。


重さを確かめる。


わずかに目を細める。


「……似ている」


小さく呟く。


「だが、違う」


カイが静かに聞く。


「どう違う?」


「流れは同じだ」


「だが……抵抗がない」


「“整っている”」


「……うん」


カイが頷く。


「余計な部分を減らしてみたんだ」


「たぶん、そっちの方が扱いやすいかなって」


リディアは少しだけ剣を振る。


スッ


空気が切れる。


「……なるほど」


「無駄がない」


一瞬の間。


「いい」


短く評価する。


レンが苦笑する。


「それ、かなり高評価だろ」


「そうだな」


レオンも頷く。


「滅多に言わない」


ルナが笑う。


「気に入ったみたいだね」


「……ああ」


短く答える。


その時。


カイが全員を見渡す。


「じゃあ……」


「少し試してみようか」


「試す?」


レンが聞く。


「うん」


「使い方、少しだけね」


外。


鍛冶場の裏手、少し開けた場所。


「まずは――」


カイがゆっくり言う。


「無理に力を入れないこと」


「……?」


「力を“出す”と、流れが止まる」


「流すイメージで」


「……やってみて」


レンが剣を構える。


「こうか?」


振る。


「……っ」


「重いな」


「止めてるかもしれないね」


カイが優しく言う。


「少しだけ、抜いてみようか」


「抜く……?」


「握りすぎないで」


「通るように」


レンがもう一度振る。


スッ


「……お?」


「さっきより軽い」


「うん、いいね」


「その感じ」


フィオは少し離れた場所で小太刀を構える。


「……」


静かに魔力を通す。


「……なるほど」


弓を構える。


「これ、繋がる」


「うん」


「そのままいけそう?」


「いける」


矢を放つ。


ヒュンッ


「……速い」


レンが驚く。


「さっきより明らかに」


フィオが小さく頷く。


「流れてるから」


「無駄がない」


セラはその場で短剣を握る。


「……」


魔力を流す。


「……崩れない」


小さく呟く。


「いつもより、形が……」


「安定してる」


カイが優しく言う。


「うん、それでいいと思う」


「セラには、その使い方が合ってるね」


アリアも頷く。


「私も……少し楽かも」


「疲れにくい」


「それもあるね」


カイが笑う。


ルナは軽く踏み込む。


スッ


「うん」


「問題ないね」


「すぐ慣れる」


リディアは少し遅れて動く。


ゆっくりと剣を構え――


一閃。


音が、遅れてくる。


「……」


「……おい」


レンが呟く。


「今の何だ」


「……普通だ」


リディアは淡々と答える。


だが――


その軌跡は、明らかに違っていた。


カイが小さく息を吐く。


「……やっぱり」


「リディアには、合うね」


その言葉に、リディアは一瞬だけ目を閉じる。


「……ああ」


「これは――」


「使える」


静かに言う。


その時。


遠くから、風が流れる。


「……」


リディアが顔を上げる。


ルナも同時に止まる。


「来てるね」


「……ああ」


「少しずつだが、増えている」


レオンが眉をひそめる。


「魔物か?」


「それだけじゃない」


リディアが答える。


「……混ざっている」


静かな緊張。


カイが少しだけ困ったように笑う。


「……じゃあ」


「ちょうどいいかもしれないね」


「もう少し、慣れておこうか」


火はまだ消えない。


そして、戦いもまた――近づいていた。

流れを知った。

次は――それをぶつける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。