第151話「冒険者の流れ」
人が集まる場所には、理由がある。
そしてその理由は――やがて流れになる。
ロークは、しばらく紅陽に腰を据えることになった。
その間――
ロークの店は、三人に任されている。
「いらっしゃいませ〜!」
「これなんかどうでしょう?」
「軽くて扱いやすいですよ〜」
セラ、アリア、ルナ。
三人の声が店内に響く。
「かわいいね〜」
「やだ〜、そんなこと言われたら照れちゃう〜」
「にゃはは♪」
美人三人娘が店番とあって、
武器屋は妙に賑やかだった。
「最近、随分増えたね」
アリアが棚を整えながら言う。
「やっぱり私達が可愛いから!」
セラが即答する。
「そうだね〜」
ルナも頷く。
「ね〜」
「何言ってんだか」
アリアが苦笑する。
「いいじゃないのよ、ね〜?」
「はいはい」
軽口を叩き合う中――
一人の冒険者が武器を手に取りながら言った。
「前はさ」
「オルフェンからダンジョンに行ってたんだけどよ」
「この村が使えるなら――」
「こっちの方が近いな」
「ダンジョン……?」
セラが首を傾げる。
「ああ、あそこだよ」
「黒影洞」
「……ああ、あそこか」
アリアが思い出したように言う。
「どこどこ?」
ルナが興味津々で聞く。
「あの、魔族領寄りの……」
「洞窟型のダンジョンだよ」
「あそこって、いつもオルフェンから行ってたよね?」
「そうそう」
「でもさ」
冒険者が笑う。
「今までここ、なかっただろ?」
「……あ」
三人が同時に気付く。
「ここがあるなら――」
「こっちの方が、ずっと近い」
「だろ?」
「それにさ」
「宿屋に武器屋」
「ポーションまである」
「補給完璧じゃん」
「……確かに」
「私達だって、ここから行けるね」
ルナが楽しそうに言う。
「ね〜」
セラも頷く。
「この先にダンジョンがあるなんて、知らなかったよ」
その話を聞いていたミレーヌが呟く。
「今まで、誰も使わなかっただけさ」
ロークが後ろから口を挟む。
「拠点がなかったからな」
「……なるほどね」
ミレーヌは少し考え、言った。
「宿屋の従業員も欲しいね」
「最近、人手が足りないんだよ」
「募集する?」
アリアが振り返る。
「そうだね」
「酒場に張り出してみようか」
「いい人が来るといいですね」
レンファが穏やかに言う。
「来るさ」
ロークが笑う。
「人が集まる理由が、揃ってきたからな」
武器。
ポーション。
宿。
そして――ダンジョン。
紅陽は今、
ただの拠点ではなく、
“冒険の起点”へと変わり始めていた。
近道は、人を呼ぶ。




