第140話「交わる食卓と、新たな価値」
人が増えれば、賑わいが生まれる。
そして賑わいは――新しい力を呼び込む。
「ただいま〜!」
レンファ、ルナ、レンの三人が紅陽へと帰ってきた。
「おかえり〜!」
セラが元気よく手を振る。
「二人の家も綺麗になったから、今日から住めるよ」
「ありがとうございます」
レンファが頭を下げる。
「ありがと〜!」
ルナも嬉しそうに笑う。
「じゃあ、早速荷物を運ぶか?」
レンが肩に担いだ荷物を軽く持ち直す。
「そうだね」
三人はそのまま、新しい住まいへと向かう。
簡素だった廃屋は、すでにしっかりと整えられていた。
「……すごい」
レンファが小さく呟く。
「もう、ちゃんと“家”だ」
「みんなで直したんだよ」
セラが誇らしげに言う。
「ありがたいですね」
荷物を運び込み、配置し、生活の準備が整っていく。
「これで、ひとまず大丈夫かな」
レンが一息つく。
「はい」
「よし、じゃあ――」
ミレーヌが声をかけた。
「食事は酒場で、みんなでしよう」
「ありがたいです」
レンファがすぐに答える。
「ミレーヌさんの料理、本当に美味しくて」
「ほんと美味しいね〜」
ルナも満面の笑みで続ける。
「ふふ、任せときな」
ミレーヌが楽しそうに笑った。
そして夕食。
酒場のテーブルには、自然と人が集まる。
人間。
エルフ。
そして、獣人。
種族の違う者たちが、同じテーブルを囲んでいた。
「これ、うまいな」
レオンが皿を見て言う。
「でしょ〜!」
セラが得意げに笑う。
「この味付け、少し変わってますね」
レンファが興味深そうに言う。
「研究対象にする気かい?」
ミレーヌがからかう。
「いえ……少しだけ」
「やっぱりか」
笑い声が広がる。
ルナも、周囲を見渡しながら静かに呟いた。
「……なんか、不思議だね」
「こんなに色んな人が、一緒にご飯食べてるなんて」
「紅陽だからね」
アリアが優しく言う。
「ここは特別なんだよ」
「……うん」
ルナは小さく頷いた。
食事が終わり、落ち着いた頃――
レンファが静かに口を開く。
「明日から、早速ハイポーションを作ります」
「おお」
「効果がどう違うか、見てもらいますので」
「楽しみだね!」
セラが身を乗り出す。
「どれだけ凄いんだろうな」
レオンも腕を組む。
「レンファは凄いんだよ〜」
ルナが誇らしげに言う。
「……」
「それ、本人の前で言う?」
レンが苦笑する。
「いいの〜!」
また笑いが広がる。
その夜――
紅陽は、いつもより少しだけ賑やかに、
そして少しだけ温かく、更けていった。
人が増え、役割が増え、価値が生まれる。
紅陽は“村”から“拠点”へと、確実に進んでいく。




