第120話 紅陽の鍛冶場
蒼月亭の隣に決まった鍛冶屋の場所。
小さな廃屋は、
まだ人が住める状態ではなかった。
しかし――
紅陽には仲間がいる。
一つの建物を直すには、十分すぎる人数だった。
朝の空気は澄んでいた。
蒼月亭の隣にある廃屋の前に、皆が集まっている。
レオンが腕を組みながら建物を見上げた。
「壁はまだ生きてるな」
レンが柱を叩く。
「骨組みも問題ない」
ロークが頷いた。
「屋根を直せば十分使える」
カイは少し安心したように言った。
「思ったより状態いいですね」
ミレーヌが笑う。
「この村の建物は意外と丈夫なんだよ」
リディアが周囲を見ながら言う。
「戦いになっても崩れないように作られていたのかもしれないな」
セラがほうきを持って言う。
「じゃあ掃除!」
レオンが笑った。
「まずはそこからだな」
皆で扉を開ける。
中は埃だらけだった。
レンが咳き込む。
「うわ……」
セラが元気よく言う。
「ほらほら、掃くよ!」
アリアとセリアも手伝い始める。
床の埃を掃き、割れた板を外し、壁を拭く。
外ではレオンとロークが屋根の修理を始めていた。
「その板持ってきてくれ!」
レンが屋根に板を渡す。
ロークが釘を打つ。
「これで雨は大丈夫だな」
昼頃には建物の形が整ってきた。
ミレーヌが水を持ってくる。
「休憩だよ」
皆で腰を下ろす。
カイは少し離れた場所を見ていた。
小川の方だ。
そして言った。
「裏口を作りたいです」
レオンが聞く。
「裏口?」
カイは頷く。
「小川があります」
「鍛冶屋は水をよく使うんです」
ロークも言う。
「それはいいな」
「武器の搬入も裏からできる」
リディアが周囲を見る。
「防衛にも都合がいい」
レオンが立ち上がった。
「じゃあ裏口も作るか」
午後の作業が始まる。
レンが壁の一部を外す。
ロークが木材を組む。
やがて小川へ続く裏口ができた。
カイはその場所に立った。
「ここに炉を置きます」
レオンが言う。
「じゃあ炉作りだ」
ロークが笑う。
「いよいよ鍛冶屋らしくなるな」
皆で石を運ぶ。
小川の近くから平たい石を集める。
それを積み上げる。
粘土で隙間を埋める。
やがて炉の形ができてきた。
カイが静かに見つめていた。
そして言う。
「……いい炉です」
ロークが笑う。
「まだ火も入ってないぞ」
カイは頷いた。
「それでも」
「鍛冶屋です」
その言葉に皆が笑った。
夕方。
最後に道具を運び込む。
金床。
ふいご。
ハンマー。
やがて工房の中に鍛冶屋の道具が並んだ。
レオンが言う。
「完成だな」
レンが頷く。
「鍛冶屋だ」
セラが嬉しそうに言う。
「かっこいい!」
アリアも微笑む。
「紅陽に新しい仕事ができたね」
ミレーヌが腕を組む。
「宿屋の隣に鍛冶屋」
「なかなか賑やかになってきたね」
ロークが言う。
「武器屋としては助かる」
リディアは工房を見渡した。
そしてカイを見る。
「ここが」
「お前の仕事場だ」
カイはゆっくり頷いた。
そして炉の前に立つ。
まだ火は入っていない。
それでも――
そこには確かに、鍛冶屋があった。
紅陽の鍛冶屋が。
紅陽に鍛冶場が完成しました。
蒼月亭の隣に
・鍛冶屋
・小川
・裏口
が整いました。
紅陽は
宿屋
武器屋
鍛冶屋
住居
を持つ小さな村へと成長しています。




