第119話 鍛冶場の場所
紅陽に戻ったカイは、
蒼月亭で鍛冶屋を始めると宣言した。
だが――
鍛冶屋には場所が必要だ。
炉。
道具。
鉄。
そして村の未来。
紅陽の新しい仕事場を決める時が来た。
蒼月亭の夜が明けた。
昨夜の宴の余韻が残っている。
それでも皆、いつもより早く起きていた。
朝食の席でカイが言った。
「鍛冶場なんですが」
皆の視線が集まる。
カイは蒼月亭の外を指した。
「蒼月亭の隣の家にしようと思います」
レオンが頷く。
「あの廃屋か」
カイも頷く。
「小ぶりですけど」
「仕事場として使うにはちょうどいいです」
ロークが腕を組む。
少し考えてから言った。
「それがいいな」
皆が見る。
ロークは説明した。
「俺の店が前線になる」
「この前みたいに襲撃があったらな」
リディアが頷く。
「入口は戦場になる」
ロークは続けた。
「鍛冶屋が奥にあれば」
「武器を裏から搬入できる」
「防衛にも都合がいい」
レオンが笑う。
「なるほど」
レンも言う。
「武器供給拠点ってわけだ」
カイは少し驚いた顔をした。
「そこまで考えてませんでした」
ロークが笑う。
「商売人だからな」
レオンが立ち上がる。
「じゃあ」
「明日から早速直すか」
セラが元気よく手を挙げた。
「やる!」
アリアも笑う。
「私たちも手伝うよ」
こうして鍛冶屋の場所は決まった。
蒼月亭の隣の廃屋。
紅陽の新しい仕事場だ。
翌朝。
蒼月亭の朝食を食べ終えると、皆で目的の廃屋へ向かった。
蒼月亭のすぐ横にある小さな建物。
壁は古いが、まだ使えそうだった。
レオンが言う。
「骨組みは悪くない」
レンも周囲を見る。
「修理すれば十分使える」
セラが辺りを見回す。
「そういえば」
「この奥ってあまり来てないね」
リディアが言う。
「魔族領に近いからな」
「必要がなければ来ない」
アリアも頷く。
「森も深いしね」
その時だった。
セラが少し奥へ歩いていく。
そして声を上げた。
「ねえ!」
「小さいけど小川があるよ!」
皆が振り向く。
カイとロークが近づいた。
「どれ?」
少し草をかき分けると、細い水の流れがあった。
小さな小川だった。
ロークが言う。
「確かに小さいな」
カイは水を手に取る。
冷たい。
そして静かに言った。
「でも」
「鍛冶屋には助かります」
レンが聞く。
「水が必要なのか?」
カイは頷いた。
「刃を冷やすのに使えます」
「焼き入れにも」
ロークも笑う。
「鍛冶屋には最高の場所だな」
アリアが言う。
「畑にも使えるね」
セラが嬉しそうに言う。
「畑拡張できる!」
ミレーヌが笑う。
「それは助かるよ」
「食い扶持も増えたしね」
レオンが頷く。
「水があるなら」
「村としても助かる」
レンが周囲を見る。
「この辺はまだ空いてる」
ロークが言った。
「畑広げられるな」
ミレーヌが笑う。
「紅陽が少しずつ村らしくなってきたね」
カイは小川を見つめていた。
鍛冶屋。
水。
鉄。
そして村。
すべてが揃い始めている。
レオンが手を叩く。
「よし」
「仕事するか」
レンも言う。
「まずは掃除だ」
セラが腕まくりする。
「やるぞー!」
アリアとセリアも頷く。
「手伝う」
こうして――
紅陽の鍛冶屋作りが始まった。
紅陽に鍛冶屋を作る場所が決まりました。
・蒼月亭の隣
・小川発見
・畑拡張
村の生活基盤も少しずつ整い始めています。




