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第116話 帰路の合流

王都での用事を終え、

カイたちは鍛冶屋の道具と未完成の武器を積み込み、紅陽へ帰ることになった。


しかし――


荷物は想像以上に多かった。


帰路は予定より遅れる。


その頃、紅陽では一人の剣士が動き出していた。

紅陽。


蒼月亭の朝は静かだった。


ミレーヌが湯を沸かし、セラが食器を並べている。


だが一人、落ち着かない人物がいた。


リディアだった。


外を見ながら腕を組んでいる。


「……今日で四日か」


ぽつりと呟く。


カイたちが王都へ向かってから、四日。


出発前、ロークは言っていた。


「四日経って戻らなかったら迎えに来てくれ」


リディアは振り返った。


「ミレーヌさん」


「ん?」


「カイたちを迎えに行ってくる」


ミレーヌは少しだけ考え、すぐ頷いた。


「何事もないと思うけどね」


そして笑う。


「行ってきな」


リディアも小さく頷いた。


「はい」


剣を背負い、馬に乗る。


「夕方には戻る」


そう言い残し、リディアは街道へ走り出した。


一方その頃。


カイたちは王都を出発していた。


荷馬は今にも悲鳴を上げそうだった。


荷台にはぎっしりと道具が積まれている。


鍛冶道具。

未完成の武器。

防具の部品。

鉄材。


ロークが呆れたように言う。


「帰るのに一日は余計にかかるな」


「こんな量になるとは思わなかった」


レンが肩をすくめる。


「あるだけ載せたもん」


ロークがカイを見る。


「お前だろ」


レンが笑う。


「カイは思い出に浸ってるから」


「なんでも積んじゃった」


カイは苦笑した。


「しょうがないじゃないですか」


「オヤジさんの工房にあったものですから」


ロークがため息をつく。


「まあいい」


「紅陽で使える」


その日の夜。


三人は街道沿いの村の宿屋に泊まっていた。


食堂のテーブルでロークが言う。


「やっぱり速度が遅い」


「もう一泊必要だな」


レンが頷く。


「荷物が多すぎる」


ロークは笑った。


「リディアが心配して迎えに来るかもな」


レンが少し笑う。


「リディアさんがいれば」


「道中は安心だけどね」


カイも頷いた。


「確かに」


そして翌朝。


三人は早朝に出発した。


街道はまだ静かだった。


馬の足音だけが響く。


しばらく進んだ時だった。


遠くから声が聞こえた。


「おかえり〜!」


レンが顔を上げる。


「……あ」


「リディアさんだ」


街道の向こうから馬を走らせてくる人物。


青いマント。


長い剣。


リディアだった。


三人の前で馬を止める。


「四日経って帰らなかったから」


「迎えに来た」


ロークが苦笑する。


「荷物がいっぱいでな」


「予定より遅くなった」


リディアは荷台を見る。


そして少し目を見開いた。


「……」


「これは」


「鍛冶屋一軒分だね」


レンが笑う。


「その通り」


リディアは小さく頷いた。


「無事ならいい」


カイが静かに言う。


「オヤジさんの工房に行ってきました」


「そして――」


少し息をつく。


「約束してきました」


リディアが聞く。


「約束?」


カイは真っ直ぐ前を見る。


「オヤジさんの心を継ぐって」


「紅陽で鍛冶屋を始めます」


ロークが腕を組む。


レンも頷く。


カイは続けた。


「オヤジさんの仕事をずっと見てきました」


「すぐにはできません」


「でも――」


少しだけ笑う。


「いずれ、オヤジさんの品質に追いつきます」


リディアは静かに言った。


「楽しみにしてる」


そして馬を方向転換する。


「紅陽に帰ろう」


四人は街道を進む。


荷物を満載した馬車と共に。


紅陽へ。

この回は「帰還途中の回」です。


・リディアの迎え

・鍛冶屋の道具

・カイの決意


を描いています。


次回はいよいよ


紅陽到着


・大量の荷物に村が騒然

・道具搬入

・炉の設置

・そして


カイの鍛冶屋宣言


紅陽が一段階発展する回になります。

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