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第114話 再び王都へ

紅陽を出て二日。


森を越え、街道を進み、

カイたちはついに王都の近くまで辿り着いた。


鍛冶屋の親方。

残された工房。


明日、すべてと向き合うことになる。


カイにとってそれは、

過去へ戻る旅でもあった。

日が沈む頃、三人は街道沿いの小さな村へ辿り着いた。


王都までは、もう半日ほどの距離だ。


村の宿は質素だったが、旅人には十分だった。


「ここで一泊だな」


ロークが言う。


レンは入口の周囲を一度見回してから頷いた。


「今のところ大丈夫だね」


カイもほっと息をつく。


「助かります」


三人は宿の食堂で簡単な食事を取っていた。


木のテーブル。

薄いスープと焼いた肉。


豪華ではないが、長旅の後にはありがたい。


カイは申し訳なさそうに言った。


「無理言っちゃってすみません」


ロークは笑った。


「気にするな」


そして肩をすくめる。


「未完成品を完成させたら、飛ぶように売れる」


「先行投資だよ」


商人らしい言葉だった。


レンも静かに頷く。


「紅陽の武器は質がいい」


「噂になり始めている」


カイは少し考えてから言う。


「みんなに合う武器も見つかるかもしれませんね」


ロークがニヤリとする。


「それも期待してる」


レンは腕を組んだ。


「レオンの大剣はまだ代わりがない」


「ダリウスもな」


カイは頷く。


親方の工房。


そこにはまだ、未完成の品が眠っている。


鍛冶屋の炉。

道具。

そして――


まだ誰も知らない刃。


その夜、三人は早めに休んだ。


王都はすぐそこだ。


翌朝。


朝霧が村を包んでいる。


三人は宿を出て、再び街道を進んだ。


馬の足音だけが静かに響く。


やがて遠くに見えてきた。


巨大な城壁。


王都。


ロークが口笛を吹く。


「相変わらずでかいな」


レンは周囲を警戒しながら言う。


「人の流れも多い」


街道には商人、旅人、兵士が行き交っていた。


王都はやはり、この国の中心だ。


カイはその光景を見つめる。


胸の奥が、少しだけ重い。


「……まさか」


小さく呟いた。


「また王都に来ることになるとは」


ロークが振り返る。


「嫌か?」


カイはゆっくり首を振った。


「いいえ」


城門の方を見る。


あの向こうにある。


鍛冶屋の工房。


親方の炉。


自分が叱られ、鍛えられた場所。


「もう二度と来ないと思っていました」


静かに言った。


「でも――」


目を細める。


「戻ってきました」


レンが短く言う。


「行こう」


三人は馬を進める。


城門が近づく。


王都。


過去と向き合う場所。


そして――


未来の刃を手に入れる場所でもあった。

この回はカイの過去への心情

を描いた導入回です。次はいよいよ

鍛冶屋の工房

閉ざされた扉

残された道具

親方の痕跡

をたどります。

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