↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30年待たされた異世界転移  作者: 明之 想
第13章 オルドウ編 2

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

761/803

第756話 同じ轍


 武上くんと付き合ってる?

 恋人?

 私たちが?


 ない。

 ないわよ。

 でも、幸奈さん?


「どうして、そう思ったの?」


「古野白さんと武上くんの会話ややりとりを見ていると、とても自然でお互いを分かりあってるなって。だから、恋人なんじゃないかって」


 それは。


「知り合って随分経つから、そう見えるだけよ」


「……」


「武上くんとは同僚として多くの任務を一緒にこなしてきたわ。それはもう数えきれないくらい。おかげで、今では彼の考えてることほぼ全てが理解できてしまう」


 武上くんが分かりやすいというのもあるけれど、やっぱり過ごした時間が大きいと思う。


「なので、幸奈さんの目にそう映っただけ」


「ほんとに……付き合ってないんですか?」


「ええ、もちろん」


「でも、好意は?」


 まだ食い下がってくる?


「ありますよね?」


「……友人として、同僚としては持っているわ」


 それ以上が無いとは言い切れないけど。

 そんな感情は心の奥底に仕舞ってある。

 今さら表に出すつもりもない。


「あなたたちとは違うのよ」


「違う? そうでしょうか?」


 幸奈さん……。


「仮に、仮によ。武上くんと私に気持ちがあったとしても、付き合うなんて無理だから。特に最近の彼とは」


「最近の? 武上くん?」


「ええ、ちょっとおかしいでしょ」


 四六時中というわけではないけれど、それでもやっぱり気になってしまう。


「今回の休暇中もそう。幸奈さんも感じてたはずよ」





*****************************





「武上!?」


 なぜだ?


「武上くん! どうして!?」


 なぜ、そんなもの持ってる?

 なぜ、そんな顔してる?


「嘘だよね?」


「……」


「何かの間違いだよね? だって、武上くんがこんなことするわけないから」


「……」


「ねえ、答えてよ」


「……」


「武上くん!」


 武上の眼には虚ろな色。

 一点を見つめ身動ぎもしない。

 俺を刺したナイフを右手に持ったまま。


 ということは……。


 認めなきゃいけないのか?

 いや、けど、あの顔は?

 正気じゃない?


「痛ぅ!」


「あっ!? 有馬くん、傷は?」


 あまり感じなかった痛みが、ここで増してきた。


「早く治療しなきゃ!」


「……大丈夫だ」


 確かに痛みはある。

 蒼鱗で護られていない箇所を刺されてる。

 けど、幸いなことに致命的なものじゃない、と思う。


「治療は必要ない」


「そんなわけないでしょ」


「傷が浅いんだよ」


 武上が手加減したのか?

 それとも、単に運が良かったのか?

 分からないが。


「浅い? その出血で?」


「ああ」


 どちらにしても、最悪の事態は回避できてるはず。

 それに今は、俺の傷より優先すべきことがあるだろ。


「そんなに血が出てるのに?」


「あとで治療すればいい。だから今は」


 この武上と……江良!?


「無茶すんなって」


 こいつ、いつの間にか距離を取ってる。


「顔色悪いんだからよぉ」


 さっきまでのダメージはどこいった?


「無理し過ぎると、大変なことになるぞ」


 そっちこそ無理を?


「もう手を引けって、な?」


「……」


「俺としても、弟になる男を亡くしたくないんだぜ……つうことで」


 どの口が言……駆け出した!?


「有馬くん?」


 もちろん、逃がしはしない。

 が、その前に。


「武上、眠ってもらうぞ」


「……」


 変わらず虚ろな武上の胸に掌底一発。

 身体強化なしのおまえならこれで充分だろ。


「うぅぅ」


 狙い通り。

 床に沈んでくれた。


「里村は武上から離れてろ!」


「でも」


「すぐ戻る。だから、安全な場所で」


 待っててくれ。


「……」


 もちろん、里村ひとりでは安心できない。

 武上と里村を放置したくもない。

 けど、今は江良を追うしかないんだ。

 

「古野白さんの部屋に退避してもいいからな」


 どうやってでもいいから、無事でいてくれ。


「……うん、分かったよ」


 よし。


「有馬くんも気をつけて」


「ああ」


 里村の言葉を背に玄関へ走る。

 先行する江良には離されてしまったが、それでもまだ間に合う。

 追いつける。


 ただ、宿の外へと追跡するこの展開はまた前回と同じ。

 つまり、前回を辿る流れの先。

 そこに待つのは、まず間違いなく空間異能者の登場なんだろう。





「おい、おい、無理すんなって」


 前回と同じ路上を駆ける江良。


「追っても無駄なんだからよ」


 この状況にそのセリフ。

 まずいな。

 その時が近づいてる。

 とはいえ、数秒は残ってるはずだ。

 なら、その時間で何とか。


「はぁぁぁ、しょうがねえ」


 ここで笛?

 早い!


「ピィィィ」


 響き渡る高音。

 空間が。


「追いかけっこはここまでだな、弟」


 裂けた。

 中から手が伸びてくる。


「……話が違う」


「わりい」


 その手を江良の右手が……。


 ガツッ!


「痛!?」


 掴ませはしない。


 ガツッ!


「な、何を!?」


 投石に見せかけた石弾2連発が江良と空間異能者の腕に命中。

 さらに、手を掴み損ねた江良の肩に。


 3発目。


 ドガッ!


 できるなら避けたかったが、こうなれば仕方ない。


「ぐっ!」


 同じ轍は踏めないからな。


「これ、は……」


「石だ」


 ただし、そこらの石じゃない。

 たっぷり魔力の石弾なんだよ。


「何してる江良、さっさと掴め!」


「お、おう」


 当然、連射もできる。


 ガンッ!

 ガッ!


「うっ!」

「っ!」


 4発目、5発目も命中。

 と同時に間合いの中。


 ドンッ!


 江良に掌底を入れて。


「出てこい!」


 ドサッ!


 空間異能者を裂け目から引っぱり出してやる。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング ここをクリックして、異世界に行こう!! 小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。