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30年待たされた異世界転移  作者: 明之 想
第13章 オルドウ編 2

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第754話 真実



 腹の真中に完璧に決まった金属パイプ。

 並の相手なら昏倒必至の一撃も、江良を倒すには足りてない。

 それでも、ここまでダメージが重なってるんだ。


「ぐっ!」


 平気ではいられないよな。

 今はもう刀を振るうどころか、立っているのも辛いはず。


「……おまえ、バケモンかよ? いったい、どうなってんだ?」


「今さら何言ってる」


 遡行するたびに何度も襲ってきた江良が俺を知らないわけがない。

 そもそも。


「標的のことは、依頼人に聞いてるんだろ」


「ここまでとは聞いてない」


 それはまあ。

 俺の秘密を知る者はこっちの世界には幸奈だけなんだからな。


「無いはずの気配を察知して殺撃をかわす、俺の異能にも対応しちまう。はは、想定越えもいいとこだぜ」


「……」


「その実力で異能を持ってないんだ、何者って話になんのが当然。正体を知りたくなるのも当然じゃねえか」


 確かに。


「おまえ、中身は人外じゃねえの? 高知能の異形なんてありそうだよな?」


 人外でも異形でもないが……。


「それとも、まさかの宇宙人とか、異世界人とか?」


「……」


「そういうことなら、これまでの超絶技も納得できる」


「……」


「って、おい?」


 まずい。


「おい、おい、おい、おい」


 まずい!


「俺は正真正銘、ただの人間。それ以外の何ものでもない」


「そんな表情じゃなかったぞ」


「おまえが下らないことを言うからだ」


「下らない、ねえ」


 今の露見状況は……っ!?

 点滅が増えてる!


「とてもそうは思えないが?」


「……」


「なあ、隠さないで吐いちまえよ」


 こいつのペースに飲まれちゃいけない。

 何より今はまだ戦いが終わってな……江良が回復を?


 駄目だ、これ以上は!


「おまえには言葉より、こっちだ!」


 距離を詰め、横薙ぎの短剣。


「っ!」


 後方に跳んで避ける江良。

 もうそこまで動けるのか?

 けど、その選択は良くないぞ。

 

 ブンッ!


 この体勢からでも、そこならパイプが届くんだよ。


 ドガッ!


 ほらな。


「うぐっ!」


 再度の腹への直撃。

 理想的な一撃だ。


「うぅぅ……」


 床に両膝をつき腹をおさえる江良。

 さすがに立ってはいられないか。


「……」


 あと一発で終われそうだな。


「有馬くん!」


「やったじゃねえか!」


 飛んできたのは里村と武上の声。

 2人がロビー奥から近づいて来る。


「まだだ、まだ終わっていない」


「そうは見えないけど?」


「ああ、終わったようなもんだろ」


「あまり近づくな、こいつの意識を奪うまでは終わりじゃないんだからな」


「なら、さっさと終わらせろや」


 もちろん、言われるまでもない。


「ま、待て!」


 さあ、とどめといこう。


「ちょっと待て!」


 ここで待つと思うのか?


「心配するな、命を奪うつもりはない」


「よせ!」


 最後は掌底を。


「俺は幸奈の兄なんだぞ!」


 な、に??


「大切な幼馴染の兄を手にかけるのか?」


 兄?

 こいつが?


「……詰まらぬ嘘を吐くな」


「嘘じゃない。俺と幸奈は血が繋がってる!」


「あり得ない」


「あり得るんだよ」


「……」


「幸奈が和見家の養女ってことは、おまえも知ってるよな?」


 それは……。


「必然、幸奈の実の親は他にいる。そいつが俺の親だ」


「……」


「理解したか?」


 否定したいところだが、完全には否定しきれないものがある。


「なら、手を引け」


 とはいえ、江良を逃がすわけにもいかない。

 やはり、ここはこいつを眠らせて……。


 ドスッ!


 えっ!?




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