第25話 死にたがりの騎士?
「起きろアルカ。飯食ったらまた移動するぞ」
「ん、むにゃ。あと、ちょっと」
「ダメだ。早く起きろ」
俺の背中にもたれかかって寝ているアルカを無理やり起こす。
どうやら、相当に寝起きが悪いようで中々意識がはっきりしない。
「んん、もう少し丁寧に起こしてくれてもいいんじゃないか?」
「寝起きが悪いお前が悪い。それよりも、ルルアがシカを狩ってきてくれたからこの肉を食べたら移動再開だ」
「鹿肉!? 凄いな弓も使わないで狩るなんて」
「えっへん! 凄いだろ~」
褒められたルルアは胸を張ってドヤ顔を浮かべていた。
相変わらず仕草が子供っぽくて可愛らしい。
見ていると心がほっこりする。
「イリアも起きろ」
「はっ!? ここは……」
「落ち着け。ここに敵はいない」
飛び起きて剣を引き抜くイリアを制止する。
どうやら、少しだけ寝ぼけているみたいだ。
今後の話もしておきたいし、ちょっとついてきてもらう事にしよう。
「ルルア、アルカとここで待っててくれないか? 肉は先に食べてていいから」
「わかったけど、何かするのか?」
「少しイリアと話したくてな。頼めるか?」
「任せておけ!」
ルルアは自分の胸を手で叩いて自信満々の様子だ。
これなら任せておいても心配ないだろう。
「そう言うわけで少しついてきてもらってもいいか?」
「……わかりました」
イリアは特に抵抗することなく俺の後ろをついてきてくれる。
二人に話し声が聞こえないくらいの場所まで来て俺は立ち止まる。
「それでこんなところに呼び出して何のつもりですか?」
「一回本気のお説教でもしようかと思ってな」
「お説教? レイスが私にですか?」
「ああ。その通りだ」
俺はイリアに絶対に言っておかなければいけないことがある。
これだけは言わないといけないし、仮にイリアに恨まれることになったとしてもだ。
「何を説教するというのですか?」
「お前、死のうとしてたろ」
「……何のことですか?」
「とぼけるな。お前はあの時、俺達が助けに入らなければ死ぬつもりだった。そうだろ?」
あの時のイリアのは生きて帰ろうという意思がないように見えた。
だから、俺は本気で彼女を怒らなければならない。
死にたがりに騎士は務まらないからな。
「……なぜそう思うのですか?」
「簡単だろ。あの状況で退こうとしなかった当たりほぼ確実だ。おおよそ自分が死にそうになった時点で風魔法を使ってアルカだけでも逃がそうとしたんだろ」
イリアにはそれができるだけの魔法技能がある。
その技を最初から使えば二人して生きて逃げることも可能だったはずなのに。
「凄いですね。私の考えなんか全てお見通しってことですか?」
「全てじゃないけどな。そう言うわけで理由を聞かせてくれ。どうしてその選択をしようとしたのか」
万が一に備えて俺は愛剣に手をかけながらイリアの青色の瞳を見据えるのだった。




