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修理特化の追放鍛冶師  作者: 進藤
第1章 追放鍛冶師と壊れた古代兵装

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#13 古代の修復工房


古代兵装が眠る工房を後にして。


レオンたちは、遺跡の奥へ進んでいた。


「修復施設って、本当にあるのか?」


ダインが周囲を見回す。


「アインが反応を確認してる」


レオンは答えた。


『前方に魔力反応』


『人工的な構造物を確認』


「近いな」


三人は歩く速度を上げた。


しばらくすると。


壁に、大きな扉が現れた。


扉の中央には。


一本の剣と、金槌の紋章。


レオンが足を止める。


「……これだ」


「修復施設か?」


「たぶんな」


レオンは扉を調べる。


表面は石に見える。


しかし。


――カン。


金槌の柄で軽く叩く。


高い金属音が返ってきた。


「やっぱり金属だ」


「石じゃないのか?」


「ああ」


レオンは扉を撫でる。


「古代金属を石で覆ってる」


「何のために?」


「分からない」


レオンはモノクルをかける。


扉の内部に、細い魔力回路が走っていた。


「でも、壊れてる」


「開かないのか?」


「いや」


レオンは扉の中央へ手を当てた。


「直せば開く」


「扉まで修理するのかよ」


ダインが呆れる。


「壊れてるんだから、直すだろ」


レオンは銀針を取り出した。


扉の横にある小さな穴へ差し込む。


――カチッ。


「一つ」


さらに一本。


――カチッ。


「二つ」


最後に。


――カチッ。


「三つ」


扉の中で、何かが動いた。


――ゴゴゴゴ……。


「おお……」


ダインが身構える。


巨大な扉が、ゆっくりと左右に開いていく。


その先には。


長い通路が続いていた。


壁には古代文字が刻まれている。


レオンが読む。


「……武器修復」


少し進む。


「魔力回路修復」


さらに進む。


「古代兵装修復」


ダインが目を丸くした。


「本当に修理する場所だったのか」


「そうみたいだな」


レオンの声が弾んでいる。


通路の先には。


巨大な部屋があった。


中央に大きな修理台。


その周囲に。


炉。


工具棚。


魔力回路を調べる装置。


素材を加工するための台。


そして。


天井から吊り下げられた巨大なクレーン。


「……すごい」


レオンは部屋の中を見回した。


「これ全部、修理用だ」


ダインは苦笑する。


「お前、宝箱を見つけた冒険者みたいな顔してるぞ」


「だって、これを見ろよ」


レオンが工具棚を指差す。


「古代兵装用の精密工具だ」


一本の工具を手に取る。


先端は細い。


普通の鍛冶道具では扱えないほど小さな部品を加工するためのものだ。


「こんなの、今の鍛冶師じゃ作れない」


「そんなにすごいのか?」


「ああ」


レオンは工具を眺める。


「これがあれば、魔力回路の修理ができる」


アインが部屋の奥へ進む。


『中央設備を確認』


「何がある?」


『古代修復炉』


レオンが振り返った。


「炉?」


アインが示した先。


そこには。


巨大な炉が設置されていた。


ただし。


火は消えている。


魔力も感じない。


レオンは炉へ近づいた。


「……止まってる」


「壊れてるのか?」


「いや」


レオンは炉の内部を見る。


「壊れてない」


「じゃあ何で動かない?」


「燃料がない」


レオンは炉の周囲を調べる。


床に細い溝がある。


その溝は。


部屋の奥へ続いている。


「ここに何かを流してたみたいだ」


「燃料か?」


「たぶんな」


アインが解析する。


『古代魔力炉』


『専用燃料――魔力鉱石』


『現在――燃料残量ゼロ』


レオンは頷いた。


「なるほど」


「つまり?」


「燃料を探さないと修理できない」


ダインがため息をつく。


「結局、探し物か」


「でも、場所は分かった」


レオンは壁を見る。


そこに古代文字で地図が刻まれていた。


「採掘区画」


地図には。


修復工房から地下へ伸びる道が描かれている。


「この先に魔力鉱石の採掘場がある」


「じゃあ、そこへ行けばいいんだな」


「そうなる」


レオンは地図を確認する。


だが。


その時。


壁の一部に、別の文字があることに気づいた。


「……待て」


「どうした?」


レオンが近づく。


古代文字の横には。


三つの印が刻まれていた。


剣。


金槌。


そして――目。


「何だ、この印?」


アインが解析する。


『古代鍛冶師の権限区分と思われます』


「権限区分?」


『製造』


『修復』


『管理』


レオンは目を見開く。


「……三種類あったのか」


「何が?」


「古代兵装を作った鍛冶師だけじゃない」


レオンは壁の文字を読む。


「直す鍛冶師と、管理する人間がいた」


ダインが腕を組む。


「じゃあ、古代兵装って誰かに命令されて動いてたのか?」


「その可能性が高い」


レオンは先ほどの兵装を思い出す。


『命令――遂行』


『敵――排除』


『記憶――破損』


「……」


レオンは拳を握った。


「誰が、何のために作ったんだろうな」


アインが答える。


『記録が破損しているため、不明です』


レオンは少し考える。


そして。


「なら、直しながら調べればいい」


「直しながら?」


「ああ」


レオンは工具棚を見る。


「古代兵装の身体には、当時の記録が残ってるかもしれない」


「記録?」


「魔力回路の構造」


レオンは自分のモノクルを指差した。


「壊れた回路を直していけば、どんな兵装だったのか分かる」


ダインが笑う。


「修理が、そのまま調査になるってことか」


「そういうこと」


レオンは工具棚から一本の工具を取り出した。


その工具だけは。


まだ使える状態だった。


柄には。


古代文字が刻まれている。


『修復者へ』


レオンは目を細める。


「……俺に向けた言葉なのか?」


返事はない。


だが。


修復炉の奥で。


――ポッ。


一瞬だけ。


小さな火が灯った。


「……!」


すぐに消える。


レオンは炉を見つめた。


「待ってろ」


誰に言うでもなく。


そう呟いた。


「燃料を持ってくる」


ダインが肩をすくめる。


「また仕事が増えたな」


「鍛冶師だからな」


レオンは工具を握る。


そして。


地図に描かれた地下道へ目を向けた。


その先には。


古代魔力鉱石の採掘区画。


そして。


まだ誰も知らない。


古代兵装の製造記録が眠っている。


レオンたちは。


修復工房を後にした。


今度の目的は。


敵を倒すことではない。


――古代兵装を修理するための材料を手に入れること。


レオンにとって。


それは戦いよりも重要な仕事だった。


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