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初めての出会い5

戦いが終わると、ルナとレッドは倒れたゴブリンの前へ歩み寄った。

スラちゃんは二人を押し退けるように前へ出る。


『ゴブブブ……!

 いきなり何すんだゴブ!』


『見たかー!!

 これがスラちゃんの力なり!』


自分はほとんど何もしていなかったにもかかわらず、スラちゃんは誇らしげに胸を張った。


『わかったらそのカブトをよこすなりよ!』


『……カブト?』


ルナが低い声で呟く。


ゴブリンは悔しそうに歯を食いしばりながら、兜を押さえた。


『俺に勝ったらやるとは言ったけどお前ほんとセコいゴブ……』


『約束は約束なり!

 早くするなり!』


『ちぇっ!

 欲しけりゃくれてやるゴブ!

 ちくしょー!』


ゴブリンは兜を投げ捨てると、悪態をつきながら森の奥へ逃げていった。


スライムは転がってきた兜へ飛びつく。


『ありがとなり!

 これでゴブリンのカブトが手に入ったなりよ!』


満足そうに兜を眺めるスライムをレッドは呆然と見つめた。


『……ゴブリンを倒したかったのはカブトが欲しかったからなの?

 危険だからじゃなくて?』


『危険なのはほんとなりよ!

 でも、身を守るためにカブトはいい方法なり?』


『…………』


ルナとレッドは揃って言葉を失った。


『ま……まあ、いいわ。

 それより、今度はあなたが約束を守る番よ』


ルナは深く息を吐き、無理やり話を戻した。


『宝石について知ってる事を教えて』


『あ、と……えーと……』


スラちゃんの視線が泳ぐ。


『あっちの方にあるなり!

 これでいいなりか?』


『…………』


再び重たい沈黙が落ちた。


『……あなた……

 本当は知らないんでしょ』


『………ばれちゃったなり!』


スライムは悪びれもせず明るい声で答えた。


『…………』


ルナのこめかみに青筋が浮かぶ。


次の瞬間、その手が素早く動いた。


ぺしんっ!


『痛いなり!

 ちょっとした出来心なりよー!』


頭を押さえて騒ぐスラちゃんをルナは冷たい目で見下ろした。


『そ、そうだ!

 森人に聞いてみるなり!

 この森には一番詳しいなり!』


『森人……?

 そんな人がいるの?』


『そうなり!

 もしかしたら、ねーちゃんたちの宝石も知ってるかもしれないなり!』


『…………』


ルナの疑いに満ちた視線を受け、スラちゃんは慌てて身体を震わせた。


『……今度も嘘なんじゃないでしょうね』


『嘘じゃないなり!

 森人の所までちゃんと案内するなりよ!』


『……仕方ないわね……。

 なら、そこまで案内してくれる?』


『ふっふふーん!

 わかったなりよ!

 スラちゃんにまかせるなり!』


つい先ほど嘘が発覚したばかりだというのに、スラちゃんはすっかり得意げだった。


『調子いいんだから。

 ……今度嘘だったら……

 殴るだけじゃ済まないわよ』


ルナの静かな声にスライムの身体が一瞬だけ固まった。

それでもすぐに向きを変えると、兜を抱えたまま森の奥へ進み始める。


『こっちなり!

 森人の所まで案内するなりよ!』


ルナとレッドは顔を見合わせた。

信用してよい相手とはとても言い難い。

それでも今は他に手がかりがなかった。


二人は小さく頷き合い、スライムの後を追う。


風に舞う緑の葉の向こうで、古代の森はさらに深く続いていた。


女神ノ涙を求める旅で出会った、最初の住人。


その案内が本当に手がかりへ繋がるのか。


あるいは、また新たな騒動を呼び込むのか。


答えを知る者は、まだ誰もいなかった。

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