初めての出会い3
三人は再び森の奥へ向かった。
古い石壁と巨大な木々が入り混じる道には、ところどころ人の手が入ったような痕跡が残されている。
それでも周囲に人影はなく、葉擦れの音ばかりが続いていた。
『最近なんだかおかしいなりよ。
森の中がざわざわしてるなり』
『ざわざわ……?』
『そうなり。
見た事ない人とか生き物とか、色々来るなり』
スラちゃんは振り返りルナたちを見上げた。
『ねーちゃんたちも初めて会うなり。
どっから来たなり?』
『えっと……
すごく、遠い所よ。
あなたの知らない所』
鏡ノ扉や時ノ大地についてどこまで話してよいのか分からない。
ルナは曖昧な答えで誤魔化した。
『そうなりか。
まあ、手伝ってくれるならスラちゃんは気にしないなり』
スラちゃんはあっさりと納得すると再び前へ進み始める。
『みんなこの森に何しに来るなり?
お宝でもあるなりか?』
『……そう言われても……
僕らは宝石を探しに来たけど他の人はどうなんだろう?』
レッドは周囲の遺跡を眺めながら続けた。
『ここに住んでるんだし君の方が詳しいんじゃないかな?』
『うーん……?
わかんないなり。
今まではこんな事なかったなりよ』
スラちゃんは首を傾げるように身体を傾けた。
『なんかすごいものでも見つかったなりかね?
お宝ならスラちゃんも欲しいなり!』
『……女神ノ涙じゃないわよね?
それ……。
大丈夫かしら……』
ルナは胸元の宝石へ手を添えた。
森に集まり始めたという見知らぬ人々や生き物。
その目的が女神ノ涙と関係しているのかは分からない。
だが、カースもまた女神ノ涙を狙っている。
偶然だと決めつけるには不穏な話だった。
------------------------------------------------------------
しばらく歩いたところでルナは隣のレッドへ視線を向けた。
『そういえば……レッド、
ここの夢を見たって言ってたけどどんな夢だったの?』
『どんなって言っても……
……なんとなく、この景色を見ただけなんだ』
レッドの脳裏に色のない遺跡が蘇る。
静まり返った森。
そして、灰色の世界を歩いてきた少女。
『あ……でも……
ルナも、、、いたような気がする』
『……私も?』
『うん。
もしかしたら予知夢なのかもしれない』
レッドは自分の手を見つめた。
『僕にここの記憶はないし……
ルナと一緒に来るっていう未来を見たんじゃないかな』
『……そんな事ってあるのかしら』
ルナは考え込むように指先を口元へ添えた。
『やっぱりレッドはちょっと変わった英雄なのかもね』
記憶を失い、自分がどこから来たのかも分からない英雄。
そのうえ訪れたことのない世界を夢に見ていた。
ルナの知る召喚英雄のどれにも当てはまらない存在だった。
『これからも、もしそんな夢を見たら教えてくれる?』
『うん。
役に立つかはわからないけど見たら話すよ』
『ちょっとー!
おしゃべりばっかりでやる気あるなり?』
先を進んでいたスラちゃんが苛立たしげに剣を振り上げた。
『わ、わかってるわよ。
ほら、行きましょう!』
ルナは慌てて歩調を速める。
レッドも苦笑しながらその後を追った。




