初めての出会い2
スラちゃんの案内で三人は古代の遺跡が残る森を進んだ。
道中には同じような姿をした魔物たちが幾度も現れた。
草むらから飛び出したスライムが足元へまとわりつき、その背後から棍棒を持った小柄な魔物が襲いかかる。
一体ずつならば脅威ではない。
しかし、木々や崩れた石壁に身を隠し、前後から同時に飛びかかってくるため狭い森の道では思うように身動きが取れなかった。
ルナが鏡ノ扉を通じて英雄たちへ呼びかけると光の柱と共に三人の英雄が降り立つ。
前衛の英雄が真っ先に飛び込み、振り下ろされた棍棒を武器で受け止める。
重い衝撃音と共に敵の動きが止まった瞬間、左右へ分かれた英雄たちが側面へ回り込み、無防備になった脇腹へ刃を走らせた。
別の魔物が背後から迫るがレッドが素早く振り返りその一撃を剣で弾く。
刃と棍棒がぶつかって火花が散った。
レッドは力任せに押し返すのではなく、相手の勢いを横へ受け流す。
体勢を崩した魔物の足元をルナの杖から放たれた光が捉えた。
わずかに動きが鈍った隙を逃さずレッドの剣が一閃する。
鋭い剣閃と魔法の光が木々の間を走り、倒された魔物たちは青い霧となって消えていった。
一群を退けても枝葉の陰から別の気配が現れる。
英雄たちは互いの死角を補うように陣形を組み直し、ルナたちの進路を切り開いていった。
ひとまず周囲が静かになったところで、ルナは先を行くスラちゃんへ問いかけた。
『手伝うのはいいけど、この先に一体何があるの?』
『ゴブリンがいるからそいつを倒して欲しいなり!』
『ゴブリンを倒す……?
なんでそんな事するのよ』
『カブ……じゃなくて、危ないからなり!』
一瞬だけ飛び出した不審な言葉に、ルナの目が細くなる。
だがスラちゃんは何事もなかったように胸を張っていた。
『危ないって……
スライムの事を襲ってきたりするの?』
『そこまではされないなりが……
ゴブリンは意地悪なり。お願いも聞いてくれないなり』
スラちゃんは剣をぶんぶんと振り回す。
『スラちゃんは
あんな奴に負けたくないなり!』
『そう……
いじめてくるのね。
だったら倒してもいいかしら』
ルナはまだ疑いを残しながらも、杖を握り直した。
『女神ノ涙のためでも出来るなら悪い事に手を貸したくはないし……』
『スラちゃんは悪い事なんてしないなり!』
力強く言い切るスラちゃんをルナはしばらく無言で見つめた。
その言葉を全面的に信じたわけではない。
だが、女神ノ涙の情報を得るためには進むしかなかった。




