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コンボスキル《盗撮》

眩い光が視界を埋め尽くす。


次の瞬間。


「ぶへっ!?」


俺は草むらへ顔面から突っ込んでいた。


「いっっっっったぁ……!」


鼻を押さえながら起き上がる。


青空。


土の匂い。


森のざわめき。


遠くで聞こえる鳥の声。


「……異世界、か」


本当に来てしまったらしい。


さっきまでいた真っ白な空間とは違う。


生暖かい風も、肌に刺さる草の感触も、全部リアルだった。


『転送成功です!』


突然、頭の中に聞き覚えのある声が響く。


「うおっ!?」


『あ、聞こえました?通信成功ですね!』


「ルミア?」


『はい!観測の女神ルミアによる、異世界初心者サポート窓口でございます!』


「コールセンターみたいに言うな」


頭の中でルミアがえへへーと笑っているのが伝わってくる。


「……で、これからどうすればいいんだ?」


『まずはステータス確認ですね!異世界テンプレ!これは譲れません!!』


「うわテンプレって言った」


『透さんも好きでしょう?』


否定できない。


『“ステータス、オープン”と念じてみてください』


言われた通り、頭の中で呟く。


すると目の前に、半透明のウィンドウが浮かび上がった。


「おおっ……!」


なんかちょっとテンション上がる。


---


【ステータス】


名前:トール


種族:人間


職業:観測の女神ルミアの使徒


筋力:E


耐久:E


魔力:E


器用:D


敏捷:C+


幸運:D


【スキル】


《撮影》


《隠密》


【加護】


観測の女神ルミアの加護(微弱)


---


『ちなみに名前は現地の人っぽい感じになってます。透さんなのでトールですね。安直ですが』


「…………」


しばし沈黙。


「いや弱っ」


『うわ、開口一番それですか』


「だって弱いだろ!?Eって何!?平均以下ってことだろ!?」


『まあそうなんですが、一般人基準ならそこまで弱くはないですよ。強くもないですが』


「異世界転生ってもっとこう……チートとか……」


『そんなポンポン勇者級送り込めるんだったら、もっと左団扇の生活してます』


まあそれはそうか。


いやでも。


「敏捷だけちょっと高いな」


『透さん、隠密スキルの恩恵ですかね、陰でカサカサ動く感じで』


「G扱いされそうな説明やめろ」


『あとその……』


ルミアが少し言いづらそうに咳払いする。


『“撮影”と“隠密”の組み合わせになった理由についてなんですが』


「うん」


『そのぉ……盗撮適性が……』


「お前まだ根に持ってるだろ」


『当然では!?』


頭の中でルミアがぷんすかしている。


『乙女の水浴びですよ!?』


「いやほんと不可抗力だったんだって!」


『しかもガン寄りズームしてましたよね!?』


「撮影者の本能なんだよ!!」


『最低です!!』


理不尽な気もするが、実際結果だけ見れば最低なので強く言い返せない。


「……でも《隠密》は便利そうだな」


『観測系スキルとの相性はかなり良いですよ?合わせて使うことで相乗効果間違いなし!』


ルミアが少し得意げになる。


『訓練は必要ですが、気配を薄くし、存在感を希薄化できます。索敵回避や潜入向きですね』


「盗撮向きとも言う」


『はい!』


即答だった。


『あと《撮影》ですが、これは透さんが思ってるより特殊スキルです』


「へぇ?」


『映像記録、拡大観測、暗視補助、情報保存などができます。まあスマホのカメラみたいなことはできますね』


「普通に便利だけどなんかな…」


『成長するともっと色々できますよ』


なんか意味深な言い方だった。


『まあ現状はインフラ含めて低レベルなので、カメラ生成くらいしかできませんが』


そう言われた瞬間。


手の中に、見覚えのあるビデオカメラが現れた。


「うおっ!?」


現代製っぽい形状。


だがよく見ると、レンズ部分に淡い魔力光が走っている。


「異世界魔導カメラ……」


『透さん専用です』


ちょっとワクワクする。


やっぱ男はこういうの好きだ。


「それで、これでどうやって、戦えばいいんだ?ほら魔物だかモンスターだかいるって話だったろ?」


『ん?』


「ん?」


『いやーそのスキルで戦うのは無理じゃないですか?もっと地道にひのきの棒とか買って…』


「……え、これ俺普通に死ぬのでは?」


『……』


「………スキルリセマラできません?」


---


「……ん?」


ステータス画面の端に、小さなアイコンが点滅している。


『あ、それオラクルネットですね』


「オラクルネット?」


『神々と人間を繋ぐ通信システムです。加護持ちか神殿で洗礼受けた方は利用できるんですよ』


頭の中に、スマホみたいな画面が広がる。


メッセージ。


通知。


祈り。


神託。


色々並んでいる。


「うわ、マジでネットだ」


『まあ神界製ですけどね!』


その中に、気になる項目を見つけた。


【観測の女神ルミア】


信者数:1


「…………」


嫌な予感。


「ルミアさん?」


『はい!』


「これ、1って」


『透さんですね!』


「俺、信者になったつもりないんだけど」


『使徒契約した時点で自動登録されました!』


「うわ胡散臭ぇ……」


思わず白い目になる。


『そ、そんな露骨に引かなくてもいいじゃないですか!?』


「いやだって登録無料って言って勝手にサブスク入れるタイプのやつじゃん」


『神聖な契約ですぅー!!』


「そもそも俺が来るまで0だったのかよ」


『それはそれは寂しかったんですよ!!』


頭の中でルミアが騒いでいる。


……まあでも。


信者数1。


弱小も弱小だ。


なんというか。


妙な親近感がある。


『と、とにかく!』


ルミアが慌てて話題を戻す。


『この世界の基本情報とかはオラクルネット経由で確認できます!』


『地図、魔物図鑑、神殿情報、簡易歴史、などなど!』


「便利だな……」


『ただし高機能部分は信仰力不足でロックされてます!』


「あーはいはい課金圧」


『信仰ですぅー!!』


まあそんな感じで。


俺、水川透……いやトールは、


観測の女神ルミア唯一の信者兼使徒として、


異世界での生活をスタートすることになった。

今日の夜も投稿します。

明日からキリがいいところまで昼夜で各1話ずつ投稿していきます。

感想などいただけましたら幸いでございます。


面白かったら評価・ブクマお願いします。


ルミア『ご入信もお待ちしております』

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