【音量注意】アンデッド攻略をやってみた【猫姫絶叫】
『どうも、異世界攻略チャンネルです』
画面が切り替わる。
薄暗い石造りの通路。
壁には苔。
どこか湿った空気。
そして。
画面中央には猫耳の少女が映っていた。
銀髪。
猫耳。
尻尾。
そして。
妙に顔色が悪い。
『今回は墓場ダンジョン攻略です』
「帰りたい」
『まだ入ってないだろ』
「もう嫌だ」
『早いな』
ステューが本気で嫌そうな顔をしていた。
猫耳もぺたんと寝ている。
『ちなみに』
『ステューさんはアンデッドが苦手です』
「やめろ」
『大の苦手です』
「やめろ」
『泣きそうです』
「やめろって!」
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画面が切り替わる。
ダンジョン入口。
石碑。
古い墓。
朽ちた柵。
典型的な墓場である。
『アンデッドは初心者が苦手とする相手です』
『理由は単純』
『怖いから』
「身も蓋もないな」
『実際そうです』
『性能以前の問題です』
『見た目が怖い』
『動きが怖い』
『急に出る』
『だからパニックになる』
『そして死ぬ』
「嫌な説明だな」
『まあ、ちゃんと補足すると手足を攻撃したところで、動きが止まらないとか』
『毒などの状態異常攻撃があるため、実際のダメージ以上に危険性が高いことも理由の一つですね』
「最初からそういうの言ったらどうだ」
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探索開始。
今回は何人かパーティーメンバーを臨時で雇っている。
先頭は盾役。
後方に魔法使い。
ステューは中衛。
俺は最後尾で撮影だ。
通路を進む。
しばらくは何も出ない。
静かだった。
静か過ぎた。
その時。
ガタッ。
「ひっ」
ステューが飛び上がった。
『まだ何も出てないぞ』
「今音しただろ!」
『石だ』
「嘘だ」
『石だって』
猫耳が完全に警戒モードになっていた。
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そして。
問題はすぐ起きた。
壁際の棺桶。
そこから。
ガタガタガタガタ。
「きゃあ!?」
『出ました』
スケルトンだった。
骨。
剣。
錆びた鎧。
初心者向けの雑魚である。
だが。
ステューは雑魚だと思っていなかった。
「来たああああああ!!」
斬撃。
一閃。
スケルトン粉砕。
二体目。
粉砕。骨が壁に散る。
三体目。
粉砕。鎧が転がる。
『強い』
「うわああああああ!!」
『めちゃくちゃ強い』
「近寄るなぁぁぁぁ!!」
『全部倒してる』
恐怖と戦闘能力が全く比例していなかった。
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映像停止。
『ここでポイントです』
恐慌状態の猫耳が映る。
『アンデッドは頭部を破壊すると行動不能になります』
『また骨格構造のため』
『関節部分が弱点です』
『落ち着いて観察しましょう』
映像再開。
「落ち着いて観察できるかぁぁぁ!!」
スケルトン粉砕。
『できてますね』
「やってから言うな!!」
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さらに奥。
今度はゾンビだった。
腐敗臭。
腐った皮膚。
ゆっくり歩く死体。
「うっ」
ステューが固まる。
『こちらはゾンビです』
『スケルトンより弱いですが』
『病気や毒を持つ個体もいるので注意』
「説明のタイミング最悪だろ!」
『動画なので』
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ゾンビが手を伸ばす。
ステューが飛び退く。
「近寄るな!」
斬る。
転ぶ。
立つ。
また斬る。
完全にパニックだった。
だが。
全部当たっている。
『怖がってますが』
『普通に強いです』
「フォローになってない!」
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数時間後。
探索終了。
戦果は十分。
アンデッド討伐数も上々。
そして。
出口付近。
ようやくステューが落ち着いた。
「終わった……」
『お疲れ様でした』
「二度と来ない」
『でも討伐数トップでしたよ』
「そうなのか?」
『そうです』
「……そうか」
猫耳がぴこっ。
少しだけ動く。
『ちなみに』
『今日の戦闘映像を確認したところ』
『ステューさん』
『アンデッド二十七体撃破です』
「えっ」
『トップです』
「……」
沈黙。
猫耳。
ぴこっ。
ぴこっ。
尻尾。
ふわっ。
『嬉しそうですね』
「別に」
ぴこぴこぴこっ。
『耳が嘘をつけてません』
「うるさい」
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エンディング映像。
夕暮れ。
墓場ダンジョン出口。
疲れ切った猫耳。
でもどこか満足そうだった。
『以上、異世界攻略チャンネルでした』
『アンデッドは怖いですが』
『対処法を知れば倒せます』
『皆さんのご視聴が、観測の女神ルミア様の力になります』
『お気に入り登録とご入信、よろしくお願いします』
動画はそこで終わる。
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そして公開翌日。
攻略動画の内容よりも。
「猫姫かわいそう」
「絶叫助かる」
「ずっと叫んでて草」
「アンデッドより猫姫の悲鳴が怖い」
「でも討伐数一位なんだよな……」
そんな感想が、冒険者たちの間で広がることになるのだった。
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ルミア『ご入信もお待ちしております』




