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その知らせがもたらされた時、国王や王妃に激震が走ったのがエリシアにもよくわかった。
かくいうエリシアも激しく動揺した。
自分たちに驚くべき知らせをもたらした壮年の男はこの場に似つかわしくない蛙を放り込んだ小さな鳥籠を傍らに謁見の間で膝を折っていた。
「カーレル殿、今の話はまことか?」
「は。私も取り急ぎ転移を行使し、その場で状況を確認させていただきました。クラリスの報告通り、ご子息……オスカー第一王子殿下の呪いはすでに解け、人間の姿を取り戻しておられます」
問い返す国王の問いにカーレルと呼ばれた壮年の男が改めて答えた。
その隣の鳥籠の中。蛙がドヤと自慢げに胸をそらしている。
が、途端にカーレルの手で鳥籠を上下に乱暴に揺さぶられて胸をそらしていた蛙が振り回されて目を回すことになった。
「オスカーが……」
王妃が思わずと腰を浮かして感極まった声を上げた。
「……あいわかった。クラリス第四王女が協議を待たずに単独でオスカーの元に走った狼藉はひとまず置き、まずはそなたらの二年に渡る尽力を労おう。我が息子オスカーをよくぞ救ってくれた」
「いえ、我が不肖の娘がしでかした不始末故。その汚名を濯ぐ機会を与えてくださった貴国の寛大な対応に感謝いたします」
国王の言葉にカーレルは深々と頭を下げたまま返す。
「エリシアよ」
「はい」
国王がエリシアの方へと視線を流し、国王とカーレルのやり取りを見つめていたエリシアは慌てて国王に向けて膝を折った。
「王子妃教育は今しばらく中断だ。今すぐに辺境地へと戻り、我が息子を迎えに行ってもらいたい。あれもまた人に戻った歓びを妃であるそなたと真っ先に分かち合いたいと思っておるであろうからな」
「私と……」
その言葉にエリシアは思わず王妃へと視線を向けていた。
ほんの数ヶ月。一年にも満たない月日しか過ごせていないエリシアなんかよりもずっと息子の身を案じ続けた人がいる。
その人を差し置いて自分が真っ先にオスカーの元へと向かってよいものなのか。
迷うように言い淀んだエリシアへ、王妃は微笑んで頷いた。
「エリシアさん、私からもお願いするわ。私たちはあの子を迎えるための準備をしておくから、あの子のことをお願いね」
エリシアの背中を押すようにあたたかく微笑んだ王妃にエリシアも迷ってはいられなくなった。
「かしこまりました。謹んで拝命いたします」
エリシアは深く礼をすると、辺境地へと戻ることを了承した。




