ねぐらの鉄塔
いつものねぐらの鉄塔に向かって飛んでいくと、なにやら数人のニンゲンが鉄塔を上っている。
ヘルメットをかぶり工具袋を腰に巻いている。
点検か何かなのか、いずれしばらくは鉄塔には近づかないほうが良さそうだな。
さて、ねぐらを追い出されてどうするか。
そういえば、ここ最近、仲間にも会ってないなあ。
久しぶりに合流するか。
そう決めたオイラは、仲間のいる神社の森に向かって針路変更した。
今の時間帯は、仲間も集まってくるタイミングだ。
懐かしい顔も見える。
一人暮らしも気ままで良いがたまには皆と暮らすのも悪くない。
しかし一ヶ月もすると、集団生活もだんだん飽きてきて、あの鉄塔のねぐらが恋しくなってきた。
やっぱりオイラは変わっているのかなぁ。
とりあえず仲間に別れを告げ、文字通り舞い戻ることにした。
途中、例の妖しく輝く部屋が気になり、近くを通ってみると・・あれれ?・・光がない。
ベランダの手すりに捉まってみた。
ベランダにはエアコンの室外機以外何も無く、部屋の窓は閉まっている。
カーテンもないので部屋の中をのぞいてみると、祭壇どころか家具ひとつない。
完全に開き部屋になっていた。
妙な商売だったから、やっぱり捕まったのかな。
あの妖しい輝きがもう見れないと思うと、ちょっと寂しい気もするな、等と思いながら鉄塔目指して再び飛びあがった。
眼下には一ヶ月ぶりのなんとなく懐かしい街が広がっている。
いくら都会とはいえ、住宅街のため一ヶ月くらいでは街並みはそんなに変わらない。
強いていえば、以前工事中だった建物が足場が無くなって仕上げの工事をしていたり、新たな道路工事が始まって交通整理の警備員が立っていたりする程度だ。




