道師様とラメの紫服男
道師様がラメの紫服男に言った。
「ふう。これで今日は何人目だっけ。」
「壷を渡したのが3人、壷を交換にきたのが5人、お布施は2万5千円なり、てな感じだな」
「ふうん、目に見えないものなのに言われたとおりに持ってくるもんだな。」
「人間ってそんなもんさ、目に見えなければ、言われたことが基準になる。あとは持ってきたときに毎回念押しすればこっちのもんよ」
「でも、目に見えないはずなのに、みんなだいたい気がいっぱいになっているんだよな~」
「・・な、何言ってんだよ、お前、気が見えるみてーじゃねえか」
「なに言ってんだよ、俺ぁ道師さまだよ。見えるに決まってるじゃん、、、てか」
「脅かすなよ、本気にするじゃねーか。俺そういうの本当はダメなんだよな~」
「ハハハ・・わりいわりい、まあでも、あんな壷でも気休めでもいいから、幸せになってもらえれば気が楽だな。どうせならもっとお布施吊り上げようか」
「それこそ何言ってんだよ、道師さま。単価を安くして、数を多くするのさ。薄く広くだよ。値段を高くしたら、悪徳商法で必ずひっかかるぜ」
「冗談だよ、それに高くしたら、困る会員も出てくるからな。もっと安くしてもいいかもな。・・・俺ら本当の悪人にはなれないな~」
「まったくだな、ハハ・・。しかし、お前のあのしゃべり方は、なんとかならんかね」
「あれがいいんだよ。威厳があって、後ろの光る祭壇とマッチして神の声に聞こえるのさ~」
「そういうもんかねぇ」
ラメの紫服男は、そう言いながらなにげなく窓の方に目をやった。
やばい、ベランダの手すりに捉まったオイラと視線がぴったりと一致した。
「か・カラスだぁ~」
おおっと、危ない。オイラは、手すりを軽く蹴り大空に舞い上がった。




