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導師さま

 「え、、よろしいんですの?」

 「はい。ただ先ほどお話したように、この壷は気を溜めるだけなんです。ですからやがては気でいっぱいになり溢れてきます。そうなりますと、もう壷は役に立たなくなります。」

 「はぁ・・」

 「ですが、ご心配は無用です。その時は、またこちらにお持ち下さい。新しい壷と交換いたしますので。お持ちいただいた古い壷は、道師さまが念を送り、いっぱいになった余分な気や邪気を浄化させ、また使えるように精錬します。」

 「そうなんですか・・」

 「まあ、大概の方は、古い壷をお持ちの際、浄化していただく道師さまへの感謝の気持ちとして若干のお布施を置いていかれます。」

 「はあ、・・不躾ですが・・いかほどですか」

 「まあ、あくまで気持ちですので・・」

と言いながら、ラメの紫服男はおずおずと5本の指を広げて見せた。

 「5万・・ですか?」

 「まさか・・」

 「ご、50万?・・」

 「何を言ってるんですか、悪徳商法じゃないんですよ!」

 「ご・5千円・・・?」

 「まあ、あくまで気持ちですので・・」

 納得したのか、女は視線を壷に戻して、ハンカチでまた目の周りを拭き始めた。


 ラメの紫服男は、壷を大事そうに抱え、紺の風呂敷で包み、女に手渡した。

 「家に帰ったら、ふたの紙をはずして、部屋の片隅にでも置いてください。すぐに余分な気を吸い始めます。あなたの場合ですと、1週間位でいっぱいになるかもしれませんね。その時は、また紙でふたをして、すぐにお持ちください。」

 「いっぱいになったというのは、どうやって判るのですか」

 「気ですから、目には見えませんが、あなたのような清い方には自ずと判ると思いますよ。だいたい1週間くらいですね」

 なにやらいいかげんなことを言っているが、女はそれ以上質問もせずに部屋を出て行った。


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