男2人、女1人
改めて部屋の中を探ってみると、10畳くらいの部屋には、3人のニンゲンがいた。
男が2人と女が1人。
今声を発した男は、真っ赤な袴姿で、黄金の祭壇を背に立ちながら、いすに座っている女に向かって話しかけていた。
手には、先端にガラスのようなキラキラした物がついた棒を持っている。
「この陰陽ーぅを示す太極図を御覧ーんなさい。陰と陽が絡み合って円を形作っています。」
といいながら、ガラスのついた棒で例の妖しい光りを放っている白黒のプレートを指し示していた。
「光りーぃと影、太陽ーぉと月、天ーぇんと地、そして男-ぉと女、世の中は、このふたーぁつの力のバラーーンスで成り立っているーのです。あなたの今のお悩ぁーやみは、この力が一方に傾きバラーンスを崩しかけーていることから発生しているーのです。」
普通に言えば10秒位で終わってしまうセリフを、妙な抑揚をつけて一分近くかけてしゃべっている。
「そうです。道師さまの言うとおりですよ。あなたは何も悪くありません。たまたま今、あなたのまわりにある気のバランスがちょっとだけ不安定になっているだけなんですよ。」
と、もう一人の男が金縁めがねの奥から細い目をさらに細くして女を見つめながら、これ以上無いようなやさしい口調で語りかけた。
この男は、道師さまと呼ばれた男の服装と違い、ちょっとラメの入った紫色の詰襟スーツを着ている。このラメの輝きも、男たちの後ろで光っている丸いプレートほどではないが、オイラの脳みそを麻痺させる効果があるようだ。
「う・う・う・・ありがとうございますぅぅ。」
何に感動したのか、それともオイラのように祭壇やラメの服の輝きに酔わされたのか、話を聞いていた女が突然泣き出した。
「うぅ・・わたしのせいではないんですね。わたしが悪いからフラレたわけじゃないんですね」
「もぅちろーんです。こーんなに美ーくしいあなーたが、悪いはずがあるはずないーじゃあーりませんか」
と訳のわからない表現とイントネーションで道師さまが答えた。




