三度目のねぐら参り
秋の風が吹き始めた頃、オイラは三度目のねぐら参りを試みた。
季節としては、オイラは秋が好きだ。都会から出るゴミが主な食料だが、秋になるとやはりゴミに出てくる食料の種類が豊富になる。
さらに、都会では数少ないが、カラスの本来の食料である木の実等も食べごろになるので、本能的に気持ちがウキウキしてくる。
それでも日を追うごとに涼しくなっていく風を受けると、冬の到来を予感して身の引き締まる思いもしてくる。
さて、もちろん今回も、例の妖しい光がどうなったか確かめずに素通りするわけにはいかない。
どれどれ・・、おっ、行列だ。前回すっかりいなくなってしまった会員が戻ってきたのか、皆壷らしきものを抱えて並んでいる。
オイラは、いつものように2階が丸見えの電柱に留まり、中を覗き込んだ。
いるいる。
道師さまとラメの紫服男だ。女性スタッフもいる。
そして会員も10人位いるようだ。
「はい、それではいつものように壷を前に並べてください。道師様が壷を精錬いたします」
ラメの紫服男がそういうと、会員達は道師さまの前にある長机に壷と祝儀袋を並べ始めた。
壷を並べ終わり会場に一瞬の静寂が訪れると、真っ赤な袴姿の道師さまがタイミングを見計らったかのように、ガラスのついた棒を両手で握り締め、目を瞑りぶつぶつ呪文のような独り言をはじめた。
おや、道師さまの持っているガラスのついた棒が、一回り太く立派になっている。
道師さまは、その棒を振り回し、奇声を上げはじめた。
「ぅ、きゃあああぁぁ・・ぽぽぽぅぽぅ・・げげげげぇぇ・・ぴぴぴ」
なんか、奇声もバージョンアップしている。
そして前と同じように棒を両手に持って先端を壷の口を覆っている紙のふたに突き刺した。
「かぁーーーかっかっかっかっ」
その時、なにやら臭いにおいが漂ってきた。匂いの元はどうも今棒を突き刺した壷のようだ。
道師さまは、棒を壷に突き刺したまま
「フンッフンッフンッフンッフンッ」
と気合を送っている。
すると棒の先端のガラス玉がピカッと光り、棒が刺さっている紙との隙間からシューと気体が噴出した。
その瞬間に、さっきの匂いはうそのように消えていた。
「キェイィィ」
そう言うと、道師さまは棒を生き抜いて、次の壷に取り掛かった。




