競争相手出現!
「俺達のやり方をパクったやつがいる。しかもすぐそこ。俺たちが前に住んでいたあのマンションの3階で始めやがった」
「このビンは、、」
「俺達は、壷だろう。やつらはこのビンで同じようなことを言って渡しているんだ。しかもお布施は3千円ポッキリ。教祖の格好がアラビアンナイト風のスタイルらしく、このビンも豪華に見えるんで部屋にマッチするとかで、うちの会員がそっくり取られちまった。」
道師さまと女性スタッフは、机の上のクリスタルのビンを見つめて絶句している。
「しかも、やつらは、このビンは俺達の壷よりも性能がいいが、一軒に同じようなものがあると反発してしまうので、この瓶を置くなら壷を割るように言っているらしい。割れた壷から出た邪気はこの瓶が掃除機のように吸い取るそうだっ。」
ラメの紫服男は、そう言いながら机をドンと叩き、こぶしを震わせている。
「すると、俺らの壷は、もう、、」
「ああ、多分みんな割られてそれっきりだ」
3人はすっかり無言になり、クリスタルのビンを見つめている。
ビンは、よりゴージャスになった祭壇の光を受けてさらに妖しい光を放っていた。
と、その時、オイラの頭に冷たい水滴がポツリと当たった。
同時に曇り空のはるか上空で、ゴロゴロゴロ・・と雷の音が響いている。
夕立である。
日照りを避け、曇天に来たのがまずかった。1分もしないうちに、大粒の雨がザーっと降り出した。
女性スタッフが、雨音に気付き、窓の方に視線を移した。
またしてもオイラと視線が一致。
「か・からすがこっちを見てるぅ~!」
どっかで聞いたような奇声を放ち、こっちを指差した。
天気も悪くなってきたことだし、ここが引き時と思い、土砂降りに負けないように電柱を強く蹴って雨のなかに飛びあがった。
目指すは、おいらの懐かしいねぐらの鉄塔である。
空の上から見ると、夕立の降っているところはベルト状にくっきりと分かれていて、まるで雨のカーテンのようになっている。
そのカーテン越しに、おいらの鉄塔が見えてきた。
まあ、覚悟はしていたがまだネットははずされていない。残念。
よく見ると、格子状に鉄骨が組んである鉄塔の真ん中に、なにやら太い円柱が伸びてきている。
まだまだ工事は途中のようだ。
いったいいつまでかかるやら。
オイラは、鉄塔の周りを数回まわって、またしても神社の森に向かって進路を取った。




