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ネットで覆われた鉄塔

 気になっていた輝きの現状が判ったので、なんとなくホッとしながら、懐かしい鉄塔のねぐらへ戻ることにした。

 もうニンゲンたちもいないだろうと思いながら、懐かしい街並みを眺めつつ、鉄塔に近づいていってびっくり。

 なんとオイラの鉄塔は、すすけた緑色の細かい目のネットがすっぽり覆い被さっており、その中で何人もの作業員が黙々と作業を進めている。

 さて、困った。


 オイラのねぐら鉄塔の電線を北にたどっていけば、同じように格子状に組み上げられた鉄塔があるにはあるのだが、あっちは、なぜか風の流れがあまり良くない。空気がちょっと重い感じがする。

 オイラたち鳥族にとって風の雰囲気は命に係わる。

 それに見慣れない別グループのカラスが時々飛び回っているので、あまり近づきたくないのだがどうしたものか。


 迷いながら北の鉄塔を見てみると、なんと、そっちの鉄塔も同じようなネットで覆われていて、すでに作業が進行中だ。

 仕方が無い。また、しばらくの間群れに戻るとするか。

 そう決心したオイラは、ちょっと名残惜しいので鉄塔の周りを数回旋回し、懐かしい風を翼に感じてから、再び神社の森を目指して羽ばたいた。



 あれから2か月も経っただろうか。

 真夏の真っ盛りが過ぎて残暑厳しい近頃。

 真夏に比べ若干過ごしやすい季節ではあるがまだまだ暑い日が続く。

 特にここ数年は異様に暑い日が連続しているような感じがするがニンゲンたちは「オンダンカ」のせいだと言っているようだ。

 とりあえず今年の真夏の一番暑い時期は、ねぐらの鉄塔がなにやらネットに囲われて工事をしていたので、仲間とともに神社の森で過ごした。

 黒衣のオイラにはあの鉄塔よりも日陰の多いこの神社の森の方が住みやすかったので、まあ、結果的には良かった気がする。


 ところであの鉄塔の作業は何なのだろう、オイラの鉄塔のニンゲン達はもういなくなったかな。夏の日差しも少しは和らいできたが、直射日光は遠出にはちとキツイので、曇りの日を狙って行ってみることにした。


 鉄塔へ向かう航路の途中に、例の妖しい光の家がある。

 知っている人は知っていると思うが、カラスはとても好奇心旺盛である。オイラはカラスの中でもひねくれものではあるが、あの道師さま達がどうなっているか、素通りして鉄塔へ直行できるほどカラス道をはずしてはいない。

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