第三話:わからん(明黄視点)
気がついたら家についていた。もうすでに疲れ切っていて、寝てしまいたいが神父に渡されたこの紙を親に届けなければいけない。玄関のドアを開ける。蝶番の軋む音が、この家ではいつものことだ。
「ただいま。今帰ったよ」
「おかえり、アンディ。早かったわね」
「うん、一番にやらされたからね。それと、これ。神父さんが親に渡しって」
「あら、何かしら?」
神父に渡された紙を母に渡す。母がその上を見て血相を変えた。
「そんな、まさか……」
「どうしたの母さん?」
「アンディ……いいえ後で話すわ一旦お父さんの帰りを待ちましょう。部屋で休んでなさい」
部屋に返されてしまった。正直疲れていたのでとてもありがたいが、まだ昼だ。とてもじゃないが寝る気に離れない。どうせだから、自分なりに今回のことを考えることにした。
神父の紙の内容は見ていない。さすがに、あの時に見る気力はなかった。ただ、儀式のとき彼は勇者がといっていた。俺がスキルツリーを見たときに、【勇者】というスキルツリーが有った。これが神父の言っていたものと同じなら、神父が紙に書いていたのもこのスキルツリーについてだろう。
あのスキルツリーについてはよくわからないが、俺は転生してこの世界にいる。あの光に襲われて目が覚めたらこの世界にいたからそれも確かなはずだ。もしかしたら、この【勇者】のスキルツリーは転生特典なのかもしれない。
転生したら勇者になっていたみたいな転生は、テンプレでもよくある。もしかしたらこれもそういう類なのかもしれない。だとしたら一緒に死んでいった、クラスメイトたちも気になる。もしかしたら、彼らもこの世界に転生しているのかもしれない。だとしたら、あいつにもまた会えるかもしれない。
そんなふうに思考を続ける。そのとき、父が帰ってきた。
「ただいま」
「おかえりなさい。あなた」
父が帰ってきたということは、そろそろ呼ばれる頃合いだろう。母は父が返ってくるまで一旦待ってくれと言っていた。しかし、何を言われるのだろうか。




