第04話
なんだよこれ。良くあるホラー映画の演出だよ。これ入ったら絶対アウトなやつじゃん。
と思いつつも足は恐る恐るドアに近づいてしまう。
警察が教えてくれない。なら、自分の目で確かめるしかない。ユイが巻き込まれてるかもしれないんだ――
怖いから少し離れた所から中の様子を伺ってみたが暗くて何も見えない。
現実的に考えて俗にいう『人怖』の可能性が高い。となればこうだ。
「すみませーん。どなたかいらっしゃいますかー?」
……反応は、ない。耳を澄ますが、音も気配も何も感じられなかった。
「すみませーん!どなたもいなければドアが開かないようにチェーン掛けようと思いますー!」
人が居たら焦って何か動きがあるんじゃないかと咄嗟の思い付きで言ってみた。
しかし中の気配を探るも特に感じられるものは無い。
じゃあきっと元々鍵は掛かっていなかったのか。
さっき入ろうとしてドアを引っ張った事で緩んだんだろう。
そう自分に言い聞かし、建物内に足を踏み入れる事にした。
「入りますよー…」
スマホのライト機能をオンにする。
中は閑散としていた。
オフィスだったのだろう。受付カウンターらしきものだけが残っていた。
天井からは所々から電気の配線が垂れ下がり荒廃した印象を強めている。
床をよく見てみるとモルタルの細かな破片が落ちていたり、うっすらと砂埃も積もっている。
人が居たのなら足跡とか分るかもと念入りにチェックするが、それらしい痕跡は見つけられなかった。
ま、素人だし良く分からん。足元にちょうどいい長さの鉄パイプが落ちていたので念のために装備しておくことにした。
怖い人が居たら嫌だからね。
室内を見渡すが階段らしきものは見えなかった。
エレベーターがあるので恐らく近くに階段室があるだろう。
とりあえずエレベーターの方まで進むことにした。
歩くたびに細かなガラスを踏んで、パリパリと割れる音が室内に響く。割と大きな音を出してしまっているので周囲の気配にも意識を配るが、何も気配を感じることはできない。
エレベーターの近くに到着するとその横に奥に続く通路がある事が分かった。
きっと階段はその奥であろう。ライトで照らすと普段はあまり使われないであろう階段室の鉄製の扉が見えた。
階段と書かれた扉は施錠されておらず、手で押したら簡単に開き、階段が見えた。
建物は6階建てで屋上まで階段は続いていた。
屋上に出るであろう扉は思った通り施錠されていて開かない。
諦めて1階下のフロアに行こうとドアに背を向けたその時。
背後の扉がガチャリと解錠音を立てたのだった。




