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偽り神官様は恋をする  作者: すみ 小桜


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第43話 不安な時間《トキ》

 四人は、居間で時間が経つのを待った。それしかする事がないのだ。


 「ねえ、聞いてもいいかしら? 一体何が起きているの? その……ディアルディさんって男だったの?」


 ハッと三人は、今更気がついた。

 ディアルディがラルーの前で話してしまっていたのだ。マカリーとフィタードも思ったより気が動転してしまっていた。


 「す、すみません……」


 「いや、私もラルーに言われるまで、気づいていなかった。まだまだだな、私も」


 「思ったより野太くて、一瞬で涙が吹っ飛んじゃったわ。で、女装までしてここに連れて来た理由って? 彼は、誰なの?」


 三人は、顔を見合わせる。


 「彼は、第二王子で、ずっと私がかくまっていた」


 「え!!」


 マカリーが、一言で説明するとラルーは凄く驚いた。


 「二人共何を考えているのよ! 王族を女装させるなんて!!」


 「あ、そこ……」


 ラルーの言葉に、フィタードはボゾッと呟く。


 「重要よ! 出世に響くじゃない!」


 「あぁ……。そっち?」


 「重要よ! ルナードの出世にも響くのよ!」


 「え……ルナードも出世させるつもりだったのか?」


 「当たり前でしょう!」


 「あの……あれ、いつまで続くんですか?」


 ボソッとディアルディは、マカリーに聞いた。


 「息が合った二人だろう? あの二人の様な夫婦を目指すとよい」


 「え……」


 ディアルディは、赤面する。


 「お父さん!? ルナードを彼……いえ、ディアルディ様と結婚させる気ですか!?」


 「ダメか?」


 「いえ。大歓迎よ!」


 親のお墨付きをもらえた! あ、外堀を埋めるという手段もあるな。


 こんな時に、いやこんな時だからこそ、そんな事を考えて不安を和らげていた。ラルーも同じだ。

 時間というのは、待っていると長く感じられ、早く朝になってと何度も時間を確認する四人だった。


□□□


 朝もやが掛かる森の中を二人は歩いていた。


 『こっち。やっと来た』


 二人が森に入って暫くすると、精霊の声が聞こえた。自分達を導いているようだ。


 「どういうことだ?」


 「お義父さん、どうします?」


 「ついて行こう」


 真っ白で何も見えない中、二人はどんどん森の中へ進んで行く。暫くすると朝もやもはれ、視界はマシになったが、奥深い為薄暗い。


 『あそこにいる』


 そう言われた先には、信じられない物が散乱していた。粉々になった馬車だ!

 二人はまさかと駆けだした。

 その不安が的中し、二人は一度足を止める。散乱した馬車の近くに、横たわるルナードの姿があったのだ!


 「「ルナード!」」


 震える足で、二人はルナードに駆け寄った。そして、そっと触れて生存確認をした。

 ひんやりとした体。だけど胸は上下している。息があるのだ!


 「信じられない……」


 マカリーが呟くと二人は、木々の隙間から微かに見える崖を見上げた。


 『ルナードは、森の恩人――』


 精霊がそう言った。


 「そうか。お前は、本当に精霊に愛されいるんだな」


 マカリーから一粒の涙が流れ落ちた。ルナードは、精霊によって助けられていたのだった。

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