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異世界で新たな人生を  作者: ミト
幼少期
39/45

分類

分割しました。内容に変わりはありません。後



 病み上がりでもこれならきつくないだろうということで用意してもらった果実入りゼリーも平らげ、食後のお茶で一息ついた。ちなみサシャさんは気が向いたら取ると言って、朝ご飯は食べていない。ユアさんも最初から用意していないようで、私たちが食べる風景を見つめ、時々茶々を入れてはジール先生に反論されることを繰り返していた。なんとなく、詳しくはないけどこういうのを悪友って言うのかね。

「――さてさて、そろそろ腹も膨れて落ち着いた頃だろう」

 いつ聞こうかと思っていたら、サシャさんから切り出してきた。

「メルティア嬢とクレス坊、それにジーさんには、今回の件、妾の知る範囲においての説明をしよう」

「……お前はどこまで知ってんだ」

「まあ、大まかに、だ。まずどういう事件だったかの説明でもしようかの?」

「……こいつらに教える必要はないように思えるが」

 ジール先生は私たちに事情を教えるのは嫌みたいだ。

「ジーさんが心配するのも、わからぬことではないが、嬢たちは今回の件の当事者でもあるのだぞ。何も知らせずにおれば、いずれ己たちで調べ始めるやもしれん。それよりは今ここである程度応えておいたほうがよかろう」

「…………誰が心配など、」

「してるからこその、今だろう。正直、おぬしと今日顔を合わせる予定なぞなかったんだからの」

「……」

 ……どゆこと?

 疑問を感じた私たちに気付いたのか、サシャさんがにやりと笑う。

「……そういえば、言っておらんかったな」

「――おいっ!」

「別に構わんだろう。減るものでもあるまいし、な」

 ジール先生の制止に構わず、サシャさんはちょいちょいと手招きする。

 気にはなったので、畳の上を這って近づく、とサシャさんの腕が届くか届かないか、というところでクレスに引き留められる。

「……」

「……」

 クレス?

「何もせんと言うておるのに…………。まあ、よかろう。メルティア嬢、面白いことを教えようぞ。――院からこの屋敷に辿り着くにはな、通常の行程だとどうやっても最低で五日はかかる」

「五日?」

 それがどうし…………ん? 五日?

「……クレス、ここまで来るのには、どのくらいかかったの」

『一瞬』

 は?

『一瞬』

 いや、繰り返さなくても聞こえてるから。一瞬……転移陣でも使ったのかな。

 てことは…………私たちがカウルの街にいたころからまだ二日ちょっとしか経ってないってことだよね。連絡がいつ届いたのかはわからないけど、単純計算で計算すると普通に来れば五日かかるところを、どういうわけだか二日強で辿り着いた?

 いや、空間転移ができれば…………。

「残念じゃが、ここら一帯における無断での空間転移は禁止されておるぞ(・・・・・・・・)

「禁止……?」

 てことは、実際に五日かかる道のりを大分短縮してきたわけで…………要は普通のルート以外、つまり無茶なルートで来たということで、しかもそのルートを選ぶはめになった理由はもしかしなくても…………。

「……あの、ジール先生」

「……なんだ」

 クレスの手を引っ張って横に並ばせる。

「……心配かけて、ごめんなさい」

 ジール先生に向かって、頭を下げる。畳の上に座っての状態だったから、土下座に近い格好になった。

「……」

「……クレス」

『…………ゴメンナサイ』

 クレスも心配をかけたことは自覚しているのか、渋々ながらも思ったよりすんなりと謝った。

「…………」

 ジール先生はじっとこっちを見つめてくるけど、なにも喋らない。

「………………はぁ」

「!?」

 突然の溜息に、びくりとする。え、怒られる?

「…………メルティア」

「……はい」

 呼びかけられ、顔を上げる。

「…………クレス」

「……」

 クレスも同様に顔を向ける。

「こっちに来い」

「……はい」

「……」

 言われた通り、今度はジール先生のそばに寄っていく。

 近づくと、ジール先生の手のひらが頭の上へ伸ばされた。

「……っ」

「……怪我は痛むか?」

 反射的に目をつぶったけど、ジール先生の手は頭に巻かれた包帯を撫でただけだった。

「あ、えと……痛くない、です」

「そうか……クレスは」

『怪我をしていない』

「……そうか」

 クレスの骨折時のように吊るされた腕を見ても、ジール先生はそれ以上を聞くことはなかった。

 ジール先生はいつものように頭をはたくこともなく、優しい手つきで頭を撫でることしかしない。

「怒らない、の……?」

「それは、帰ってからいくらでもしてやる。だがまず先に……」

 そう言って、ジール先生はサシャさんに向き直すと畳に手をつき、額が畳につきそうなほど、深く頭を下げた。



「――――此度の件、私たちの大切な児童たちを助けてくれたこと、厚く御礼申し上げます」



 ジール先生のその姿と言葉を認識した瞬間、慌てて私もサシャさんに向かって頭を下げていた。

「あの、私からも…………ありがとう、ございました」

 サシャさんはそんな私たちのの姿を少し見続けた後、ポツリと何かを呟いた。

「……――、か」

「?」

 あいにく、私には何を言ったのかは聞こえなかったけど、なんとなく…………ほんとになんとなくだけど、その時のサシャさんは何か眩しいものを見るような、寂しそうな顔をしていた、気がした。

「……もう顔を上げよ。妾達も目的のついでに果たしただけのこと。そこまで謝意を見せる必要も義理もない」

「そうか」

 サシャさんの言葉にジール先生はあっさりと頭を上げた。つられて私も上げる。

 …………あっさりしすぎじゃね?

「……それに、礼を言わねばならんのはこちらもだからの」

「……え?」

「ユア」

「はい」

 サシャさんが呼びかけると、ずっとそばで待機していたユアさんが私の前へ出てきた。

「今回の件につきましては、私の力が及ばなかったために、メルティア様とクレス様を危険にさらすこととなってしまい、誠に申し訳ありませんでした」

 そう言って頭を下げたユアさんに対して、私は下げられた理由がわからず、答えを求めてサシャさんを見る。

「…………ユアは"遠見(とおみ)"の能力(ちから)持ちでな。今回の件では、ユアに探し物をさせておった。そして、妾達が探しておったものは、おぬしが見つけたものじゃ」

「見つけたものって……」

 私が見つけたのって、閉じ込められてた獣たちぐらいなんだけど……。てかサシャさん、探し物は宝だって言ってなかったっけ。

「子は宝だろう? 妾は一言も、探し物は無機物だと喋った覚えはないぞ」

 いやいや、紛らわしい言い方ですよそれ。

「それでの、ユアの能力はあくまで超人的な視力だけであって透視(とうし)ではなくてな。建物内にあったり何かで隠されていると見つけることができぬ。おかげで発見が遅れた、というわけだ」

 私の突っ込みには構わずサシャさんは話を続ける。

「それで、ユアが謝りたいというので機会を設けたというわけだ。妾からも礼を言うついでにな」

「さっきから言ってるけど、礼って……?」

「ああ。おぬしのおかげで、取り逃さずに済んだのさ」

 サシャさんの周りを何かがひらひらと飛んでいた。差し出された指先にとまったそれは蝶……なのかね。まるで切り絵みたいな輪郭だけの姿で、翅を休めている。

「それは……?」

「フーディエ。まあ、部下の一つとでも思えばよい」

「はあ……」

「話を戻すが、探索にてこずっておったとき、おぬしにつけていたこれから、見つけたとの報告が入ってな」

「……つけてた?」

 サシャさんはニヤリと笑うと蝶…………フーディエ? を指ではじく。

 はじかれたフーディエはそのまま指から離れる……と思ったのに、何故かバラバラになった。

「……え」

 サシャさんの指そんなに威力強かったの?………………とか思ったんだけど、バラバラになったフーディエは落ちることもなく、空中に漂っている。ついでに、バラバラになったはずの欠片をよく見てみると、その一つ一つが蝶の形をしている。

「これはそう簡単には死なぬ。それこそ、全て燃やし尽くしでもせん限りはな」

 細分化した欠片は一か所に集まり、ボウッと光ったと思ったら、また元のサイズに戻っていた。

「ま、死なぬといってもそれまでだがの。細かくなればその分知能も下がるからな、簡単な命令しか受けつかなくなる……が、どこかに忍ばせるのにもってこいではあるのさ」

『ワカッタカ?』

「……!?」

 サシャさんが喋り終ると同時に、フーディエの体? 表面? に文字が浮かび上がった。

 文字を読んでからサシャさんを見ると、頷いた。どうやら、今のメッセージはサシャさんからのものみたいだ。

「と、まあ運のいいことに、丁度おぬしにこれをつけておってな」

 いや、運がいいっていうか、いつの間に…………いや、これは多分聞いても無駄なことなんだろう。結果的に助かったんだから、文句を言える立場でもない。

「おまえそれ犯罪だからな」

 あ、代わりにジール先生が言ってくれた。

「なんじゃ、別にいいだろう。結果的には功を奏したのだからな」

「それとこれとは話が別だ。お前がやったのは一種のストーカーだぞ」

「今回だけじゃよ、今回だけ。妾もあれで一応焦っていたのでな」

「……え、そうなの?」

 あんまりそうは見えなかったけど。っていうか私に話しかけてきたのって暇だったからじゃなかったっけ。

「あの船がもし街の海域から出てしまっていたら、少々面倒な手続きをせねば追いかけられんかったのだ。当然、その分追う速度は遅くなってしまうところでな。できればあそこで終わらしたくはあった」

 だから、と前置きしてサシャさんは私に視線を合わして続ける。

「メルティア嬢が、あの船に向かってくれていて助かった、と礼を告げたくての。怪我の手当てや説明は、その礼だと思っておくれ」

 いや、お礼って言っても、結果はそうでも結局私は役に立たなくて、しかも一人先に気を失っちゃったみたいだったし……。

「お礼を言われるようなことは、してない……」

「ふむ……。まあ確かにあの船でおぬしが出来たことなど、あまりなかっただろうな」

 サシャさんは濁すことなくはっきりと言ってきた。なんでだろ、いっそ清々しいね。

「…………だがそれがどうした」

「……え」

「おぬしは妾から見れば赤子も同然の童。力不足など当たり前だろう。むしろ、その齢で大人を凌ぐ力をもっているのであれば、それはそれで歪んだ人生となろう。過度な力なぞ持たぬ方がよい」

 やけに実感のこもった口調で話すサシャさんは、思い当たる人がいるんだろうか。自信満々でけなしている。



「確かにおぬし自身は役に立たなかったかもしれない。何も出来なかったのかもしれん。だがそれは結局過去の話だ。結果はどうだ? 妾はおぬしのお陰で追いつくことができ、獣たちは全て回収した。嬢も坊も生きている。損傷はあるが、それも取り戻せる範囲であろう。……おぬしは確かに力不足ではあった。だが、…………おぬしが船へ向かったのは、無意味ではなかった」


 つまり。


「――――過程にばかり気を取られるでない。結果的にその行動は、間違っていなかった。おぬしがいてくれて、助かったのだ」


「…………」

 なんだろうね。自分が叱られても仕方のないことをしたのはわかってたんだけど、それでも自分でやったことが間違ってなかったって、肯定してもらいたかったのかな。クレスも同じようなことを言ってくれたけど、やっぱり大人の人からも言われたかったのかな。

 …………ちょっと、嬉しい。

「……間違ってはいねえが、反省すべきことが大量にあるのはわかってんだろうな」

 そこへ雰囲気を崩しにかかるのがジール先生だ。

「……わかって、ます」

 そう、間違ってはいないとしても、そのために取った方法は最善ではなかった。もっと安全な方法を取れたはずなのに、自分の感情に急かされて独断で行動してしまった。

 今回助かったのは本当にたまたま。いわゆる『運がよかった』だけだ。気持ちだけが先行して、それに自分自身がついていけなかった。見合った実力がなかった。

「なに、これからいくらでも手に入れればよい。いくらでも時間(・・)はあるのだからな」

「時間…………そっか」

 もう、前みたいにいつ限界を迎えるのかという漠然とした不安は感じない。私は生きる。そのために必要なことならいくらでも学ぼう。どんなことでも身につけよう。だって私は、今度こそこの世界で、長生きしてみせると決めたんだったから。









 少ししんみりした空気が流れかけたけど、サシャさんの次の発言でそんなのは霧散した。

「……と、いうわけで嬢たちも反省はしておるようだし、お叱りはほどほどにしておいてはどうじゃ?」

「うちの方針に口は出すな。程度はこちらで決める」

 あ、これがっつりお説教される流れだ。

「心配しておったくせに……」

「うるせえ」

 ジール先生、してたことは否定しないんだよなあ。

「それで、話は戻すが、何か聞きたいことはあるか? おぬしも色々気になっていることがあるだろう? 礼だからな、話せる範囲ではあるが何でも応えようぞ。駄目かどうかは……ジーさんが判断するだろうよ」

「おい」

「なんじゃジーさん、構わんだろう。おぬしの仕事の延長線とでも思えばよい」

 ジール先生の反論の声を一蹴し、サシャさんはさあどうぞ、とばかりに寛いでいる。ジール先生はその姿を見て諦めたのかため息をついて何も言わなくなった。

 とりあえず何から聞くべきなんだろう。

「ないならないでそれでもいいが、とりあえず気になったことはないのか?」

 気になったこと…………あ、そうだ。

「クレスの腕は……ちゃんと元に戻る?」

「…………真っ先に思いついたのがそれか?」

「? うん。何か、変?」

 おかしな質問だったかな。

「いいや? おかしくはないぞ。………………よかったな、坊」

 ? クレス?

 クレスがいきなり背中の方からよっかかってきた。顔は見えないけど、なんだか嬉しそう。

「クレス坊の腕だがな。診たところ、少々時間はかかるが治る見込みは十分にあるの。二、三日ほどで戻るだろう。ジーさんには悪いが、その間ここに滞在してもらうぞ」

 ジール先生は溜息を吐くと、渋々と頷いた。

「……仕方ない」

「歓迎しよう。久々の客人だからのう」

 というわけで、初めてのお泊りが決定しました。いや、もう二日泊まってるらしいんだけどね。








 次に聞くことって言えば……、やっぱりこれかな。

「…………あの船は、密売をしていたの?」

 船の中で見た檻には、泣いていた子狼以外にもいくつか入っているものがあった。捕まった原因がサシャさんの言っていた追うことになった理由とみな同じなら、結構大きな組織絡みの行動になるよね。

「…………」

 今改めて思い出しても、やっぱりやばいものに手を突っ込んじゃった感があるなあ。顔覚えられてたらまずいんじゃないのかね。

「……何を悩んでいるのかは知らぬが、今回の件についてであれば、おぬしらのことはまず誰にも知られぬから安心せい」

「……え?」

「その程度の伝手はある」

「…………よく言う。どうせ脅しだろう」

「そこは暗黙の了解というものさ」

「……?」

 よくわからないけど、とりあえずサシャさんが只者ではないことを再確認した。ていうかジール先生はこんな人とどんな経緯で知り合ったんだ。

「――あの船自体は、後ろ暗いことをやっていることに変わりはないが、密猟を行っていた者たちとは別のものさ。金さえ払えば、素性の怪しいものでもなんでも運ぶからの。使いようによっては便利なものだから、覚えておいて損はない。まあ、ああいったものを利用するには紹介が必要だから、全くの無関係というわけでもないが」

 とはいえ、あの船はもう使い物にならぬだろうから、あの者たちは廃業かの。

 サシャさんは茶化して言ってるけど、駄目になった原因てクレスの、ひいては私たちのせいだよね。誘拐犯の人達はともかく、船の持ち主には悪いことしちゃったかなあ。

 ちょっと落ち込んでいると、クレスが肩を叩いてきたので、その顔を覗き込む。

「………………」

 =メルティア、俺がやったときは、船はまだ無事だった

 ……ん? そうなの? じゃあ船が沈んだのって…………。

『九割方は、これのせい』

 クレスが指差す方向には、扇子を扇ぐサシャさんが。

「……」

「……む?」

 サシャさんは私の視線に気付き、私の顔とクレスの文字を見て察したようだ。

「……そうさなあ。妾が着いた時、船はまだ原型をもって浮かんでおった(・・・・・・・)からの。おぬしらが原因でないことははっきりしておるから、安心せい」

 それに、とジール先生が付け加えた。

「そういった職業上、遅かれ早かれいつかはなっていたことだ。船の奴らも受け入れる客を見極めきれなかったせいもあるからな」

 これは……ジール先生に、慰められてるのかな。

 サシャさんがグイッと顔を近づけてくる。間近に迫った顔は、面をつけているせいか異様な威圧感を放っているように感じた。

「事件に関わったからと言って、責任全てに己が関わっているわけではない。気にするなとは言わぬが、割り切れ。――――この世界は、諦めと妥協が肝心であるぞ」

「………………え、と……努力、する」

 サシャさんの最後の言葉には、やけに実感が伴っている気がした。








「あとは……」

 真っ先に気になったことは聞いたからいいとして、他には……急に聞かれてもなあ、クレスは興味なさそうにしたまんまで聞くこともなさそうだし、何が起きたのか自体をよく理解してない私に聞かれても……何かあったっけ………………あ、そうだそうだ。

「あの、私が船で襲われた双子の……」

 確か、ネーアとミーアって呼んでたっけ。

「双子……? 双、子……だったか?」

「え、大分、そっくりだった、はず……?」

 サシャさんは会ってなっかったのかな。

「いや、風使いと炎使いのことだろう。会ったぞ」

「……思い出そうとしても無駄だ無駄。お前興味のない奴の顔なんざ覚えらんねえだろ」

 ジール先生の言葉に、サシャさんは反論しない。が、むすっとはしてる。

「興味がないわけではないのだが…………まあ、覚えておらんが」

 だめじゃん。

「いや、どういう者たちだったかは覚えておるぞ。……で、聞きたいことはなんだ」

「えと……あの人達の前で、使おうとした風魔術がかき消された。どうして? それに、陣も見当たらなかった」

「あの者たちは精霊種の力を使っておったからの。優先位(・・・)でかき消されたのだろう。陣は使っておらぬから、見当たらなくて当然だの」

「……?」

 精霊種? 優先位? 陣を使ってない?

「……なにそれ」

「うむ? もしかしてジーさん、まだ分類を教えておらんのか」

 サシャさんの質問に、ジール先生は何言ってんだこいつ、みたいな目をしている。

「そいつら何歳だと思ってんだ。まだ五歳児だぞ。魔術は流れで教えたが、それ以外はまだ一般常識を詰め込ませている最中だ。勝手に本読んで偏った知識は入れてるらしいがな」

 あ、隠れて禁止区域の棚の本読んでるのばれてる。やばい。

「ふむ……、まあいいか。ジーさん、間違っていたら直しておくれ」

「おい、そいつらは…………」

「平気だ。嬢たちの理解力自体は、すでに成人と遜色ないだろうからの」

 何やら授業が始まりそうな雰囲気になってきたんだけど。

 サシャさんが指先をくるっと回すと、どこからともなく大量のフーディエがあちこちから飛んできた。いや、どんだけいるのよ。

 サシャさんの背後に集まったフーディエ達は、合体するとサシャさんの座高を優に超えるサイズにまで巨大化した。まるで即席のホワイトボードのようだ。というかようだ、じゃなくてまさにその通りだった。大きくなったフーディエの表面に現れた字は――――。



「――――まずは、種族の『分類(・・)』についてでも教えるとするかの」



 

少し説明回が続きます。

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