↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で新たな人生を  作者: ミト
幼少期
16/45

のほほん危険人物

「そういえば~メリーちゃん、クーくんはどうしましたぁ?」

 シャルさんがむしゃむしゃと食事をしてる間に、部屋の中を簡単に掃除する。

「あ、その瓶は密閉してあるから氣をつけてくださいね~」

「……クレスは別。これはどこ?」

 クレスは最近格闘術の授業も受けるようになった。今日も、同じ授業を受けているマークに引っ張られていった。私ももう少し強化した体に慣れたら受けてみたい。

「あら~、そうなんですかぁ? クチハの実は後ですりつぶすからぁ、わかりやすいところに置いといてくれますか~」

 ………………この人の間延びした口調どうにかならないかなあ。変に調子が狂うっていうか……。

「ところでメリーちゃ~ん」

「……?」

「この部屋にはなんの用事ですかぁ?」


 ゴチッ


「…………」

 思わず頭を棚にぶつけてしまった。

「……」

「あら? メリーちゃん駄目ですよぉ、それ振りかぶっちゃ。割れて気化したらメリーちゃん倒れちゃいますわ~」

「…………」

 持っていた瓶は棚に戻す。

 代わりに手近な本を手に取る。魔術も加えて勢いよく飛ばしたそれは、シャルさんの片手で持ったお盆によってあっさりと弾かれた。どうしてこの孤児院の大人達は皆こうも規格外過ぎるのかなあ。

「……草木の知識、教えてもらう約束……」

「……………………………………。

 ………………………………………………。

 ………………………………………………………あらあらぁ、そうそう! そういえばそういう話でしたねえ!」

 ……この人興味のないことはすぐに忘れるんだよね。この質問だって三回目だし。

「それで、前は何を話しましたっけぇ?」

「…………ヤワズの実の毒性と、その中和法について」

 シャルさんはポンと、右手のこぶしで左の掌を叩く。

「それなら、実際に見てみましょう~!」

「……?」

 突然何を言い出すこの人は。

 シャルさんは善は急げとばかりにいそいそと立ち上がり、壁に掛けられていたどこかの鍵を手に取る。

「こちらですよ~」

 シャルさんについて行くと、天井から吊るされている干した薬草のカーテンの向こうに、こじんまりとした扉があった(ちなみに、反対側にも扉があるんだけどそっちはシャルさんの寝室。あんまり使われてなかった)。

 …………ここ、外からの出入口あったんだ……。

「いい天気です……。そろそろ咲く頃ですかね~」

「何が?」

「食人花です~」

「…………」

 幻聴かな。今、シャルさんさらっととんでもないもの言わなかった?

 シャルさんは相変わらずニコニコしてる。言い間違えってことはなさそう。

「咲きましたら~、花粉を回収しましょうねぇ。五秒で終わらせないと腕もがれてしまいますからぁ、気を付けてくださいね~」

 え? これ手伝うパターン?

「あそこです~」

「……?」

 シャルさんが指差した先には、木々が広がっているだけ…………あ? 今何か光った。


「あ…………」


 近づいてみると、光った物の正体がわかった。

「大きい……!」

 森の中に隠れるように、全面硝子(みたいな物)張りの温室があった。

「メリーちゃんは見たことありませんでしたか~? この温室はぁ、ボーリ石でできたものなんですよぅ」

 ボーリ石……っていうとあれか、見る向きと角度によって透明になったり白くなったり、あるいは光に反応して周りの景色を映し出すっていう鉱石…………だったっけ?

 なるほど、それなら遠目ではわからない。まさか近くにこんな大きな建物があったなんて、知らなかったな。

 さすがは、何でもありな世界。前の世界じゃありえない物も普通に存在してるんだね……。

 ………………というか、常々思うけどこの孤児院、土地あり過ぎ……。

 聞いた話じゃ、近くにある野菜畑や、山一つ越えた先の朝の訓練場だけでなく、ここら一帯の山や森も、ここの院長先生のものらしいし。

 ………………え、前々からそんな噂どっから仕入れてくるんだって?

 二月に一回ぐらいにくる業者さん。

 ここの孤児院出身らしくて、いろいろ教えてくれた。おしゃべりな人だけど、ここ出身なだけあって、身のこなしに隙がなかった。

 外で迂闊なことを喋ってしまうってことはなさそう。

「メリーちゃ~ん? 入りますよ~」

 いつの間にか温室の鍵を開けていたシャルさんが手招きする。

「今行く」

「入ったら~、すぐに左によってくださいねぇ」

 入り口の戸を開けながら、シャルさんが釘をさしてくる。

「どうして?」

「入り口付近に~、防犯を兼ねて酸を吐き出す植物を植えてるんです~。もちろん酸も回収しますよ~? あれは特定の葉っぱと合わせて調合するとぉ、便利な腐食液になるんですぅ」

 腐食液なんて普通に暮らしてたらまず使わない!…………多分。

 どうしよう。今無性に帰って寝たい。クレスの顔見たい。

 だって…………ねえ? どう見たって、怪我を免れられないルートじゃない!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。