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完結編 第7話 星を見よう


「昨日さ〜」

「サボったら天音が迎えにきてさ~」

「またかよw」

いつもの風景だ。

でも、紫苑だけは何も反応を示さなかった。

蓮はそんな紫苑の横顔を見ていた。

空を見てるようで掴めない、そんな横顔だ。


「なー紫苑?」

蒼真が紫苑に声を掛けるが紫苑は答えない。

不思議そうな蒼真も紫苑を見たが紫苑は少し俯くだけだった。

「紫苑?どうした?」

心配した天馬が声を掛けた。

いつもなら、蒼真の話に「くだらねぇな」と返すのにそれすら、ない。

「別に」

紫苑は顔をあげると次、移動だろ。と1人で歩き出してしまった。

「おい、紫苑!」

本当にどうしたのかと天馬は紫苑を追いかけた。

「……なぁ、あいつどうした?」

蒼真は蓮に問いかけた。

「…お前がアホだからだろ」

「はぁ!?」

蓮は紫苑の様子に気づいていない蒼真に言っても分からないだろうと

適当な返答をした。

「でもさ…どんなアホな事しても紫苑は笑ってくれるじゃねぇか」

蒼真は少しだけ俯くと

「あいつが笑わねぇの、つまんねぇよ」

このダメ人間でもさすがに少しは気が付くか…。

「まぁ、考え事でもしてんだろ。…行くぞ」

「おう」

遠くなる紫苑と天馬の背中を追いかけ俺たちは歩き出した。



---「紫苑」

返事をしない紫苑に天馬が低い声で詰め寄った。

だが、紫苑は返事もせず、歩く足も止めない。

「なぁ」

「……」

「紫苑!!」

天馬が紫苑の肩を強く引いた。

やっと止まった紫苑が天馬を振り返った。


「…なんだよ」

「なんだよってお前…おかしいぞ」

「…大丈夫だ」


ー大丈夫。

俺は間違っていないんだ。

3人よりも俺は進んでいかないと。

そうしないと、このまま笑っていられないんだ。


「…なぁ、紫苑」

「4人で笑ってようぜ」

天馬が微笑んだ。

その微笑みさえも紫苑には眩しかった。

ーどこにも行くな。俺たちがいる。

天馬は微笑みにそう込めていた。

「……まぁ、お前と蒼真のバカやってんのは好きだけどよ」

つられて、紫苑も微笑んだ。

「だろぉ?」


ー天馬。お前は俺の隣にいてくれよな。


いや、あの2人も断っても居そうだけど。


「おーい」

蒼真だ。置いてくなー。と蓮と歩いてきた。

蓮はいつも通り静かに歩いている。

合流した4人は移動先へとそろって歩き出した。



移動先で講義を受けていた。

蒼真と天馬は寝ている…。

呑気な奴らだ。と紫苑は鼻で笑った。


そんな紫苑に蓮は話しかけた。


「……無理してるだろ」

「何が」

「分かる」

紫苑はまた少し

「……お前にはな」


「うぉっ」

寝ている蒼真と天馬に橘教官からチョークが投げられていた。

天馬にはヒットし、蒼真は上手くキャッチすると

なぜか橘教官に投げ返した。

橘教官は今度は教本を蒼真に投げ…講義を続けているのに謎のキャッチボールが繰り広げられている。


—ホントに、アホな奴。


なのに、追いつけないその実力。

「何してんだ、蒼真は……ッ!」

そして、何故か蓮にも橘教官のチョークが被弾した。

「なんで、俺?」

頭に白い粉を付けて間抜けな顔を蓮がした。

「お前はそういう運命なんだろ」

「似た者同士は仲良く一緒って事だよ」

「いや、理不尽だろ」

こんなバカなやり取りが好きだ。

真面目な蓮は何故か巻き込まれやすい。

でも…今の俺は全力で楽しめない。


「なぁ」

天馬が紫苑と蓮へ小さなメモ用紙を手渡した。

いまだ謎のキャッチボールを続ける蒼真には教本の横に置いてあるメモ用紙。

蓮はメモ用紙を開くと…


『今夜23時、寮の屋上』


とだけ書かれている。


屋上は立ち入り禁止のはずだ。

蓮は顔をしかめた。

バレたら、またペナルティ食らうだろ、と。

だが、天馬はニカッと笑うだけ。

文句言わずに来いよな。とでも言いたげな表情だ。




—夜。


基本的に部屋から出てはならないルールはないが

屋上は立ち入り禁止だ。

4人で動いてはバレるだろう。とバラバラに動く事となった。

—が……。


「なんで2人なんだよ」

「オバケでも出たらどーすんだよ!」

蒼真がまたアホな事を言い出す。

………確かに。

オバケと遭遇したら、嫌だ。怖い。

騒がしいお陰で追い払えるかもしれないと蓮は蒼真と歩いていた。


途中で先輩達に会ったが特段、怪しまれていないようだ。

そして……..。

簡単に屋上の扉に辿り着けてしまった。

ゆっくりと扉を開けると既に天馬と紫苑がいる。



「3分遅刻」

紫苑が鼻で笑いながら言った。

昼間の様子とは違い、少し解れた表情をしていて

蓮はなんだかほっとした。

天馬が紫苑と何か話したのだろうか?


「うっせぇな」

「で?天馬、呼び出してなんだよ」


天馬は夜空を見上げ、指さした。



「星、見ようぜ」



それだけ。

ただ、一言だけだった。



でも、異論を唱えるものは居なかった。



—4人で繋がっていよう。

この星空のように、どこまでも、永遠に。


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