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上等!

【特徴のない石畳の通路】


 ベーゼンドルファーは、もはや数ヶ月の時間を遡るかのように、初めて建成を見かけた【モアーの間】に辿り着いた時の事を話した。


「…… なるほど。 つまりあるのだな? 『裏口』は」


「おい今までの話を聞いていたか?

 ……馬鹿げた距離の雲梯を渡らされて、赤い光に追い付かれないようにダッシュした後に、馬鹿げた高さのロープを登らされて、

 その後は馬鹿げた距離を着衣泳させられるんだぞ」


「……それで?」


「ああ?」


「まだあるんだろう? 続きを聞かせろ」


「な!! ……お前は、馬鹿か!? 俺が記憶からわざわざ消してたのはな、二度と思い出したくないからだ! しかもその後であの化け物を倒すって!?

 とてもこの世の者ができる事じゃねえ」


「ユーレイ……俺はな、この世の者じゃない」


「……」


「俺は、この世界で成り上がるために修行を積んできた、『転生者』だ」


「馬鹿野郎……魔法も使えねえくせにか」


「それがなんだ」


「俺やスタンウェイがいなければ、満足に城を攻略できないお前がか!?」


「それがどうした」


「聞けよ!! お前が転生者だってんなら、俺はコッチの世界のベテランだ。

 それなりに危ねえ橋を渡ってきた。食っていくために、家族食わせるためにそれこそケチな死体漁りからはじめて、

 空き巣にスリに、そこから空き巣が強盗になって、ヤバい城に潜り込んで……とにかく現実主義のこの世界代表だ!

 その俺がヤバいって言ってるんだぞ!?」


「上等!! 『正直村』とか『裏声』とか『爆食い』とか、そんなものよりむしろ俺が望んでた状況はソッチ側のハードワークだ!!」


 建成にそう言われて、ベーゼンドルファーは思い出した。目の前の男は、愚直なまでに脳筋で、

そして意見をコロコロ変える癖に腕っぷしだけは強くて、

そして、諦めの悪い底なしの馬鹿だった事を。


 もう一つ思い出した。

そういえばコイツは転生者だった事を……


「……ついてきな。梯子まで案内するぜ……

 あと、いくらお前でも20分以内に、今いった事全てをこなすなんて不可能だ。

 俺はコールセンターに行く」


「それだと本末転倒だ! 死ぬきか!?」


「まさか。いいか、『一回だけ』しかリセットできん最大40分しかお前にくれてやれん。

 ……その40分が、俺が盗賊を抜けるケジメと、お前へのせめての激励の呪文だと思ってくれ」


「……わかった。ありがとうユーレイ」


「……っつっても、『今回』はもう流石に、お前を梯子まで案内してから【コールセンター】にまでいくもないだろう

 転生したら、なるばく早く地下牢まで来い」




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