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緑のバケモン

【異界の日替わりランチを出す定食屋】




「遅れてすいやせん!!」


 今や料理人となったベーゼンドルファーが定食屋に駆け込む。


「おせえぞ馬鹿野郎!! 店の外の掃除終わってねえぞ!!」


「へい!! 今やりやす!! すいやせん!!」


 ……建成たちに何が起きたのか、ここ数回20分で『ループ』されてしまう。

おかげでその度に、ベーゼンドルファーは、独房からこの定食屋に来る必要があった。


 ラーメン屋として独立するまでは、エリーに会わないと決めたので、エレベーターを使うことができない。

つまりは……【くだらない螺旋階段】の『騎士の扉』を開ける必要があるのだが、

どう言うわけだか、転生直後、独房にその扉の鍵が放り込まれていた。


 ……気が利きすぎている。こんなことをできるのはエリーぐらいしかいない……。

彼女なりに応援してくれているのだろうか。

そう考えるとベーゼンドルファーにも気合が入ると言うものだった。


 しかし、いまだに包丁の握り方、鍋の持ち方すら教えてもらえない。

やらされていることといえば、調理場の掃除。店内の掃除。掃除。掃除。掃除。

それのみである。


 ある時、大将から厨房に呼ばれて、お、いよいよか? と期待していってみれば、

やらされたのは調理器具の清掃だった。


 文句が全くないといえばそれは正直嘘になる。しかし、調理場というのは大将が唯一の絶対権力なのだ。

今までの自分には、全くない発想だった……。


 だとしても、再びループが続くのはいい迷惑だ。建成は何をしているのか。

店の外の床を磨きながら、ベーゼンドルファーは建成に対する恨みつらみを積もらせた。

そこに……


「おい、ユーレイ」


 ベーゼンドルファーは一瞬ビクッとしたが、その声の主が建成と気づくと声の方へと向いた。

今までにない深刻な表情の建成がそこには立っていた。


「……おめえはここで何をしてる」


 すぐさま建成から目を逸らした。


「問題発生だ」


「じゃあなんとかしろ。もう俺に頼るな」


「今までもお前に頼ったことなんぞないが、これはお前にも無関係な話ではないのだ」


「なんなんだよ」


 そして、建成はベーゼンドルファーに全てを語った。

奥多摩の森の奥で見たもの。モアーリセットの仕組み。呪いが解けた後、異空間で何が起こりうるか……

その全てを語り終えた時には、ベーゼンドルファーの顔も深刻なものになっていた。


「つまり、誰かが、モアーリセットの間に残らないといけない。残っても、

 モアーを倒した後に異空間がどうなるかもわからない……マジか」


「その通りだ。俺が残れるものならそうしたいのだが……」


「そりゃ無理だな。『あの緑のバケモン』を倒せるなら、お前しかいないだろうからな」


「…… ……なぜ『緑のバケモン』だと知っている?」


「? なぜって、そりゃあ、俺はお前がモアーを倒した所を見たからよ。

 まあ正確には、モアーを倒した後、か」







「……… ……… ………どうやって?」




「え?」


「え?」


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