建成の冷笑
【『もう』と鳴く馬小屋】
「『猫娘』よ……お前は……えげつないな……」
2mの巨体から、玉掛けクレーンのように吊るされているエレベーターガールを見ながら、建成は言った。
「しゃー」
「でもこれは良手ですよ! この城の構造上、彼女さえ抑えてしまえば、あの盗賊も好き勝手できません。
文字通り背骨を抑えてるようなものなのですから」
「わかっている。勇者にはあるまじき行為だが、今回は是としよう! 出来した! 猫娘!」
「しゃー」
空中に吊らされ、なすすべなく不安そうな表情を浮かべるエレベーターガールに、建成は話しかけた。
「安心してくれ。あなたをどうこうしようという気はこちらには無いのだ。ただ……
いいかげんユーレイに言うことを聞かせるために、しばらくその身を預からせてもらおう……」
その時の建成の顔は、魔王よりも邪悪だったかもしれない。と、後にスタンウェイは回想している。
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その数分前……
【地下牢】
エリーの顔を思い浮かべた途端、ベーゼンドルファーは跳ね起きた。
確か……前回はエリーが牢獄の鍵を開けて迎えにきてくれていたはずである。
しかし今回はそれがなく、
この時点でベーゼンドルファーには嫌な予感があった。
急がなくては……
直感でそう感じたベーゼンドルファーは、身体中の関節を外し、鉄格子をすり抜けた。
その姿勢で蛇のようにベヒシュタインの牢獄に入っていき、隠し通路を抜けて、
螺旋階段までやってきた。
【くだらない螺旋階段】
自分とエレベーターガールが結託している、と、おそらく建成たちにも気がつかれている。
そうなると、自分を炙り出そうとする場合、
エレベーターガールを人質に取るのが悪人の考え方だ。自分ならそうする!
自分の悪い想像が、想像であるように祈りながらベーゼンドルファーは螺旋階段を駆け上がった。
そして螺旋階段の最上階にたどり着いた。
「ああ!!」
そこには……エレベーターガールが、2mの猫に吊るされ、その首に剣を押し当てている建成、スタンウェイ、
そして3匹の馬の姿があった……。
俺がウダウダ寝ている間に……!! なんて失態だ!!
「やあ。ユーレイ」
建成が冷笑を浮かべ、階下のベーゼンドルファーに声をかけた。




