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迷宮の底



【夜の奥多摩の森】


 建成一行は、

街灯も何もない、真っ暗な森を歩くというのは、非常に危険な行為だということを思い知らされていた。

木の根や大きい石が足場を悪くし、どこに通ずるともわからぬ細い獣道をひたすら進んでいく。


 建成も猫も擦り傷切り傷を増やし、猫に至っては裸同然なのでぴえんと泣いていた。


 勾配も激しく、地面もぬかるんでいるために足を踏み外せば滑落事故に繋がりかねなかった。

森というより山道のそれで、そんな場所を装備もなしに真っ暗な中進むのは野生動物でも無い限り困難なのだ。


 建成は何度も滑り転げ落ち、

その度に建成の怪我が増えていった。


 しかし引き返そうにも、出口はとうに消えてしまった。


 一行の間に重苦しい絶望が包み込んだその時だった。


「建成! 足元です!」


「わ!! なんだなんだ!!」


 突然スタンウェイに呼び止められ、建成は足を滑らせて転倒した。


「足元にドゥングリ語 で何か書いてあるんです!!」


「ほ……本当か……よく……見つけたな……? イタタタタ」


 スタンウェイが指差した方には、確かに石碑と思しきものが地面に埋まっていた。


「何が……何が書いてあるんだスタン!」


「ちょっと待ってください…… …… ……え……」


「どうした!」


「『……モアーリセット』……あとは矢印です」


 建成は思わず立ち上がった。 


「本当か!!」


「間違いありません!! この先にモアーリセットがあります!!」


 石碑に導かれるまま、建成、猫、スタンウェイは暗く静かな森の中を進んでいく。

すると……


 そこには森の中に、不自然に、一軒家が建っていた。平家である。

暗くて外観はよくはわからないが、白い家だ。


「これは……何かの施設なのでしょうか?」


「俺には……民家に見えるな。なんでこんな森の中にあるのかはわからないが……」


 スタンウェイは、猫の背中からあたりをくまなく探し、

また石碑のような物体を見つけ出した。


「建成! また石碑です! …… ……どうやら、この建物の中に『モアーリセット』があると見ていいそうです!

 見つけましたね! ついに!!」


「あ……ああ」


 建成は、勾配の途中に建ち、半ば森に埋もれている不自然な平家の入り口を探した。

扉を見つけたが……鍵がかかっている。それも……


「鍵が二つ必要だ……」


「二つ!? 」


「窓から入ってみるか」


 そう言って牽制は、ガラス窓を小突いてみたが、それはガラスとは思えない強度だった。


「無理だ! ……鍵が二つ要る!!」


「そんな……鍵のありかなんて、あと考えられる場所は……」


「箱根のバスを降りた先か?」


「……それと、素直に祭壇に鯨の模型を捧げたらいいのかもしれません……」


 牽制は、森の小岩に腰をかけた。


「そうか……しかし……ようやく底が見えてきたな。この迷宮の」


「ええ。あと一歩です……」


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