女をたらしこんでいる。
【国歌を永遠と聞かされる部屋】
『石畳の鍵』の使い道を確信した建成と猫は、部屋を後にした。
【絵もない花もない洒落もない居酒屋】
マスターが、小さく「ご苦労様でーす……」
と言ったように聞こえた。何となくスタッフ同士の挨拶のように聞こえる。
おそらく猫に向けての言葉だろう。猫は会釈で返した。
建成と猫は、階段を登っていった。
【世界最後の喫煙所】
「待たせた! いったん木綿! ウサイン・ボルト!」
「「もー」」
建成と猫はチャリオットに乗り込み、『電話ボックス』に向けて戦車を走らせた。
【『カスタマーセンター』に通ずる電話ボックス】
「スタン!!」
「建成!!……それに……」
「ああ。紹介しよう。我々の新しい仲間の、巨大猫だ」
「しゃー」
猫はキチンとお辞儀した。
「その猫に何やら見覚えが……?」
「ああ。今まで敵だった猫だ。しかし、こやつもベーゼンドルファーに痛い目に遭わされたらしい。
敵の敵は味方だ」
「アイツ!! ブチ殺すジャン!!」
「はあ…… まあ、ついてくる目的が明確なら害にはならないでしょう。それで、どうでした?『石畳の鍵』は」
「そう! それだよ! 我々の予想は当たっていた! 石畳の鍵を使った向こうには、水族館があったんだ!」
「スイゾクカン?」
「動物園の魚版と思ってくれればいい。
それで、その扉の先に進には我々がこの間見つけた、『鯨の模型』が必要だということがわかった! これは大きな前進だよスタン!」
「鯨の?……なるほど。で、あるならば、私たちはあの盗賊より早く、『騎士の扉』の向こうに行った方が良さそうですね」
「大丈夫さ! 鍵ならここにあるんだ。あいつに『騎士の扉』は開けないさ!」
「ならいいのですが……」
スタンウェイは、顎に手を当てた。
「嫌な予感がするのです。あの盗賊、どうにもエレベーター内の女性をたらし込んでいる気がするのです」
「む……? ふむ。確かに何かしらの脅迫を受けているようにも思える。あやつは悪党だ。
女性の弱みにつけ込むなどお手のものかもしれぬ。
その場合……どうなる?」
「ええ。かの盗賊が、エレベーター内の女性を脅していると仮定して……
確か、あのエレベーターは『騎士の扉の先』に行けたはずでございます」
……スタンウェイが言っているのは、【騎士の扉の向こう】、【特徴のない石畳の通路】の階段を登った先に、エレベーターホールがあるということである。
「むう! それは盲点だった! こうしちゃおれん! 急ごうスタン!!」
「待って建成……私に考えが……必要なのは、『鯨の模型』ですね?」
「? ああ」
「私の予想が正しいなら、代案がございます……建成、すみませんが、私をその【ガラスの水族館】に連れて行ってくれませんか?」




