表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/103

ずっと一人

【赤か黒か! の間】

 一方、『嘘こそ真の鍵』を使って【赤か黒か! の間】にやってきたベーゼンドルファーである。

彼の今回の目的は、『赤』の先にあるノルランド銀行の金庫、そこに置いてある『ゴールドパス』を使って箱根にてバスに乗ることだ。

もう、そこに『モアーリセット』があるとしか思えなかった。


 ……がしかし、彼には別にやっておくことがあった。『赤』にはいかずに『黒』の先に進むことだ。

前回は、『黒』にいけてない。しかも『何があったかは共有する』という約束を、建成が守らなかったために、

『黒』の先に何があったのか、ベーゼンドルファーは知らないのである。

 ベーゼンドルファーは、皿から黒い粒をとり口に含んだ。


「辛え!!!」


 思わず吐き出しそうになったが、堪えて腹に収める。

すると、ゴゴゴゴゴ……と黒い粒の先にある扉が開いた。

口を押さえながらベーゼンドルファーは扉の向こうに向かった。


 扉の先には何もない。ただただ石畳の何もないスペースがあるだけだ。

そんなわけがないと目を凝らしたら、案の定、そんなわけがなかった。


「なんだ? こりゃあ」


 ベーゼンドルファーは『鯨の模型』を拾った。

嫌な感じだ。また、どこで使うのかわからないものが出てきた。

それは、この城が、未だ自分の想像の範疇をも凌駕する面積であることを意味するようで、その事実はベーゼンドルファーを絶望させた。


 あまりみていたいものではなかったが、何かに使うのだろう。あと、

建成たちに対して交渉材料になるかもしれない。ベーゼンドルファーは『鯨の模型』を懐にしまった。


 そして、部屋に戻るなり、今度は赤い粒を手に取ったが流石に躊躇した。

まだ口の中がいたい。


 しかし本命のものはこの先にあるので、

ベーゼンドルファーは、起用に赤い粒を舌の上に乗せずに、喉まで吸引して空気ごと飲み込む作戦に出た。

ベーゼンドルファーは赤い粒を口に入れた。


「ゴホッ オエ!!!」

 赤い粒は気管に入り、喉に強烈な痛みが生じた。


「痛え痛え痛え!!」


 ベーゼンドルファーはのたうち回った。

ゴゴゴゴゴ……と、赤い粒の先に扉が現れた。


 ベーゼンドルファーは立ち上がるのに実に2分を要したが、扉の先に進んだ。


【ノルランド銀行】


 ダイヤルのナンバーを、痛む顔中を引っ掻きながら思い出す。

辛味は鼻を突き抜け、脳味噌に達し、耳から抜けてるんじゃないかという感覚まで覚えた。

つまり、そのくらい辛かったのだ。


 ベーゼンドルファーは、錯乱する頭でなんとか、ダイヤルキー

「6・5・4・3」を導き出し、ダイヤルを解除した。


 仰々しく金庫は開き、ベーゼンドルファーはゴールドバスのチケットを手に入れた。


【赤か黒か! の間】


 必要なものは全部揃った! 唯一、『鯨の模型』の使い道がわからないのが不気味だが、

これでモアーリセットまでの道が開けたはずである!


【なんの変哲もない石畳の通路】

 

 どうだみたか、俺は一人でやれるんだ。

今までもそうだったし、これからも……ずっと一人で。


 ベーゼンドルファーは階段を駆け上がり、エレベーターホールにたどり着いた。

これで、エレベーターで最上階まで登り、正直村にいる賢者に、『賢者の指輪』を渡せば、

ゴールだ。


【気まずさのエレベーター】


 エレベーターの中は、やはり誰もいなかった。

エリーに託された、エレベーターボックスの鍵を使って、最上階へのスイッチを押す。


 もう勝ちは見えた……。この城ともおさらばだ。

…… ただ、

もう一度エリーに会いたい。

ちゃんと、お別れを言いたい。


 孤独な一匹ユーレイが、こんな感情になるのは、この城に来るまではまずなかった事だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ