同乗を許そう!
【正直村と嘘つき村の分岐点】
さて一方の、建成は、石畳の鍵を手にした代わりに戦車で村を半ば更地にしたことで、この城に植え付けられた鬱憤を発散し、
清々しい春の陽気のような気分で馬を引かせて、悠々とエレベーターまでの道を戦車に乗って走行していた。
気分は勝利の凱旋である。
……エレベーターホールの前で、何やらうずくまっている毛玉を見つけると、それは散々酷い目に遭わされてきた、腹の立つ顔の猫であることに気がついた。
猫は、噴水のごとき涙をまぶたからこぼし、声を上げて「しゃーしゃー」と泣いていた。
「……ここで何をしている?」
いずれにしても、建成には状況が飲み込めぬ。
本来いるべき場所に、いるはずのエレベーターガールや猫がいなかったり、
本来いないべき場所に、猫が声を出して泣いているのだ。
イレギュラーな状況が続いて、また建成は戦車で暴れたい衝動をグッと堪えた。
腹の立つ猫は、建成を見るなり、
「シャーーー」
と泣きながら戦車に飛び乗り、抱きついてきた。まるで猫だ。
「うお!? なんだなんだ!?」
建成にはますます状況が飲み込めぬ。
「シャー」
「落ち着け邪なる獣! 何があったのだ!」
「シャーっ シャー」
猫は精一杯ジェスチャーをして、何かを伝えようとしている。
「……『ユーレイ』……? さっきまでここにいたのか!」
「シャー!!」
建成の読心術はもはや人類の垣根を越え、猫の表情からも思っていることを引き出すのに成功した。
猫はジェスチャーを続ける。
「シャー シャー シャー シャシャ」
「……なるほど。それで、お前はあやつに復讐を誓ったのだな!?」
「シャー!」
「あいわかった! 敵の敵は味方なり! シートが毛まみれ猫まみれになるのは解せぬが、
この建成! お前の同乗を許そう!」
「シャー!!」
このようにして、猫は建成と行動をともにすることになった。




