『うわごと』
【絵もない花もない洒落もない居酒屋】
『騎士の鍵』を手に入れた建成はスタンウェイを背負って、地上に上がった。
【世界最後の喫煙所】
「もう」
「よしよし。待たせたな『いったん木綿』」
建成は、スタンウェイをチャリオットに乗せて自らも乗り込んだ。
「ふう。これで一息つけるな」
「油断は大敵です建成。……これから建成は、歌の試練と、あとは爆食の試練がございますので……」
「そうだった……」
建成とスタンウェイを乗せたチャリオットは、一度、電話ボックスにに向かった。
【『カスタマーセンター』につながる電話ボックス】
結局ベーゼンドルファーとすれ違うことはなかった。
もう違う階に行っているのかもしれない。
ここは慣れているスタンウェイが、チャリオットを降りて受話器をとり、耳に当てた。
「こちらは、ドゥングリカスタマーセンターです。ご用件はなんでしょうか?」
「タイムリセットをお願いします」
このようにして、建成一行と、ベーゼンドルファーに20分と言う時間が与えられた。
【世界最後の喫煙所】
建成達を乗せたチャリオットは、エレベーター方面に向けて進んでいった。
【気まずさのエレベーター】
建成達がエレベーターにたどりつくと、エレベーターガールはちょっとした惨状になっていた。
すでに立っておられず、顔を真っ赤にしてしゃがみ込み、何か『うわごと』のようなものを呟いている。
「……です。……です。……リーです。私の名前はエリーです。私の名前はエリーです。
私の名前はエリーです。私の名前はエリーです。私の名前はエリーです。私の名前はエリーです。私の名前はエリーです」
と、誰に言うでもなく地面にむけて繰り返している。怖い。
「あの……大丈夫ですか?」
チャリオットの上からスタンウェイが声をかけると、エレベーターガールは絶命前のエビのごとく体をビク!!と仰け反らせて、
何事もなかったかのように業務用の顔を作った。
「上に行きますか? 下に行きますか?」
無理がある。先ほど何があったんだろう?
「……螺旋階段までお願いします」
スタンウェイが答えると、エレベーターガールは機械を操作した。
【くだらない螺旋階段】
チャリオットの強度を鑑みて、いったん木綿にはゆっくり階段を下ろさせた。
どうしてもチャリオットの重みが前に行ってしまうので、建成がチャリオットから降りて、
後ろからチャリオットが前進しないように抑えながら階段を降りる。
そこそこ力のいる作業だが、これから爆食をしなければならない。
これくらいの運動をこなした方が空腹加減が増すと言うものだ。
チャリオットは、螺旋階段を降り切り、建成は『騎士の鍵』を使って扉を開けた。
【『国歌』をファルセットで上手く歌えるまで出られない部屋】
建成は部屋の中央にきた。そして、
ついさっきまで激しめの運動をしたことによって乱れた息を整えた。
そして、息を深く吸い込み、国歌を歌った。
「……おお、我らの地、ドゥングリムックリ 豊かさ響くこの大地 膨らむ腹は栄光の証 食卓は我らの命の源
満ちよ、満ちよ、我が祖国よ デイヴの名の下、共に栄えん 豊かな未来を、その『おい鬼太郎』 ドゥングリムックリ、永遠に輝け!
四季巡る美しき山河 春の芽吹き、秋の実り 王デイヴよ、その御旗のもとに 民は一つ、心を合わせ
満ちよ、満ちよ、我が祖国よ デイヴの名の下、共に栄えん 豊かな未来を、その『おい鬼太郎』 ドゥングリムックリ、永遠に輝け!」
ゴゴゴゴゴ……と奥の扉が開いた。
建成はチャリオットに乗り込み、扉の奥に進んだ。
【特徴のない石畳の通路】
チャリオットは、通路の奥まで進み、
前回断念した大食いチャレンジを催している定食屋に進んだ……
「建成……大丈夫です。建成ならきっと……」
「ああ……みんなのためだ。何を出されても食い切って見せるさ!!」
建成は覚悟を決めて、チャリオットを降り、【異界の日替わりランチを出す定食屋】の入り口を開いた……。




