表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/103

痛い目に遭って詫びれば、それを許したい。許せる自分でいたい

王の間、建成、無念の転生直後……


「かかれぃ!!」


 そう号令を発したのは、国王デイヴ・ドゥングリムックリであった。

建成が、小刀を放り投げる前である。

王の間にいる兵士が数人で、脇にある兵士詰所に体当たりをし、扉を破ると、後列の兵士が4、5人突入した。

詰所の中のスタンウェイの「え? え?」 と戸惑う声が響くが、その突入した兵士たちが、スタンウェイを拘束している椅子ごと詰所から運び出し、

建成の前までやってきた。

一方では、いぶし銀の兵士、デビッドが運ばれてきたスタンウェイと椅子に、革の紐で細工をし、

そのまま建成が背負えるようにしたのだ。

言わば、人用の鐙といえば良いだろうか?


 デビッドと共に、メガネをかけた政務官のような男が建成に話しかけた。


「おそらく、この女性が地面を歩く比率より、君の背中にいる状況の方が長いのではないか、と言う我々の見解に基づき、

君が少しでも彼女を背負いながら行動しやすいようにした。重量は増えたが安定感が上がったはずだ。

今後、フィードバックは私に伝えるように。私はガリガーリンだ」


「勇者建成と申す……。心遣い、痛み入る!!」


 建成は、椅子ごとスタンウェイを背負った。


「悪くない。ただ、パーツが背骨にあたり申す」


「承知した。次回改善しよう」


「「いってらっしゃいませーー!!」」


 建成と、スタンウェイは王の間を後にした。




【無限回廊】




「情けない!! 皆はこんなに努力しているのに、俺ときたらしょうもないミスばかり……!!」


「……違います」


「違うものか!! 俺は結果を出さねばならんのだ!」


「……建成のその姿が、皆を頑張らせるのです……」


「……!!」


 崩壊しそうな涙腺を抑え、建成は走った。


 建成とスタンウェイは、王の間から数えて69番目の右の扉を開いた。





【『もう』と鳴く馬小屋】




 二人は、馬小屋を突っ切り、奥の扉を開いた。




【くだらない螺旋階段】



 建成とスタンウェイが螺旋階段に到着すると……

そこには盗賊、ベーゼンドルファーが立っていた。


「……なんの用だ」


 建成はベーゼンドルファーを問い詰めた。


「……連れてってくれ」


 ベーゼンドルファーは、生まれて初めて、この言葉を使った。


「うまくいかない時だけ頼るなんて、随分都合がいいんですね」


 建成の背中のスタンウェイからの正論が、ベーゼンドルファーに刺さる。


「そうだ……情報を手にできても、一人でそこにいくことができない。俺ぁとんだ悪党だ

 その悪党が、初めて頭を下げるってんだ!」


 ベーゼンドルファーは、階段にうずくまり、姿勢的に厳しいが両手をついた。


「悪かった。連れてってくれ……」


 はを食いしばって、彼なりの土下座をしているのだ。

 建成は、そんなベーゼンドルファーを見て……


「『痛い目に遭って詫びれば、それを許したい。許せる自分でいたい……』

 鬼太郎のセリフだ。ただ……俺たちも停滞状態だ。

 お前が利用するに足る人物か……俺自身疑っている。それでもついてくるか」


「……『この城は、一人じゃ攻略できない』……俺より悪い奴が言ってたセリフだ」


 それ以上は、お互いに言葉はなかった。

ベーゼンドルファーは立ち上がった。


「ところで、我々は国歌を斉唱する必要がある」


「……なんで」


「そういうエリアが騎士の鍵の扉の向こうにあったのだ」


「見つけたのか! 鍵の使い道を……! そしてまだゴールじゃないのか……」


「ぼやいても仕方がない、『ユーレイ』お前、国歌を覚えてないか? お前が歌えるならかなりの時短だ」


「……悪いね俺はこの国の人間じゃねえんだ。だが……

 それを嫌っていうほど聞かせてくれる部屋なら、今さっき行ってきたぜ」


 建成とスタンウェイは顔を合わせた。


「……案内してもらおう」


 この様にして、勇者一行と、孤独な『ユーレイ』は、再び手を取り合うことになった。




【気まずさのエレベーター】


 三人で現れたベーゼンドルファーを見て、エレベーターガールは少し驚いた様に見えた。


「……上に行きますか? 下に行きますか?」


「おすすめで頼むぜ」


 ベーゼンドルファーがそう答えると……


「かしこまりました」


 ……気のせいだろうか? エレベーターガールはかすかに微笑んだ気がした……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ