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木こりの俺がお姫様と結婚する方法  作者: 矢間カオル


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83話 魔獣狩り

村長が言うには、彼が子どもの頃は、城下町も賑やかで、村も町も活気のある暮らしをしていたらしい。

しかし五十年ほど前から魔獣が頻繁に出現するようになり、森の中だけでなく町にも現れるようになった。

このままでは殺されると思った町の人々は、家を捨て他領に逃げて行ったのだそうだ。


「そんなに魔獣が頻繁に現れるのに、何故村の皆さんはこの地に留まっているのですか?」


「領主様の前で言うのもなんですが、ここは税金を払わなくても暮らせるんで、それが一番の利点ですわな」


「税金を払わないって?」


「魔獣を恐れて、税金を取り立てに来る人がおらんのですわ」


村長は、領主様には是非とも聞いて欲しいと、村の暮らしぶりについても話し出す。


魔獣が家畜を食べるから牛や馬を飼うことはできず、肉の代わりに大豆を食べていること。

肉を食べたければ、森で狩りをするか隣の領地まで買いに行かなければならないが、森の中は魔獣が恐ろしくて入れないこと。

村の収入源は野菜や大豆の加工食品で、隣の領地の市場で売っていることなど。


最後に村長は「魔獣は恐ろしいですが、畑の作物を荒らすことはないんで、なんとか暮らしていけるんですよ」と言って話は終わった。


「いろいろ話を聞けて参考になった。領主として改善できることは実行していこう。それから、お願いがあるのだが、城で働く使用人を紹介して欲しいのだ」


「そんなことならお安い御用でございます。働ける場ができて皆喜ぶでしょう。明日にでも城に行かせます」

「ああ、よろしく頼む」


村長との話が終わったエルヴィンたちは、城に戻り今後のことを話し合った。




翌日から、エルヴィンたちの魔獣狩りが始まった。


フラギスがゲートの場所がわかるようになったことは、大きな収穫だった。


フラギスの案内で森の中を進み、ゲートの近くで魔獣が出てくるのを待つ。

出てきたら、皆の得意な武器で魔獣と戦う。


戦場で戦い続けた兵士たちにとって、出てくるとわかっている魔獣を倒すことは意外と簡単だった。


魔獣を倒した後は、心臓から魔石を取り出し、肉を村に届けに行った。


肉をわざわざ隣の領地まで買いに行かなくても、獲りたての魔獣の肉があるのだからこれを食べたらどうかと勧めた。

干し肉にすれば意外と美味いことも伝える。




毎日魔獣を狩りに行き、わかったことがある。


ゲートの位置は一定せず、日によって変わる。

だから場所の特定は、フラギスの能力あってこそできることだった。


そして出てきた魔獣を全滅させると、長い間出てこなくなる。

一匹でもゲートに戻ったら、割と早い段階でまた出てくる。


ゲートの近くに馬を繋いでおくと、匂いを嗅ぎつけた魔獣が早く出てくることもわかった。


毎日魔獣狩りを繰り返し、魔石の数がどんどん増えた。

魔石は高く売れるから、これは領地にとっても大きな収入源となった。


魔獣の処理が追い付かなくても、魔石を取り出さなければ十日程度は肉が腐らないことも新たな発見であった。




ある日、村長がねっとりとした茶色いものに漬け込んだ肉を城に持ってきた。


「領主様、魔獣の肉を腐らないようにミソに漬け込みました。これがなかなか美味でして、まあ食べてみてください」


「ミソとは?」


「昔、東の国からやって来た旅人に教えてもらった食べ物です。その旅人は大豆から作ることができるいろんな食品を教えてくれたのです」


村長に言われた通りに焼いてみたら、ミソの焦げる匂いが芳ばしく食欲をそそり、食べてみたら程よい塩加減とミソと肉の旨味が口の中で混じり合い絶妙な美味さである。


「おおっ、これは美味い!」

食べた皆が絶賛した。


保存できるのなら遠方に運ぶことができる。

これは商品として絶対に売れる!


エルヴィンの元商人魂に火が点いた。


早速将軍レックスに、魔獣肉のミソ漬けの試食品を送った。

国境警備の兵士たちにも好評で、大量購入の契約も成立した。


エルヴィンのベラトール領は日に日に裕福になっていき、領民たちも肉の加工で儲けた金で豊かになって行く。


しかし、毎日のように魔獣狩りをしていると、徐々に魔獣の数が減っていき、領内は安全になったのだが、魔石と肉のミソ漬けの収入が減ってしまった。


そこで新たな方策として、『ベラトール魔獣専門傭兵団』を立ち上げ、国中に宣伝することにした。


もともと魔獣が原因で領主が長続きしなかった領地である。


ところが新たな領主となったエルヴィンの政策で、魔獣の恐怖が消え、領民が金銭的にも豊かに穏やかに暮らせるようになったことは評判になっていた。


お陰で『ベラトール魔獣専門傭兵団』はすぐに国中の領主たちに受け入れられ、魔獣に困っている領主から注文が殺到。


倒した魔獣は傭兵団の所有物にすることを契約に盛り込んだおかげで、魔獣討伐の依頼金だけでなく、今まで通り魔石と魔獣肉のミソ漬けの収入も増え、ベラトール領はますます発展し金持ちになっていく。


そんなとき、冬の到来とともに、ドルスが半年ぶりにエルヴィンのもとに帰って来た。




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