↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
木こりの俺がお姫様と結婚する方法  作者: 矢間カオル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/93

78話 終戦

ドルスはエルヴィンに請われるままに自分が知っていることを話した。


アウステル王国の宰相は武器商人と繋がっていて、戦争が長引けば長引くほどガッポガッポと金が入る仕組みになっている。


しかしとても用心深い性格で、その真実を知るものは非常に少ない。


この戦争は国王の命令で始まったように演出されているが、実のところは宰相に弱みを握られている国王が歯向かうことができずに、宰相の言いなりになっているだけなのである。


「なんでそんなことをお前が知ってるんだ?」


「俺はあくどい貴族から金を騙しとってやるのが好きなんで、宰相のことを調べたんだよ。だが、アイツは用心深くて懐に入ることができなくてね。だから諦めたのさ」


「なるほど。それも使えそうだ。よし、いったん陣地に戻って将軍に報告しよう」




エルヴィンは陣地に戻ると、すぐに将軍レックスに会いに行った。


「おおっ、エルヴィン、お前の作戦は見事に的中しているぞ。水が飲めずに困った兵士が国境を越えて川の水を飲みに来るんだ。捕虜にする際も、抵抗なしだぜ。まるで入れ食いの魚みたいにバンバン釣れる」


「水も食料ももらえるのですから、我が軍の捕虜になった方が待遇がいいですからね」


「ああ、捕虜交換で、そういう情報があっちに流れているんだろうな。あれだけ喜んで捕虜になるんだ。兵士のやる気が削がれている証だろう。それから、捕虜たちが言ってたんだが、水が渡るのは高位貴族だけで、下級兵士はまったくもらえないんだそうだ。だから、軍に不満を抱いている者が増えている」


「それはちょうどいい。もう一つ不満の種をまきましょう。将軍、少しお耳を……」




この後、エルヴィン達は、再度アウステル側に移動し水攻撃を続けていたが、明らかに兵士たちのやる気が低下していることがわかった。


「水を運んだって、どうせ下級兵士はもらえない」

「知ってるか?戦争が長引けば長引くほど宰相の懐がガッポリなんだと」

「この戦争を続けたがっているのは宰相だけらしい」

「宰相の金もうけのために、何で俺たちが犠牲にならないといけないんだ?」


不満が兵士たちの間に蔓延している。

それだけでなく、こっそりと逃げ出す兵士が増えてきた。


アウステル軍は内側から崩壊し始めている。




エルヴィンは陣地に戻り、戦いに明け暮れていた平野を眺めた。


きっとこの戦争はもうすぐ終わる。

いくら国王の命令でも、実際に戦うのは心のある平凡な人間なんだ。

次はどうやって不満を引き出そうか?

国王と宰相の関係でも噂に流してやろうか?




エルヴィンが次の作戦を練っている間に、あっけなく戦争は終わった。


アウステル軍が、全軍引き上げてしまったのである。


間諜によると、宰相が何者かによって暗殺され、国王が軍に引き上げ命令を出したのだそうだ。


この後、両国の代表がそろった正式な場で終戦が告げられた。


これから先は、アウステル王国に損害賠償を請求することになるのだが、それは国の中枢部が担うことで、軍は一部を国境沿いに残して引き上げることになった。




引き上げる前日、エルヴィンはレックスに呼ばれて幕舎を訪れた。


「エルヴィン、この戦争でのお前の活躍は目を瞠るものがあった。論功行賞で、お前の働きに見合った褒美が与えられるだろう。もし何か欲しいものがあったら伝えておくが、お前は何を望む?」


エルヴィンは、ぽかんと口を開けてレックスの言葉を聞いていた。


自分の身に起こった幸運を、把握するのに少し時間が必要だった。


きっと何か褒美はもらえるだろうと思っていたが、まさか事前に希望を聞いてくれるとは!


「エルヴィン、希望がないのならこちらで…」

「そ、総司令官殿、ありがとうございます。俺、いえ私が望むのは爵位です。どうか、爵位をください。私は貴族になりたいのです!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。