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木こりの俺がお姫様と結婚する方法  作者: 矢間カオル


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63話 計画

わたくしを盗賊に攫われたことにして欲しい、そう話すセレスティアを、シンディーは驚きの目で見つめた。


「あなた、それがどういう意味を含んでいるかわかっているの? 盗賊に攫われたとなれば、シモンズ伯爵はあなたを離縁するでしょう。ですが、そんな噂が流れたら、あなたは貴族令嬢として生きていけなくなるわ。おそらく傷物のレッテルを貼られ、縁談も来なくなるわよ」


「それでもかまいませんわ。シモンズ伯爵と結婚しても、数年で捨てられるでしょうから同じことです。貴族令嬢の身分を捨てて自分で仕事をしながら生きていくのも良いかもしれません」


「まあ、それはそうかもしれないけど……」


ずっと涙を押さえながら話を聞いていた祖父が口を開いた。


「シンディー、ここはセレスティアの話を聞いてあげようじゃないか。私はクレアがやっと戻ってきてくれたようで嬉しいのだよ。セレスティア、ここは自分の家だと思って暮らしておくれ」

祖父は泣きはらした目を細めてセレスティアに微笑んだ。


次に言葉を発したのはフレディ―である。


「セレスティアが攫われたことにするのなら、盗賊たちをここから遠ざけた方がいいですね。さっさと最果ての囚人強制労働所にぶち込んでしまいましょう。我が領で三人も殺したのです。誰も異論を唱える者はいないでしょう」




この後、五人に騎士団長も加わり、早々と計画は立てられた。


シモンズ伯爵の領主城まで三人の遺体を葬儀屋に運ばせる際に、騎士団長が同行しシモンズ伯爵に事の顛末を報告する。


報告内容はこうだ。


騎士団が駆けつけた時は既に遅く、三人の遺体はあったが、花嫁は荷物と共に盗賊に攫われた後だった。

すぐに捜索したところ、盗賊十人を捕まえることができたが、逃げた盗賊と花嫁を見つけることはできなかった。

これからも盗賊と令嬢の捜索を続ける予定である。



そして頃合いを見て、捜索を続けた結果、盗賊のアジトを発見し、セレスティアを救出したと報告をする。


しかし、セレスティアはとても人前に出られる状態ではないので、彼女の母の実家であるフォーサイス家でしばらく保護することも付け加える。


おそらくシモンズ伯爵の性格から考えて、自分が手をつける前に傷物にされた妻に興味を失い、すぐに離縁をするだろう。


シモンズ伯爵も捜索をするかもしれないから、セレスティアはしばらくの間、城から出ずに隠れて暮らすようにする。



皆の賛同のもと、この計画は即実行に移された。




城で暮らすことが決まってから、セレスティアは母クレアの部屋を使うことになった。


クレアが攫われてから、いつ帰って来ても良いようにと、両親はずっとそのままの状態で残していたのである。


勉強机も本棚の本も、可愛らしいクマのぬいぐるみもそのままであったが、埃はついておらず、日ごろから掃除がきちんとされていたのだとわかる。


セレスティアは母の座っていたであろう椅子に座り、本棚から母が読んだであろう恋愛小説を手に取り読み始めた。


きっと若かった母は、その本に描かれているような心躍る恋愛に憧れていただろうに、現実は金で買われて放置され、最後は屋敷に閉じ込められてその生涯を終えた。


せめてもの救いは、短かったけれど隣国の王子と愛し合い、彼との間に子を成し育てたことなのだろうか。


セレスティアは、今は亡き母の想いに心を馳せた。




城で暮らすことになり、家族の名前も教えてもらった。


祖父の名前はアウビス、祖母の名前はラビア、シンディーの夫はピート、フレディーの妹はローリア。


盗賊から助けてもらった際にいた年配の騎士は、フォーサイス騎士団長で名前はフェクトス・レガート、フレディーの武術の師でもある。


フレディーは現在15歳で、正式な騎士の身分を持っているわけではないが、次期領主としてフォーサイス騎士団に所属し、日夜訓練に励んでいる。




騎士団長のフェクトスが、シモンズ伯爵家に報告に行ってから三日後、シモンズ伯爵家の執事と名乗る男がフォーサイス城を訪れた。


応接室で対応したのは、領主であるシンディーと夫であるピート、そしてフェクトスの三人であったが、執事の報告を聞いた途端、三人とも驚きあきれて開いた口が塞がらなくなってしまった。


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