第5話 美少女になった女神様、名はリファールと申します。改
冥府の王アルベルススから派手にぶっ飛ばされ、地面に叩きつけられた白き巨兵プロテルトを中心に、円形状のクレーターが地表を深く穿って放射状に木々が薙ぎ倒されていた。神から受けた凄まじい衝撃からか白き巨兵プロテルトは動かなくなっていた。
「初めて造った未完成品だったからなぁ。戦闘データを取り出したら、土に還そう。降りるよ女神」
女神から返事は無かった。
「おい、女神。聞いているか。先程の威勢のよさはどこに行った?」
女神こと創造神メヨーテセシュルは、琉人から生成されたチート生産系魔術の拘束具によって卑猥な姿を顕わにした怒りで震えているのか答えようとしない。
答えようとしない訳ではなかった。口が思い通りに開かないし声も出なかったのだ。それは何かに怯えているようでもあった。
「ここを拠点として、俺の筋書通りに神々と戦うとするかな」
それを聞いた女神がようやく重い口を開いた。
「おぬし一人でか。それまた不可能じゃ」
「俺一人ではしないよ。みんなの力で成し遂げるのさ」
「みんなの力?どこにそのみんながいるのじゃ。おぬしと我のみじゃぞ」
「今から造るんだよ。俺の理想で生成する美少女ゴーレムたちをね」
「ゴーレムじゃと。どのくらいの数を造る気じゃ」
「まっ初めに1000体くらいで様子を見る事にしようと思うんだ」
「1000では足りぬわ」
「足りない足りるは、やってみてからその時に判断する。じゃここから出るよ」
動かなくなった白き巨兵プロテルトから降りた琉人は、魔素の瘴気が濃く渦巻く濃い霧に覆われた薄暗い森の地を踏んだ
琉人から引きずられて蹲る女神は打ち震えていた。
「何に怯えているんだ。女神」
「ここは魔物の森バァグーガっていう神々にとって呪われた忌み地なのじゃ。早うここから出るのじゃ」
「魔物の森バァグーガっていうのか。いいじゃんこの雰囲気。俺は好きだよ」
「おぬし、正気か」
「至って正常だよ。んじゃ、壊滅の序章を始める美少女ゴーレムたちを今から造り始めますか」
琉人はありったけの魔力を込め、1000体の美少女ゴーレムを一つ一つ丁寧にイメージ形成し具象化して、神の攻撃を防ぎ尚且つ反撃可能で回避能力の俊敏性と機動性にも優れた兵器を併せ持つ、1000体の美少女ゴーレムたちを具現化して生成が成功した。
「よしっ!美少女ゴーレム兵団の完成!」
生成に成功した美少女ゴーレム1000体は、百瀬琉人の目の前に突如姿を現し整然と隊列を組み、主の命を静かに待っていた。
「美少女ゴーレム兵団に命ずる。ここ一帯の森を焼き払え!」
その命を受けた美少女ゴーレム1000体は、ピクリとも微動だにせず、誕生したその場で隊列を組んだまま、琉人の命令を発した大声だけが森の中で響き渡っているだけだった。
「どうした琉人。先程の威勢のよさはどこに行ったのじゃ。こいつらで破滅の序章なんとやらといっておったのは、いつ始まるのじゃ」
「あれぇおかしいなぁ。確かにゴーレムとしてイメージ形成し具体化したのに」
「おぬし、気づいておらぬのか。このゴーレムはあまりにも雑じゃ。あの圧倒的な神の強さを目の当たりにして気負い過ぎたのじゃ。見てみい、あまりにも美的センスが無さすぎる」
「そうかなぁ」
「琉人、おぬし絵心ないじゃろ」
「美術は3だけど。それがゴーレムが動かないのと何が関係があるんだ」
「美術は3は知らんが、関係ありありじゃ。あそこに転がっている白き巨人のゴーレム。おぬし、あのデザインはなかろう。あれじゃ、ただ巨大な白いデッサン人形じゃぞ。それにあの巨大なゴーレムは、おぬしが操縦して動かしていたじゃろうて。自らの意志で動くのは美しさが基本じゃ。この世界は我が造りし世界。我を見てみい。自分で言うのもなんじゃが、美しいじゃろ。だからこの世界は美しさが基本なのじゃ。美しくなければ魔道具への魔力供給も行き渡らない理になっておるのじゃ」
「そんなにカッコ悪いかな」
「自覚ないのか。琉人、我の創造神の力を貸そう。我の四肢を拘束しているこの拘束具をなんとかしろ。おぬしが思い描く理想の姿、この我が確実に具体化してしんぜよう」
「うまい言って、逃げる気」
「たわけ!そんなせこい神ではないわ!そんなに拘束し続けたいのなら、隷従の首輪でもかけて逃げないようにすればよいではないか」
「じゃお言葉に甘えでそうする」
琉人が念じ指を鳴らすと、女神こと創造神メヨーテセシュルの四肢の自由を奪っていた拘束具が消え、女神の首元に、漆黒の冷たい金属の質感を持った首輪が嵌められた。
四肢が自由になった女神こと創造神メヨーテセシュルは、思いっきり背伸びをして屈み続けて凝り固まった身体をほぐした。
「あの姿勢のままは神とてきつかったぞ。今気付いたのじゃが、我のこの身なりでは動きづらいな」
天界からそのままの身なりで拘束されたままだった女神の装いでは、この森の中を歩き廻るには余りにも不自然で機動性に欠けると判断した女神こと創造神メヨーテセシュルは、自らに神聖魔術をかけて光に包み込まれた。
「これでよしっ!琉人が思い描いている美少女ゴーレムの理想としている装いに着替えてやったぞ」
女神こと創造神メヨーテセシュルを包み込んでいた光が消え失せ、そこに立っているのは、いかにも女神の姿ではなかった。
年は17か18ってところだろう。長いプラチナブロンドはツインテールに結われ、黒いリボンでまとめられ、白き袖のないロングドレスだった装いは、白を基調としたフリルあふれるロリータジャンパースカートを纏い、その細い腰肢は黒いコルセットできつく締め上げられ、両足には薄地の白タイツを履き、足元には黒いエナメル調のハイヒールを履いていた。その装いは可憐なメイドそのものだった。
「ちょっと短すぎたかの」
首元には黒く鈍く光る隷従の首輪が嵌められたままの女神こと創造神メヨーテセシュルは、恥じらいの上目遣いで短いスカートを片手で下に伸ばし、もう片方の手でふくよかな胸が強調された胸元を隠していた。
「それ、それっ。すげぇかわいい、さすが創造神」
「あまりジロジロ見るではない」
「そんでどうするのさ。美少女ゴーレムを造るのは俺自身で、美的センスは女神様。俺自身が女神様の美的センスを身につけなきゃならないんじない?それに」
「それになんだ?」
「それにその恰好だと女神様じゃないよね。可愛いメイドさんだよね女神様。だからさ、もう女神っていうのやめて、名前を付けようよ。その可愛いメイドさんに」
「我の名は創造神メヨーテセシュルであるが」
「その名前長すぎて言いにくい。そうだなぁ、リファールってどう?」
「リファール。この我が。我の名がリファール」
「そうリファール。俺の前だけリファールでいいじゃん」
「リファール」と自分を呼ぶ琉人を、女神であるリファールは恥じらいの上目遣いでじっと見つめた。
「おぬしの前だけじゃぞ」
「よし決まり。女神様は、今日から美少女リファール」
「美少女は余計じゃ。琉人、額を差し出せ」
「えっ額。額って何する気だリファール」
「お互いの額を通じて、我の美的センスを授けるのじゃ」
「そういう事。わかった。そんじゃはい」
異世界へ転生した転生先のセト・アスベルの背は小さいため、琉人は背伸びして額を差し出した。背の高い女神ことリファールは前に屈んで額を近づけ、背の低い琉人の額と触れ合った。
「今から以前授けた生産系魔術のチート能力に、創造神の美的な力を上乗せする。よいな」
「いいよ」
黒髪赤目の少年セト・アスベルこと百瀬琉人は、創造神メヨーテセシュルことリファールからお互いの触れ合った額を通じて、創造神の美的な力を授かり、生産系魔術のチート能力を創造神の力を上乗せしてアップデートがあっけなく完了した。
「いきなり1000体ではなく、肩の力を抜いてありのままの自分で焦らずゆっくりやってみぃ。まず初めに10体を生産系魔術で作ってみろ」
「わかった。ありのままの自分を信じて気負いせず、ゆっくり焦らず」
リファールから背中を優しく支えられた琉人は、両腕を前に突き出し両手を広げてゴーレム解除の術式を発動し、失敗した1000体のゴーレムを崩壊させ土に還した。
土に還ったゴーレムを再び改めて、美少女ゴーレムとして生成する為、両腕を前に突き出し両手を広げたままゴーレム生成の術式を発動させた。
琉人はリファールのような可愛らしいメイドさんの美少女ゴーレムを想像し、肌の温もりを感じかのようにイメージ形成をはっきりと具象化していった。一つ一つ丁寧に焦らずゆっくりと、自らの膨大な魔力が一つ一つゆっくりと具体化していく中、美少女ゴーレムから懐かしい匂いがした気がした。その匂いを嗅いだ時のある追憶は、百瀬琉人でもなくセト・アスベルでもない誰の追憶なのだろうと意識が飛びそうになった時、一人の可憐な美少女が光の追憶の中から駆け寄ってくる。その美少女は両手を広げて笑顔で泣いていた。
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