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神のみぞ知らない願望を叶えるため筋書通り異世界転生した俺は、異世界で超絶生産系魔術のみの神チート能力で叶えて攻略  作者: 坪内俊


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第32話 不審者は殿下。ここは一旦、逃げましょう

 白い光を淡く放つ白壁が丸みを帯び、天井から床まで楕円上の形状な船内の通路を、談笑しながらゆっくり歩み寄ってくる二人の男性。

 運よく、大人一人分が隠れるほどの壁際の窪みを見つけ、そこに身を潜めるヌロニハールとシャラサラサ。

 男性二人から気付かれず、やり過ごすまでの時間が長く感じるヌロニハールだった。

 シャラサラサが得意とする瞬間移動は、自分が見たものなどを知っている対象物が必要とするスキルの一種で、知っている対象物を思い描き、その知っている対象物へと瞬間移動が可能となるのだ。

 何故、あれほど遊ぶほど瞬間移動を好むシャラサラサが、一思いに瞬間移動を使わなかったか、ヌロニハールは気付いていた。シャラサラサが瞬間移動を使わないその理由は、見知らぬ環境と状況を察知して、下手に瞬間移動すれば、事態が予測不能になる恐れがあるという事を、まだ幼くても、大人顔負けの的確な判断をするとは、流石は琉人と創造神メヨーテセシュルの子であると言わざるを得なかった。

 近付きつつある男性二人の談笑している内容が、次第にはっきりとヌロニハールに聞こえてきた。

「殿下、流石ですな」

「そうだろ、ベルベナル」

 殿下と呼ばれている男性は張りのある若々しい声で、殿下に相応しく品のある抑揚があり、その殿下からベルベナルと名指しで呼ばれている男性は、如何にも初老の落ち着いた思慮深い重みのある声で、アルベルススによく似ているとヌロニハールはクスッと笑みが零れた。

「素体自ら、お越しになるとは」

「余の誘導作戦は完璧だろ、ベルベナル」

「左様でございます。タイミングを予め見計らって、通路の壁に一人分の隙間をお空けなさるとは、それがし、思いつきませんでした」

「なにぶん、余も初めてまみえる相手故、いかにお迎えすべきか随分と思案したぞ」

「左様でございますか、殿下。されど、素体とは別にもうお一方お見えになっておりますが、いかがいたしましょうか」

「構わぬ、好きにさせればよい」

 ヌロニハールは、二人の男が交わす会話から、今の状況が全て予め仕組まれていたことを聞き知った。素体と呼ばれている自分は誘導されてこの場に来させられたこと。そして、シャラサラサの存在も知られているが興味を持たれていないこと。初めから殿下とベルベナルは、この状況を作り出すために筋書き通りの展開を進めていたのだ。数々の真実を知ったヌロニハールは恐怖で戦き、一刻も早くここから退避しなければ取り返しのつかない事態になると直感した。その直感は、胸に抱くシャラサラサへと伝播した。

「殿下、あの十字路の進行方向の右角でございます。素体反応が強く反応しております故、そろそろ、お逢いになる頃かと」

「おお、そうか、いよいよか…余の愛しき人よ…この時を…どのくらい待ったことか…」 

 あと二・三歩近づけば、通路の壁際に隠れるヌロニハールとシャラサラは、すべてお見通しの殿下とベルベナルに、その姿が見つかるのは時間の問題だった。

 戦き身構えるヌロニハールは通路側へ背を向け、シャラサラサを強く抱き締めた。

 男二人の足音が止まり、気配と視線が背中越しに感じられた。

「ヌロニおねえちゃん、とうさまのプロテルトあった。行こっ」

「とうさまのプロテルト!?」

 その刹那、是が非でも守ろうとするヌロニハールの想いを受け取ったシャラサラサは、何の躊躇いもなく瞬間移動のスキルを発動させた。

 待ちに待ったその瞬間をと足を止めたベルベナルと殿下は、通路の壁際に窪みに身を隠す少女の後ろ姿を見たその時だった。背を向ける少女から閃光が放たれ、鋭い光で閉じた目を開けた時には、待ちに待った少女の後ろ姿は、何処にもなく、忽然と消えていた。

 殿下は慌てることなく、空虚な窪みを眺めていた。

 ベルベナルは手を顎に当て、今の状況を冷静に判断した。

「殿下、これは瞬間移動ですな」

「瞬間移動とな…ベルベナル、対象となる出現ポイントをトレースしろ」

「御意。トレース完了いたしました。対象の出現ポイントは、船内第一格納デッキであります」

「ベルベナル、空間転移で後を追う」

「御意」

 落ち着いた物腰の殿下とベルベナルは、瞬間移動したヌロニハールとシャラサラサの後を追い、出現ポイントの船内第一格納デッキへと空間転移を使い、瞬時に姿を消し向かった。


 ヌロニハールとシャラサラが出現ポイントと割り出された第十一王宮庭園へと、迎賓館クラバウス邸から1キロの道のりを駆けつけた、琉人とリファール一行は、目の前に広がる白百合と真っ赤な薔薇が咲き誇る、丁寧に手入れが行き届いた第十一王宮庭園を、隈なく眺めまわした。

 見落とすまいと必死に、なめるように辺りを見回すが、琉人とリファールの目に映るのは、可憐に咲き誇る白百合と真紅の薔薇が織りなす美しき情景の旋律のみだった。

 十二神将のザビグロニアとアルベルススは二手に分かれ、第十一王宮庭園内を隈なく探し回っていた。

 リファーダとハスウールは二人一組となり、上空から第十一王宮庭園内を目視と索敵スキャントレースで、ヌロニハールとシャラサラ二人の行方を追っていた。

 ラミリアシャルファースフルは一人、じっと、その場で立ち止まり、ただ上空を見上げて凝視していた。

 そんなラミリアシャルファースフルに気付いてか琉人は、声を静かにかけた。

「ラミリア。何見てんだ?」

 声を掛けられ、ふっと我に返ったのかラミリアシャルファースフルは、ビクンと体を震わせ、琉人の方に振り向きもせず、上空を凝視したまま答えた。

「琉人…気付かぬか?」

「何を?」

「我が見ているその先が…靄のように、空間が歪んでいるのだ」

「空間が歪んでいるっていう事は…よくSFの世界であるあるの、光学迷彩の空間擬態ってヤツか…」

「おぬしが何を言っておるのか、理解に苦しむが…おぬしが言わんとしている事は、理解できた…そう、そこに何か途轍もなく大きな物体が、実体なくして存在しておる」

「ラミリア。それは間違いないんだな」

「間違いない」

「リファール」

「うん!?」

 琉人から急に名を呼ばれ振り向いたリファールは、琉人から半ば強引に引き寄せられた。

「どうしたの琉人?」

「いまからシャラサラサを迎えに行くからさ」

「えっ!?シャラはどこにおりますの?」

「そこの空に隠れて浮かんでいるヤツの中にいる。今から白日の下に引きずり出す」

「どうやって!?」

 リファールとラミリアが声を揃えて、琉人に問うた。

「俺の生産系魔術の生成スキルを甘く見るなよ…今から生産系魔術の生成スキル(ハイパー・ビルド)を発動し、空間擬態を反転させる次元空間エネルギー変換装置で、ヤツが空間擬態で使用している空間エネルギーを奪い、呑気に隠れているヤツのその姿を曝け出して、そのヤツの中にいるシャラサラサとヌロニを助けに行くッ!」

「琉人の生産系魔術の生成スキルは、もう神の領域を超えておるからな」

「琉人…それを使って、シャラには…大丈夫?」

「心配いらないよ…リファール。ヤツの周りにある擬態した空間のエネルギーだけを奪うだけだから」

「うん…琉人に任せる」

「じゃあ、生産系魔術の生成スキル(ハイパー・ビルド)を発動ッ! 次元空間エネルギー変換装置を、今ここに生成せよッ!!」

 琉人が声高らかに張り上げると、一閃が放たれ、琉人とリファール、その隣のラミリアの目の前に突然と、漆黒の流線型が美しい大きさ5メートル程の大砲が出現したのだった。

第32話を読んでいただきありがとうございます。

心から感謝です!

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