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神のみぞ知らない願望を叶えるため筋書通り異世界転生した俺は、異世界で超絶生産系魔術のみの神チート能力で叶えて攻略  作者: 坪内俊


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第30話 マスター、不審人物発見です!

皆々様のお陰様で、第30話まで来れました。

これからも、後半部をお楽しみください。

 琉人がこの異世界に来る前の高校一年の夏、父親との旅行先ドイツ南部で立ち寄ったノイシュヴァンシュタイン城を模して造られた、琉人家族の居城シュトゥラウスバルガン城の広大な庭園の中に建つ迎賓館クラバウス邸の一角。現在、会議が行われている大客間は、社交や外交の中心的空間を提供し、ロココ調のゆったりとしたソファや椅子が配置され、格式高い対話に利用されるよう、窮屈さを感じさせない開放的な造りがなされていた。その広さは普通教室の2倍、実に100畳ほどもあり、天井の高さは3階建てのビル並みに高い10メートルほどある。一歩足を踏み入れると、巨大なシャンデリアのきらめきと、白壁一面に施された絢爛華麗な金箔の彫刻が、訪れた者を圧倒するに違いなかった。

 その大客間の壁に配置されたガラス張りの装飾棚と、メイドが出入りするドアを賓客の視界から遮るための四連衝立がある方向を、じっと睨むヌロニハールに気付いたアルベルススが声を掛けた。

「どうなさいました、ヌロニハール殿」

 じっとその先を睨むヌロニハールが小さく答える

「おじ様。そこの装飾棚と衝立との少し開いた隙間に、男性と思われる人影がこちらを見ておりました」

 アルベルススは警戒心を高め、ヌロニハールが睨む先の装飾棚と衝立の隙間に注意を向けた。

「いつからじゃ、ヌロニハール殿」

「街からです」

 アルベルススの表情が一瞬驚き、怪訝な表情になった。

「それはありえぬじゃろ。なにせ、琉人殿が対神用結界と対魔術・物理攻撃用防壁を幾重も巡らした、この迎賓館クラバウス邸のセキュリティシステムとやらは、アリ一匹たりとも侵入する事が難しいと、琉人殿がおっしゃってたぞ」

「それを承知の上で、申し上げておりますの。おじ様、間違いありません。確かに男性の人影がおりました。私の探知能力では、その男性はまだ、遠くに行っていないようです。正確には、この迎賓館クラバウス邸を出て、シュトゥラウスバルガン城の第十一王宮庭園に留まっているようです。身を潜めているっていう事でしょうか」

「追跡するのか、ヌロニハール殿」

「マスターのお許しを頂ければ」

 会議の進行状況を確認するべく、アルベルススとヌロニハールは二人揃って、会議を進める琉人へ視線を向けた。

「この城塞都市国家アルベルセシュルトは現在、皆も知っている通り、まだ一ヶ月しか経っておらず、街で商売している者は、俺が生成したメイドゴーレムが担っている。先程、話した通り、神聖エストラント公国の両人に尽力してもらい、人種族が移住してくれれば、人種族がメイドゴーレムの代わりに商売をし、街の発展に繋がる労働生産力として、国を支える国民となり、人種族の国家が誕生するっというのが、俺が創った国の筋書通りの展開だが、その前にやらなければならない事がある」

「セト・アスベルを四天王から救出する事じゃろ、琉人」

「そう、ラミリア。君が属する四天王から、魔神アビゼビュートを復活させる鍵となるセト・アスベルくんを救出し、何としても、破壊神たる魔神アビゼビュート復活を阻止しなければ、このセッサーラ大陸が地獄と化し、生きとし生きる物すべてが死に絶えてしまう。俺は人種族の国家の為、四天王の企みをぶっ潰す覚悟だ。そこで、ラミリア。本当は君に早く聞けば良かった話なんだが、あくまで俺の推測にすぎない四天王の企みは、実際、どうなんだ?」

「この世界に降りてくる前、万象の聖刻神イシュリシアフォーヌから直接聞いた話なんだか、イシュリシアフォーヌが言っていた事は、琉人の推測通り、復活の鍵となるセト・アスベルを琉人から引き離し、魔神アビゼビュートを復活させるというところまでだ。残念だが、そこから先の企みは、まったく知らんし、琉人の推測通り、この世のすべてを殲滅するまで破壊し尽くすのかもしれん。この企みを計画しすべてを知っている虚空の賢神ゼビクロノエルに直接聞けば早いがな」

「じゃあ、その虚空の賢神ゼビクロノエルに直接聞こう、セト・アスベルくんを救出するついでに」

「琉人、ゼビクロノエルと遣り合うつもりか」

「いいや、戦わずして、対話だけで争う論戦の応酬で論破して、聞き出す」

「そううまくいくと思わぬ。なにせ相手は、虚空の賢神の名を持つ神じゃ。琉人が運命を操る術としての筋書通りの展開を持って挑もうが、人の子である琉人の論理的思考では、論理的思考の神を相手に勝てる気がしないのじゃが」

「ラミリア。一見するとラミリアの言う通りだよ。でも、やってみる価値はあると思う。ダメな時は、逃げるが勝ちだ。だろ、ヌロニ」

 思わずヌロニハールの名を口にした琉人は、先程の一件を思い出して気まずさが蘇り、なぜか「しまった」と焦る自分に恥ずかしさを覚えた。

 名を呼んで貰ったヌロニハールは絶好の好機と捉え、先程の不審人物の件を切り出した。

「はい、マスター。常に私は、マスターの盾となり槍となる覚悟です。つい先ほど、このサロンの右後方に配置された装飾棚と衝立の間から、こちらを窺う男性らしき人影を捉えました。私の感知能力でそのターゲットは、シュトゥラウスバルガン城の第十一王宮庭園内に潜伏している模様。マスター、追跡し捕縛いたしましょうか」

「えっ、あっあぁ…。侵入者が、ここにいたという事!?それは何かの間違いでは…っていうことはないか。感知したのはヌロニなんだし…ヌロニ、今、現在、王宮庭園に展開している美少女ゴーレム兵団ヴァルキルウスは、何人だ」

「はい、3名です。ユナシナとモモカ、ユキノヒメが、現在、第八王宮庭園にて、警ら巡回中です」

「よし、ヌロニ。モモカへターゲットの位置情報を伝達、ヌロニ指揮の下、ターゲットを捕縛せよ」

「かしこまりました。マスター」

 ヌロニハールがそう言い残し、サロンから立ち去ろうとしたその時、スカートの裾を小さく引っ張られて、自然と引っ張る方へ振り向いた。

 リファールの胸に抱かれて寝息を立てていたシャラサラサが、いつの間にかヌロニハールの前にちょこんと立って、小さな手でスカートの裾を掴んでいた。

「ヌロニお姉ちゃん」

 小さくしたリファールそのもののシャラサラサから、小さなまん丸瞳の上目遣いで見詰められるヌロニハールは、どう振る舞ったらいいのか逡巡している時、リファールが助け舟を出してくれた。

「シャラ、お姉ちゃんのお仕事の邪魔しちゃダメでしょ!」

 リファールがシャラサラサへ駆け寄ろうとしたその時だった。

「シャラのこと、すき?」

 はにかむシャラサラサ。

「好きですよ」

 目を細め、優しく微笑み返すヌロニハール。

「シャラが、つれてってあげる!」

「えっ!?」

 そう言い残し、シャラサラサとヌロニハールは忽然と姿を消した。

 そこには、ヌロニハールが漂わせていた龍涎香の、温かみのある甘く官能的な香りだけが残っていた。

第30話を読んでいただきありがとうございます。

心から感謝を申し上げます!

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