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神のみぞ知らない願望を叶えるため筋書通り異世界転生した俺は、異世界で超絶生産系魔術のみの神チート能力で叶えて攻略  作者: 坪内俊


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第29話 城塞都市国家アルベルセシュルトの円卓会議です

 会議を告げる鐘の音が、幅広く長い絨毯敷の廊下に響き渡った。

 琉人とヌロニハールの遣り取りで凍り付いた場の雰囲気が、一瞬にして溶け、和やか空気に包まれたのを、この場にいる誰もが感じていた。

「おっ、会議の時間を告げる鐘がなった。皆こんな処で突っ立ってないで、会議を始めようではないか」

 紳士的な執事姿のアルベルススがヌロニハールを気遣って口を開き、口髭を指でつまみながら、この場にいる主要メンバーへ会議へと促した。

 愛娘を互いに目を細め、愛でる琉人とリファールの姿が視界に入ったヌロニハールの足取りは重く、誰よりも遅く会議室へと入って行った。

 廊下に誰も居ない事を確認したラルシルとセルシルは、重厚なチーク材の観音開き扉を内側に引き寄せ、ぴたりと閉ざした。


 皆が集まった今日の会議は、城塞都市国家アルベルセシュルトが創られてから初めて行う重要な会議であり、琉人が平伏せる神々の前で、自らの考えを高らかに表明した日から数えて、まだ一ヶ月ほどしか経っていなかった。

 琉人はこの城塞都市国家アルベルセシュルトを一日休んだ後、大規模プロジェクトとして都市開発し完成するべく、生産系魔術のスキルである神羅構築マクロ・コンストラクションを発動展開し、初めの三日間で創り上げたのだった。

 城塞都市国家アルベルセシュルトは、かつて魔物の森バァグーガとして広がる周囲31キロメートルの広さと700メートルも深く窪んだ窪地の中央に位置し、城塞都市国家アルベルセシュルトの城壁は、外部かにの侵入を防ぐ鉄壁な防衛目的で二重構造となっていた。その二重城壁は、外側の城壁は周囲15キロメートルあり、内側城壁との間は1キロメートルほど開いて防衛を任とする部隊が駐屯しており、外部と都市を隔てる内側城壁の周囲は9キロメートルほどあった。外側と内側城壁の大きさは、高さは30メートル、幅は10メートルがあり、強靭な鉄筋コンクリート製で生成され絶対防衛線として機能していた。強固に守られた城塞都市国家アルベルセシュルトの都市は、中心部から外縁まで歩いて20分ほどで移動できる、非常にコンパクトで歩きやすい近代的な都市として完成したのであった。

 その街並みは、整然と区画整備され、中心部には、琉人とリファールが愛娘シャラサラサと暮らす居城として洋式造りの城があった。

 今日行われる記念すべき第一回の円卓会議は、その琉人家族が暮らす居城シュトゥラウスバルガン城の広大な庭に建つ迎賓館クラバウス邸で行われた。

「それにしても、たった一か月ほどで、三歳児までに成長するなんて、姉さまと琉人はどれだけ注いだのだ。シャラサラサが誕生するまでの、愛に満ちたまぐわいの時間を」

 それを聞いたリファールが軽く咳ばらいを一つした。

「ラミリア。それは後で話すので、今は黙ってなさい。琉人が会議開始の口上を述べられずにいるではないですか。会議が始まりません」

 リファールからの注意を受けたラミリアシャルファースフルは小さく呟いた

「シャラサラサがあまりにも可愛くてな…」

 リファールに抱かれているシャラサラサは、にこっと笑いを送ってくれたラミリアシャルファースフルへ、屈託のない笑顔で返した。

「静かになったところで、今から城塞都市国家アルベルセシュルトの記念すべき第一回の円卓会議を始める。」

 黒の革ジャンを羽織り黒の皮パンを穿いた琉人が席から立ち上がり、壇上に上がって口上を述べた。

「まずは、俺の生産系魔術のスキルで誕生したこの城塞都市国家アルベルセシュルトについて話したいと思う。その前に、集まって貰った主要メンバーに紹介したい人物がいるので、今ここで呼び、紹介するのでよろしくお願いしたい。では、ラルシル、セルシル。その者をここへ」

「はい、マスター」

 ラルシルとセルシルが重厚な観音開き扉を開け、廊下で待つその者を部屋に招き入れた。

 白いブラウスにジーパンを穿いた女性二人が、背筋を伸ばし凛とした姿勢で堂々と歩み、主要メンバーから見易いように、琉人から少し離れた壇の下に並び立った。

「では、紹介する。俺からすぐ隣の女性は、神聖エストラント公国、近衛翼竜聖騎士団アマゾルダル団長エリザベータ殿」

 自分の名で呼ばれたエリザベータは一歩前に出、深々と一礼をした。

「その隣の女性は、同じく神聖エストラント公国、近衛翼竜聖騎士団アマゾルダル団員エリッサ殿」

 エリザベータと同じく一歩前に出て、エリッサは深々とお辞儀をした。

「エリザベータ殿は、神聖エストラント公国では、剣神として国一番の剣豪であり、その名はこのサッサーラ大陸全土に知り渡っている。その隣のエリッサ殿も、同じく剣聖として、同じくサッサーラ大陸で知らぬ者はいない剣豪の一人だ。そこで、何故ここで皆に紹介するというのは、このお二方に、役割を担ってもらいたいと思い、皆の意見を聞きたいと思うからだ。では、その役割とは、今いる城塞都市国家アルベルセシュルトが建つ土地は、本来なら神聖エストラント公国の国土なんだが、俺がそこに勝手に国を建ててしまったので、彼女たちに神聖エストラント公国の女王との仲介を頼みたいと思っているのだが、どうだろう」

 ラミリアシャルファースフルが挙手して意見を述べた。

「琉人、別にここに国作ろうが構わらぬではないか。何せ我々神々がここにいるのでな。神聖エストラント公国はリムラ教という宗教国家であるからして、女王エザベラアルーシャは特に、我の隣にいるメヨーテセシュルの巫女だ。何も文句ひとつも言いまい」

「俺も最初はそう考えんだが、ここに人が住むとなると国として、きちんと国交を結んだ方が、後々面倒でない気がするんだ」

「ここにいる我ら神々は、永らくいるつもりだから心配するでない。我が女王エザベラアルーシャに話しをつけるか、琉人」

「ラミリア、それはダメだ。ここの国に住むのは、神様じゃない、そして最上位種族のエルフ種族でもない。自らの村も国も無く、他種族の庇護下で最下層の生活を強いられている人種族たちだ。俺は彼らを安住の地に導きたい。このセッサーラ大陸に、人種族のための国家を誕生させるつもりだ」

「琉人の考え、理解した。人種族の国家か…悪くないが、琉人。人種族の国家が誕生したと聞き知ったら、セッサーラ大陸に散らばっている人種族が大勢押し寄せてくる恐れもあるが、それはどうするつもりだ」

「鋭いとこ突くね、ラミリア。そう、今のままの城塞都市国家アルベルセシュルトでは、せいぜい10万人が限度だ。現在のセッサーラ大陸にいる人種族の人口は、正確には把握してないが、フェルミ推定からすると、おおよそ1200万人いると思われる。だが、1,200万すべての人がここに来るとは限らない。推察するに、せいぜい100万といったところだ。そうなると、今の大きさを10倍にしなければならない。となると、ここの土地は神聖エストラント公国の土地、だから、彼女らに仲介者として尽力してもらい、10倍の土地問題と、神聖エストラント公国からの人口流出に伴う人口増加問題。これらの問題を人種族の国家として神聖エストラント公国と駆け引きしなければならない。その駆け引きがうまくいけば、10倍の土地取得と流出住民への住宅と永住権付与が周辺諸国に知れ渡り、自ずと人種族の主権国家として認められるようになる、という算段だ」

 真剣な眼差しで琉人と対峙しているラミリアシャルファースフル以外、神々の上下関係があるためか、四天王としての主神である紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフルが意見をのべている最中は、ザビグロニアは理解しているのかしてないのか分からぬ表情でいて、アルベルススは執事のように目を瞑り背筋を伸ばして、只々座っていた。ラミリアシャルファースフルは、壇の下で並びたっているエルフ種族へ問うた。

「神聖エストラント公国の剣神と剣聖とらや、おぬしらは、琉人のいう仲介の役割をできそうか」

 神からの問に、エリザベータとエリッサは、足の震えが止まらず、その場で跪き頭を垂れた。問に答えるエリザベータは喉から声を絞り出すのが精一杯だった。

「恐れ多くも、我ら近衛翼竜聖騎士団アマゾルダルが、武神として信奉する紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフル神を前にして、エルフ種族の一人であります、エリザベータが、お答えいたします」

「答えよ、エリザベータとやら」

「はっ、私めは一介の剣士に過ぎません。エルフ種族として、剣神と剣聖という称号を頂いた我らこの御身、琉人殿から救っていただいた命を懸け、城塞都市国家アルベルセシュルトの発展の為、我ら祖国の神聖エストラント公国との仲介の役を遣り遂げたいと、武神、紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフル神に、エリッサと共に誓います」

「その誓い誠のようだな」

 床に跪き頭を垂れたまま打ち震えるエルザベータとエリッサは、神々の前では、小さく蹲る事しかできなかった。

「琉人、このエルフ種族の二人に仲介を任せよう。人種族の為にな」

「分かってくれてありがとう、ラミリア」

「エリザベータとエリッサ、仲介の任を引き受けてくれて、ありがとう。ラルシルとセルシル。お二人を、お部屋までお連れして休ませてくれないか。神々を前にして、大層お疲れのようだから」

「はい、マスター」

 ラルシルとセルシルは、まともに立ち上がることすらできないエリザベータとエリッサに肩を貸し、いたわるように会議室を後にした。

「それじゃあ、改めて、城塞都市国家アルベルセシュルトについて話をしようと思う」

 ラルシルとセルシルと入れ違いで、会議室に現れたハスウールとロニハは茶を準備したワゴンを引き、粛々とお茶を淹れ、席に着いている主要メンバーの前に静かに差し出した。

 その光景を人知れず、部屋の隅で見ていた人影が、静かに消えて行った。

 静かに消えて行った人影に唯一、気付き反応したのは、ヌロニハールだけだった。

第29話を読んでいただきありがとうございます!

感謝、心から感謝です!

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